東京東部労働組合【公式】ブログ

全国一般東京東部労働組合の記録

添乗員の知って得する労働基準法

2007年11月19日 20時25分29秒 | 添乗員・旅行業界

添乗員の知って得する労働基準法

全国の添乗員の皆さんへ!今阪急トラサポから、新しい就業規則案が示されています。最大の問題点は労基署の是正勧告指導を拒んで平然と「みなし労働」を明記している点です。これは絶対に認めるわけにはいきません。
ことは阪急トラサポ一社の問題ではありません。全国のすべての添乗員の今後の運命と生活に直結する問題です。私たち東部労組HTS支部は全国の添乗員のみなさんと共にこの新しい就業規則案に反対していきます。

労働条件は労使対等の立場で協議決定すべき大原則(労基法第2条)のもと就業規則を作成すべきです。

あらためて訴えます。みなし労働を撤廃するまで、絶対に36協定の締結を拒否しましょう。
労働者代表の方は絶対に36協定を出さないで下さい。
36協定がないと会社が「みなし労働時間」を強行することは難しいのです!

<36協定について>
みなし労働時間制の規定によって算定される労働時間が法定労働時間を越える場合には、労基法第36条に基づく時間外労働に関する協定が絶対に必要です。
逆に言えば、36協定がない限り、つまり労働者側が許可を与えない限り、労働時間が法定労働時間を越える場合には、会社が労働者にみなし労働時間制を命じることは絶対にできないということになります。
絶対に36協定へのサインを拒否しましょう。みんなで「みなし労働」反対の声をあげましょう!意見書提出も同様です。

また、新就業規則案には、他にも問題点がたくさんあります。以下は労基法からの抜粋です。ぜひ一度みなさんの職場でも労基法に照らして点検してみて下さい。今後の闘いにお役立てください。

労働基準法抜粋
*************************

労働条件の決定
第2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」
★解説 全ての旅行会社派遣会社はこれを実行しなさい!

法律違反の契約
第13条「この法律(労基法)で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による」
★解説 現在旅行業界や添乗員派遣業界において、「朝8時から夜8時まで」をあたかも添乗員の労働時間とするかのような労働契約を結んでいることに対して、今回三田労働基準監督署は、労基法では労働時間は一日8時間・週40時間であるので「朝8時から夜8時まで」の契約部分は違法となり無効であると指摘しています。同様に、「うちには有給休暇がないから」「残業代はないから」「深夜手当はないよ」「休日もないよ」などの今まで多くの旅行会社・派遣会社の法律違反の言い分は全て無効なのです。

労働条件の明示
第15条「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」
「前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる」
★解説 法律違反の文書を証拠として残すわけにいかないから、法律を守るしかないと思うのですが。 

賠償予定の禁止
第16条「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」
第17条「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならない」
★解説 罰金制度を作っている会社をよくみかけますが、とんでもない法律違反です。

解雇
第18条の2「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
★解説 契約更新しない・雇い止め・仕事を干す・アサイン外された・解雇等々すべて「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」です。「匿名」のアンケートというデタラメな理由で一方的に仕事を干されることなど今後は絶対に許してはなりません。不当にアサインを外された経験のある方、現にやられている方はぜひ立ち上がりどんどん争いましょう。全国の仲間も私たち東部労組も応援します。

解雇制限
第19条「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」
★解説 労災申請したことを理由にまた労災後に、アサインを外されるなどこの第19条違反となります。業務上ケガや病気になり療養休業を必要とする時は完全に治るまでゆっくり休みましょう。

休業手当
第26条「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」
★解説 ツアーの突然の中止、延期がこれに該当します。会社は、当初のツアー予定期間の全賃金の最低6割を支給しなければなりません。

労働時間
第32条「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間、一日について8時間を超えて、労働させてはならない」
★解説 「みなし労働は認めない」そのものの条文です。一日について8時間を超えて働かせてはいけないのです。だから8時間を越えた労働時間には、割り増し賃金を支払わなければいけないのです。労基法ができた60年も前から世間では行っていることです。

休憩
第34条「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくても45分、8時間を超える場合においては少なくても1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」
★解説 「休憩」とは労働から解放された状態、労働者が完全に自由にできる時間のことです。バスの中が休憩だなどと平然と言っている上司は心から反省しなさい。

休日
第35条「使用者は、労働者に対して、毎週少なくても1回の休日を与えなければならない」
★解説 今回の三田労基署は、ツアーが連続して7日間以上続く場合は、その7日目を休日労働扱いとしてその日の休日割増(3割5分)賃金の支払いを命じています。 当然この日の残業の延長での深夜労働は6割増しとなります。

時間外、休日及び深夜の割増賃金
第37条「使用者が労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、2割5分以上5割以下の範囲内の割増賃金を支払わなければならない」「使用者が、午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければならない」
★解説 残業時間の延長時間の深夜労働は、5割増しとなります。夜10時以降の出発を除けばほとんどは5割増しの対象ではないでしょうか。ここに来て「深夜手当て」として「1000円から3000円」だけ支払うとか、出発日と帰着日だけ支払うという姑息な会社が増えてきていますが、とんでもない違法行為です。実労働時間分の深夜割り増し賃金を全額支払わせましょう。
裏付けとなる記録が命です。ノートにしっかりと記録を残しましょう。

