二月廿六日 午後六時より
二月廿七日
三月 二日 正午より
日本樂劇協會第三回公演
歌劇「椿姫」全三幕 ヴエルデイ作曲
京橋區木挽町
於 歌舞伎座
椿姫 三幕四場 マリア、ピアーヴェ 作詞
ヂュセッペ、ヴェルデイ 作曲
配役
ヴィオレッタ・ヴァレリー(椿姫) 關屋敏子(客演)
フローラ(ヴィオレッタの友達) 渡邊光子
アニーナ(ヴィオレッタの召使ひ) 河原喜久恵
アルフレッド・ヂェルモン(ヴィオレッタの愛人) 藤原義江(客演)
ヂォルヂォ・ヂェルモン 小森讓
ガストン(レトリエール子爵) 湯山光三郎
デュフォル男爵(アルフレッドの戀仇) 毛利幸尚
ドビニー侯爵 大坪陽一
グレンヴィル醫師 田村定澄
▢
演出並音樂指揮 山田耕作
演技監督 新築地 土方與志
舞臺裝置並衣裳 北廉藏
照明 遠山靜雄
梗概
歌劇「椿姫 トラヴィアタ 」( La Traviata )は伊太利の作曲家ジウセッペ・ヴェルディ( Giuseppe Verdi. 1813ー1901 )の傑作歌劇である。臺本 リブレット はピアヴェの作である。
此歌劇が初めて上演されたのは一千八百五十三年三月六日で、ヴェニスのフェニセ座に於て演ぜられた。此れは彼れが四十歳の時の作で、彼が思想の漸く圓熟せんとする時で、且つ最も創作力の旺盛な時期であった。彼は此歌劇を作曲せんと企てた當時、既に「トロヴァトオレ」の作曲に從事して居った。故に此歌劇は「トロヴァトオレ」と並行して作曲されたのである。即ち「トロヴァトオレ」が羅馬に於て上演されたのは一千八百五十三年一月十九日で、同年の三月六日には此「椿姫」が上演されてをる。
ヴェルディの原稿によると此曲は殆んど一ヶ月で作曲されてをる。是れを以て見るも此時期に於ける彼が制作力の如何に旺盛であったかを知ることが出來る。
此曲の上演後、忽ちにして歐米の各都市は爭ふて此歌劇を上演した。即ち一千八百五十六年五月には倫敦で、十一月にはペトログラアド、十二月には紐育及び巴里といふ風に世界の歌劇場を風靡して仕舞った。そして今日に至るまで毎年、歌劇時期には必ず何れかの都市に於て上演せられないことはない。
我邦に於て上演されたのは大正七年二月二日で、不肖の譯によってロオシイ氏が同氏劇場に於て演出したのが初めである。
此歌劇の梗概は旣に人の知る通りで小ジュマの書いたものを骨子として三幕四場のオペラに仕組んだのである。
〔以下、各幕の梗概は省略〕
第一幕
第二幕
第三幕
(小松耕輔 解説)