
(上の写真=団交前に打ち合わせをする心理士ユニオンのメンバーら)
東京都・事業団による「官製ワーキングプア」の放置を許さないぞ!
私たち全国一般東京東部労組・臨床心理士ユニオン支部は1月27日、ユニオンの主なメンバーが働いている東京都の児童養護施設を管理する社会福祉法人東京都社会福祉事業団との第6回団体交渉を、都内の事業団会議室で持ちました。
ユニオン側からは木村秀委員長をはじめ支部メンバー6人と本部2人の計8人、事業団側からは高島副参事、大場事務局次長ら4人が出席しました。
施設で働く心理職の待遇改善と子どもへのケア充実を図るためにユニオンの要求を踏まえて事業団が東京都に要求していた「専門機能強化型施設」の制度予算について、この日の団交で事業団側は「都の財務局の査定で予算要求が認められなかった」と正式に回答しました。
事業団側の話によると、結果的に来年度、東京都から事業団に下りてくる予算(指定管理料)は今年度とほぼ同じになるとのことです。来年度の心理職の賃金単価については契約職員(月21日)、非常勤職員(月16日)、臨時職員(月6日)ともに「据え置く」との回答でした。雇用形態については職員の意向を確認したうえで「現行通りを希望する人にはそれを認める」とのことでした。
東京都が公表している予算原案によると、専門機能強化型施設の予算は今年度の3億8200万円から5億7500万円に増額されています。民間施設には増額予算をつけておきながら、困難な子どもを多く抱えている事業団の都立施設には予算がつかないというのはまったくおかしな話です。ユニオン側からは「なぜ機能強化の予算が認められなかったのか」と問いただしましたが、事業団側は「都の財政事情が厳しいため施設のレベルアップが認められなかったという説明しか聞けていない」と答えるのみでした。
心理職の賃金単価を据え置くということは、心理職の「官製ワーキングプア」を引き続き来年度も放置するということを意味します。子どもたちの心のケア充実もさらに遠のく形になります。事業団側は「予算を通すことが想像以上に厳しかった。職員や入所している子どもら施設には申し訳ない」と述べましたが、さらに都に予算をつけるよう責任をもって折衝することには消極的な姿勢を示しました。
また、現行の予算の枠内でも事業団の裁量によって心理職の待遇を改善できる案が出せるはずだとユニオン側は迫りました。来年度も臨時職員の交通費すら支払わないというのは事業団側の誠意のなさに他なりません。施設の福祉職の「常勤化」を進めながら、心理職を含めた他職種の常勤化をいまだ方針化しないことも、事業団側が心理職を本当に子どもたちや職員にとって必要な人として扱っていない証拠です。
心理士ユニオンは今回の事業団の回答には到底納得できません。あらためて事業団として心理職の待遇改善案を示すよう求めました。このまま事業団側が心理職の「官製ワーキングプア」を放置するのであれば、労働組合として事業団や東京都に対して様々な行動をとっていくことを伝えました。
この日の団交では、予算関係のほかに事業団から来年度の労働条件について都の職員に準拠して1日の労働時間が15分短縮されることと年次有給休暇の取得方法の変更(1時間単位の取得の上限設定)が提案されました。