主婦3年すると使い物にならない?
株式会社トランタンネットワーク新聞社代表:藤本裕子さんの、自分自身の反省を交えた言葉です。
藤本さんは全日空に客室乗務員として勤務後結婚、3人の子どもを出産し、子育てをしながら慶応大学を卒業しています。その後働くお母さんのための新聞を作ったり、子育て支援関連の様々な活動をされています。
藤本さん自身、10年間の専業主婦生活を送った後新聞づくりを手掛けており、「主婦は使い物にならない」はまさに自分自身のことだと言います。
社長の藤本さんを筆頭に、スタッフは全員専業主婦歴5年、10年という人ばかりで、「主婦は使い物にならない」を地でいくような状態だったと言います。
お母さんの会社だから融通がきくだろう、そう思って仲間になっても、わずか3日で挫折していく人もいたとか。
主婦3年すると使い物にならないのはなぜか?
家庭の中で、自分中心に物事を進めているので、つい相手のことや社会への意識が薄くなりがち、と藤本さんは指摘しています。
藤本さんが主宰した子育て関連の講演会などでは、遅刻する人が3割、当日のキャンセルは2割。雨が降ればその割合はもっと多くなるといいます。講演会が定刻に始まることはまれで、たいがい10~15分遅れでスタートし、主催者も「お母さんだから仕方ない」とあきらめているそうです。
小さな子どもをかかえていれば、突然の発熱やケガ、おもいがけないアクシデントなどは避けられません。とはいえ、この数字は看過できません。
藤本さんは「お母さんだからこそ、時間を守りましょう」と呼びかけていたそうです。
私も過去に、主婦が多く働く大手ファーストフードチェーン店で働いたことがありますが、社会性に欠けると言われても仕方がないような方が確かにいました。小さな子どもが数人いれば、遅刻や早退、欠勤が多くなるのは避けられません。会社側もそれを承知の上で雇用しているのですから、そのこと自体は責められるべきことではありません。ただ、子どものことも含め、自分自身や家族の事情で欠勤等せざるを得ないときの連絡の仕方などに、あまりの幼稚さ・身勝手さ・他者への配慮のなさが目立ち、苦々しく思いました。正規雇用の社員は店舗にたった一人だけですから、しわよせは同じ立場の主婦にいきます。
でも私はだから主婦は使い物にならない、とは思いません。
「主婦3年したら使い物にならない」は、ある意味古き良き時代の遺物なのでは?と思います。子どもの多寡にかかわらず、専業主婦をできる人は今の時代、非常に少ないと思います。50代以降の方であれば、経験はあるかもしれませんが…
使い物にならないのは、主婦だけではないのが今の時代です。私は特別養護老人ホームに6年間ほど勤務した経験があります。政府主導の雇用政策の下、ずいぶん多くのいろんな方が介護の仕事に就くのを見ました。中には40代50代の男性の方もいました。諸事情があっての介護業界への転職だったとは思いますが、正直に言いますね。ほんとうにひどい有様でした。老人ホームというところは家事仕事が意外に多いところですので、年配男性にとって未知の世界であることは確かです。けれども、家事ができないから「使えない」のではありません。あまりにも仕事に対しての姿勢がひどいのです。ひどいといっても抽象的でわかりませんか…「なめている」と言えばわかりやすいかもしれません。利用者である高齢者や同僚(女性や若者が多いですから)への侮り、介護という仕事への侮り、それでいて施設長などに対しては卑屈なまでのお愛想…
エコノミストの浜矩子さんが、雑誌ビッグ・イシューのコラムの中で、雇われ力という話をしていましたが、雇われ力がないと、雇われても長続きしません。
主婦だけの話ではないのです。
とはいえ、子育ての後の就労に不安がある人が多いのも確か。藤本さんがこんなアドバイスをしています。
地域の子ども会や町内会、幼稚園や学校のPTAに積極的に参加すること。これらは、いってみれば再就職のOJT(実地訓練)のようなもの。仕事の技術やノウハウはある程度時間と訓練で解決できる。一番大事なのは、人とのコミュニケーション。
だそうです。介護事業に参入してくるおじさん、わかりましたか!!家事ができないから疎まれるんじゃないですよ!介護が下手だから女性や若造に叱られるんじゃないですよ!!