国際ニュース、今週のこれだけ5――3月26日版
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2015.03.26
世界には数多くの問題や苦しみがあります。そして世界の問題は、私たちの生活と密接に関係しています。しかし、新聞やテレビの国際ニュースでは、「どんな出来事がなぜ大事なのか」「自分たちとどう関係するのか」がわかりません。
本欄では、1週間の間に起きた国際ニュースの中から、「日本や世界の未来を知るために欠かせないニュース」を5つピックアップし、紹介いたします。
(1)米共和党が「強いアメリカ」に戻すための予算案を公開
米下院の野党共和党の議員たちが、独自の2016年度予算案を公開しました。予算審議で提出するためのものです。
3.8兆ドルに上る同予算案は、オバマケアなどの社会福祉政策を削減し、国防を優先する、「強いアメリカ」を目指すものです。
しかし与党民主党のオバマ大統領は、社会福祉に力を入れ、国防費を削減しようとしています。もし今回の予算案が議会で可決されても、オバマ大統領は特権である「拒否権」を行使するでしょう。
アジアや中東にも影響を及ぼすアメリカが、「社会福祉」と「国防」の間で揺れていることがわかるニュースです。
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2015年3月19日付本欄 米共和党が予算案を公開 「低成長は容認できない」
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2014年11月12日付本欄 幸福実現党・あえば直道氏がアメリカの共和党幹部と対談 日米は自由と繁栄の担い手に
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(2)イスラム教内の宗派対立で、サウジアラビアがイエメンに空爆を開始
サウジアラビアは25日、イエメンとの国境付近に軍を展開し、空爆を開始しました。
中東のイエメンでは、イスラム教の宗派間の争いとして、以下4つの勢力が内戦を繰り広げています。
- スンニ派政府(アメリカやサウジアラビアの支援を受ける)
- スンニ派武装集団のアル・カイーダ
- シーア派武装集団のフーシ派(イランの支援を受ける)
- 南イエメンの独立勢力
すでにイエメンの首都であるサナアは、フーシ派によって陥落され、ハーディー大統領は南に脱出しています。
サウジアラビアの空爆対象は、そのフーシ派の掃討です。目的は、内戦が自国内に波及しないこと、そして、自国が支援する同じ「スンニ派政府」を支援することです。
同じイスラム教の宗派対立が、一国を崩壊させるほど深刻化していることがわかります。
この問題は、日本にとっても無関係ではありません。イエメンは紅海とアデン湾に隣接し、スエズ運河を通過する貨物船は、必ず通らなければいけない海域です。この海域が紛争で封鎖されてしまった場合、日本だけでなく、世界経済にも多大な影響を与えます。
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(3)イランの核開発を武力で抑えたい、イスラエルのネタニヤフ首相が再選
次は、「ユダヤ・キリスト教 対 イスラム教の戦い」に関わるニュースです。イスラエルのネタニヤフ首相がこのほど、議会選挙で再選されました。
イスラエルはアメリカと組んで、イランの核開発を止めようとしています。
しかしネタニヤフ首相は、イランとの交渉の仕方に関しては、アメリカと意見が違います。ネタニヤフ首相がアメリカとイランの核交渉の場にイスラエルのスパイを送り込み、交渉を決裂させるための情報を米議会に流したことなどが発覚しています。
ネタニヤフ首相の再選は、イランの核開発阻止が、交渉ではなく、武力で行われる可能性を高めたといえます。
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(4)財政難のギリシャが、ドイツに「ナチスの賠償金を払え」
ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相が、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との首脳会談後に行われた共同記者会見で、ナチスドイツの侵略行為に対する賠償を求めました。
財政危機に苦しむギリシャは、ドイツから無条件で財政支援を受けたいため、このような発言をしました。ドイツ側はこの要求を、「戦後賠償は終わっている」と一蹴しています。ギリシャ経済が、ドイツが強要する緊縮財政で苦しめられているとはいえ、他国に依存することで自国経済を立て直すことは難しいでしょう。
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(5)アメリカが「金融引き締め」を行う可能性高まる
アメリカの中央銀行である米連邦準備銀行(FRB)は、2009年金融危機以来、金融緩和で経済の金回りを良くしようとしてきました。しかし、最近のアメリカ経済は好調であるため、FRBは近々、「金融緊縮を始める」という予測が強まっています。
「金融緊縮」は、利上げによって行われます。すると、世界の投資家は高い利子を求めてアメリカの株などを買うため、他の通貨を売ります。よって、日本では「円安」が進む可能性があります。そうなれば、原油などの輸入価格はさらに上がるでしょう。
そんな中、FRBが18日に発表した政策指針で、「辛抱強く利上げを我慢」という今まで書いてきた文章から、「辛抱強く」という言葉を消えていました。そのため、利上げは今年中にあるかもしれないという予測が強まりました。
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