年次有休休暇
第39条「使用者は雇い入れ時から6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上勤務した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならない」「0.5年で10日、1.5年で11日、2.5年で12日、3.5年で14日、4.5年で16日、5.5年で18日、6.5年以上で20日」
★解説 前年度分は繰り越せますので最高40日となります。過去・現在、 皆さんが失った日数は膨大なものになっています。換算すればその損失は計り知れません。

災害補償(療養補償)
第75条「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない」
★解説 厚生労働省は残業時間の上限を月45時間としています。月80時間を越えると生命の危機領域ともしていますので、労基署が「みなし労働」を認めない今、過労に伴う病気の労災申請を堂々と行いましょう。体がボロボロになる前に。

休業補償
第76条「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない」
★解説 労災保険では8割が補償されます。会社への通勤時、ツアー出発場所までの自宅から出発場所まで、ツアー終了後の自宅までの間の事故などは「通勤労災」となります。

制裁規定の制限
第91条「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え・・てはならない」
★解説 一回の懲戒処分による減給は日当の半分を超えたら違反です。

監督機関に対する申告
第104条「事業場に、この法律に違反する事実がある場合においては、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる」「使用者は、前項の申告したことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない」
★解説 労働組合法でも会社が組合員に差別的な不当な扱いをすることは不当労働行為として厳しく禁じられている行為です。

時効
第115条「賃金、災害補償その他の請求権は2年間、退職手当の請求権は5年間行わないと、時効によって消滅する」
★解説 未払い残業代・深夜手当てなどの時効は2年間です。何十万円、何百万円もの時間外・深夜・休日未払い賃金は皆さんの過酷な労働への当然支払われていたはずの正当な対価です。2年過ぎた過去分は日々消滅していっています。一刻も早く、ぜひ東部労組に加入して取り戻しましょう。

コメント (32)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「コナカ支部に入ろう!」1... | トップ | NHK「クローズアップ現代... »
最新の画像もっと見る

32 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-11-19 21:55:34
今日、NHKのクローズアップ現代で、偽装管理職などの問題について放送されていました。
添乗員は管理職ではないので関係ないと思いながらも見ていましたが、どこかのチェーン店の店長さんたちが長時間労働に声を上げ、会社側はなんとか残業代を払わなくて済むようセミナーみたいなものまで開いて・・・。
しまいには、「給与にはある一定の残業代も含んでいる」という一文を就業規則に織り込めばいい、などという講習会まで。
経営者による労働者イジメは社会に広がっているのですね。
そして、こんな悪どい手口が経営者たちの中で平然と行われているとしたら、怖い世の中です。
働くって、恐ろしい。
返信する
よくわからん (トラサポ地方内勤者)
2007-11-19 22:15:08
今、添乗員さんの就業規則を作るためにいろいろやっているのですよね?
私のような内勤者には就業規則があるのかどうかも気にしていなかったのですが、しかし「労働者代表」は添乗員ではないので、もしその方が36協定を出してしまったら、私達内勤者にも関係してくることなのでしょうか?
それとも私達のはすでに出ているのかな?
自分の事なのに全然知らない・・・、恥ずかし・・。
返信する
罰則 (本部HTS支部担当スタッフ)
2007-11-20 04:45:47
労基法117条から121条は「罰則」規程です。
労基法違反には、それぞれ罰金から最高10年以下~6ヶ月以下の懲役の罰則を処すると規定されています。

労基法第1条では「この基準は最低のものであるから・・・この基準を理由として労働条件を低下させてはならない」としています。当然世の中には労基法で定めた最低の基準以上の労働条件を実行している会社は多くあります。一方旅行業界ではこの「最低のもの」すら違反する違法労働を一万人添乗員に強要し続けています。それも長年にわたってです。悪質です。
旅行業界経営陣の猛省が求められています。
返信する
トラサポ地方内勤者 様 (o.m.)
2007-11-20 21:55:37
もし、労働者代表が会社と特別の協定を結べば、従業員全体も影響します。
私の経験では、フランスの労働時間短縮が実行された年の話し合いで、労働者代表が接客案内業務内勤者でした。会社から朝8時~11時まで、午後16時~20時までと提案され、合意の意向を示し、従業員中たった一人の業種、しかも合意する本人が労働者代表なのでどうなるものか見守っていたところ、同席していた労組の役員は「労基法以下の取り決めはできない」とその場を納めましたが、実際には本人は会社の提案通りの時間帯に合意しました。その人の職場はホテルメリディアンエトワールのセミスイート客室、休憩室も同じです。通勤に2回の乗り換えを要する郊外居住のこの係員は、かえって都合が良かったとの事でした。
そして、6ヶ月後、流動的しかも"みなし労働時間”の外勤の旅行アシスタント6名の勤務時間が、朝8時~10時まで午後15時~20時までと固定した労働時間に変更されました。会社は労基署の指摘に則りという理由を挙げましたが、労基署に問い合わせたところ、文書で「そのような指摘はしていない」と、回答がありました。
この労働時間を覆すまでの7ヶ月間。事務所の窓無し、書類置き場、パイプ椅子の休憩室で5時間も寛げる筈がなく、開始されて1ヶ月で、同僚の顔は二日酔いか夜通し騒いだかのような、虚ろな疲れた表情に変わり、私の顔もそうなのだと思いました。仕事が終わって、同僚同士でお茶を飲む気力さえありませんでした。2ヶ月後には同僚の一人がサービス中にひったくりに遭い、7ヶ月間の間にひったくり被害3件、アシスタントと運転手がスーツケース確認中に賊がバスに乗り込み、奪われそうになったPAXのハンドバックを取り返すため男性PAXが賊3人と揉み合う等、散漫になった私達の注意力は業務に様々な支障を引き起こし、私個人については、生まれてこの方問題の無かった、血圧上昇、コレステロール、糖の検出と体がボロボロになる前兆が現れ、2週間の病欠を取りました。

この業界に働く一人ヾが、基準となる "労働法”をしっかり認識しておかないと、会社の従業員イジメの手段に使われます。
自分だけの問題と考えるのは誤りです。他の部署に適用されないという保証は全くありません。
私達が、7ヶ月後にこの12時間拘束の労働時間を覆しても、その時は"覆水盆に戻らず”デシタ。
返信する
私も勉強します (現役○○○の添乗員です)
2007-11-20 22:27:10
法律。そんなの関係ないと思ってました。
でもこんなに身近なことなんですね。
勉強は苦手ですが、頑張って読ませてもらいました。

之を見ると我が社はほとんど法律違反。
損害賠償(罰金)の決まりもありますし、深夜手当ては最近2000円だけ付く様にはなりましたが、それでも全然足りませんし、いままでの分は返してくれません。
一番ひどいのは、ツアーの直前の中止(キャンセル)です。なんの弁償もありません。頻繁なのに一言のお詫びもありません。ひとの生活なんだと思っているのか。第26条の通り最低6割補償しろ!

全部法律に違反していたのですね。
今までだましていたこと勘弁できません。絶対に許さない。
返信する
私の会社も全部違反 (○○○○社長様)
2007-11-21 05:55:56
私の会社、全部違反。
残業代、深夜手当て、保険、有給全部ない。
社長威張って「面会時、添乗員には伝えてある。皆さんも了解しているはず。今更文句言うな」
この発言自体が無効だったのですね。

添乗員のミスは厳しく叱責するくせに、自分の法律違反には平気な社長。
法律。そんなの関係ないと思っているとそのうち痛い目に会いますよ○○○○社長様。
返信する
我が社も (Unknown)
2007-11-21 07:58:10
我が社も同様です。
あらためてこうやってきちんと見ればひどいデタラメな旅行業界。
返信する
社長! (内勤)
2007-11-21 08:12:09
○○○○社長って、もしかして・・・・。
うちもそっくりです。
返信する
私も堂々と残業代請求します (東京トラサポのへとへと添乗員)
2007-11-22 00:06:43
もうへとへとのへとへと。
こんな身体にしたのも阪急交通社です。そのうらみも込めて残業代を請求します。私の働いた賃金を返して頂きます。雇用保険にも入れさせます。

阪急交通社、みなし労働に戻したらその時は勘弁しません。お土産店などからのバックマージンの仕組みやその他全て、私10何年見てきたことややらされた事まとめてありますから。
返信する
Jさん!企業倫理って何ですか! (KS)
2007-11-22 01:52:04
J・Bのような世界を代表する旅行会社が、堂々と法律違反をおこなっていたということです。あれだけの会社になると、それ相当の専門家を雇いコンプライアンスの抜け道を探しているのでしょう。
皆様方の活躍で、今、阪急が多少揺れ動いているあいだに、J・Bは添乗員からの評判が一番悪くなっているのではないでしょうか!
ここのブログを読んでいると、全く以前通りに添乗員に接してくる旅行会社の人たちが不思議でしょうがなくなります。まず、2条に書かれているように、「対等な立場」なのですから、社長さんはそれを社員にしっかりと教育してください。会社の名刺を持っている者が上ではないのです、と。
 ついでに言わしてもらいます。
以前、役人が、「何も添乗員だけが旅程管理措置ができるのではないですよ。もし、添乗員を付けることで料金が上がるのであれば、現地に任せることもできます。そうすれば、ただ同然になるわけです・・」と発言していました。それは、現地のガイドや係員が現状のまま仕事と責任が増えるということでしょう。そう考えるとo.mさん共々、旅行サプライヤー全体の問題として協力することが大切なのでしょう!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

添乗員・旅行業界」カテゴリの最新記事