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『礼拝堂開堂一周年 回教公認問題決定 記念』 (1939.5)

2020年08月16日 | 宣教 キリスト教、イスラム教

        

    昭和十四年五月

 禮拜堂開堂一周年  
 回教公認問題決定 記念
             東京イスラム教團

〔口絵写真〕

・禮拜堂全影、同上内部
・開堂式禮拜、開堂式祝賀會 右〔左?〕より、キブシー大臣、エジプト公使、フセイン王子、イブラヒム教長、サウド駐英公使、文相代理。
 回教協會主催歡迎晩餐會

東京イスラム教團禮拜堂創建と
   公認問題決定に就て

 世界に三億數千萬教徒と、我國との間に緊密なる關係のあることは、今更論ずるまでも無いことであるが、こゝニ三年前までは、一部先覺有志者の外には、回教及回教徒の如何なるものであるかを識る者すら少く、實に寂廖たるものであつた、此の間にあつて故瀨下淸氏は、日本と回教徒との親善關係締結の重要且つ緊急なるを痛感され、回教禮拜堂を東京に建立して、在京回教徒に與へることを志し、同志を糾合して、昭和十二年八月代々木大山町に敷地を求め、同年十月十九日盛大なる起工式を擧行した。當日はイラン、アフガニスタン兩公使を始め頭山滿翁、川島義之陸軍、山本英輔海軍兩大將、小笠原長生子爵、瀨下淸氏、鈴木忠治氏、森矗昶氏等の諸名士列席して礎定の儀式を執行した。翌年四月末に工事は竣工したので、五月十二日教祖マホメットの誕生日を卜して祝賀式が擧行された。東京に初めて回教禮拜堂の建立されることゝなりたるを以て是が落成開堂式に、日本國内の教徒は勿論、〔中略〕神戸代表シヤングニー氏、同マスター氏、名古屋代表バイムハメデイ氏等二百餘名が出席することゝなつた。
 開堂式の當日は日本政府を代表して文部政務次官内ケ崎作三郎氏文部大臣代理として臨席祝辭を述べたる外、小橋一太東京市長、頭山滿翁、小笠原長生子爵、松井岩根陸軍大將、山本英輔海軍大將、〔中略〕三菱銀行會長瀨下淸氏、〔中略〕等朝野の名士三百餘名の出席あり、頭山滿翁の開扉に式は開始せられ、教長イブラヒム翁の齊司にて禮拜を終り、續いて祝賀式となり文相市長の祝辞に次いで、〔中略〕當日の實況は卷頭に掲げたる寫眞の如く、又祝辭の重なるものはその全文を後に記載した。
 尚入京者一同は開堂式の翌日より、關係各省を始め議事堂、大學、博物館、劇場、工場等文化施設及び特に陸軍の戦鬪演習並に海軍々艦の見學等をなし、五月二十三日の福井樓に於ける送別會を以つて祝賀會は一應終了を告げ一同は散會した。
 同年六月二十四日代々木大山町の東京回教學校講堂に於いて東京イスラム教團結成協議會開催せられ、教徒三十二名の出席あり會則を審議決定し、左の如く役員が決せられた。
 名誉顧問頭山滿先生、子爵小笠原長生閣下、瀨下淸先生、川島義之閣下、山本英輔閣下、南郷次郎閣下、鳥居龍蔵先生、顧問葛生能久氏、若林半氏、加藤久氏、足羽淸美氏。相談役鈴木剛氏、溥侊氏、ナヂムッテン・モヘド氏、團長アブドラシッド・イブラヒム氏、〔中略〕である。續いて七月二十四日同處に於いて、東京イスラム教團結成祝賀式を擧行す、イエーメン國宗教大臣キブシー閣下來賓として出席され、教團員各位が結束してイスラム教の發達の爲に努力せられんことを願ふとの希望的祝辭あり、團員よりイスラムを通して日本と回教諸國との握手を計るとの意を強調し各自團結を約して散會した。
                 〔中略〕
 越えて昭和十四年一月帝國議會に政府より宗教團體法案が提出され、貴族院及衆議院を通過し、回教は之によりて佛教基督教と同じく事實上の公認が決定される事になつた。〔中略〕との言明を與へて茲に我が國に於ける回教取扱問題も明確にされ、而して此の宗教團體法は其後四月七日官報によつて公布され、茲に多年教徒の熱望して居た回教公認問題が解決されたのである。
 以上の如く回教公認問題は決定されたので五月十二日の禮拜堂開堂一周年記念日を卜してこれが祝賀會を兼ね行ふ次第です。


 祝辭 昭和十三年五月十二日 文部大臣 木戸幸一
 祝辭 昭和十三年五月十二日 東京市長 小橋一太
 祝辭 サウディ・アラビヤ國王陛下御名代 駐英公使 シエイフ・ハビイズ・ワハバ
 祝辭 イエーメン國王陛下御名代     王子セイフ・ル・イスラーム・アル・フセイン

 イスラーム教起源小史    アブドラシッド・イブラヒム 〔下は、その最後の部分。〕

 イスラムの根本主張は、「神は唯一なり、ムハメットは神が人類に宗教を傳へる爲に送られた豫言者なり」である。之を認めた者はムスルマンである。聖ムハメットのアラビヤ人に傳へた宗教は之である。
 イスラムが僅かの間に全世界に弘まつた事は疑の餘地もない。
 イスラムはそれ自身が人道である。聖ムハメットのあらゆる豫言者の宗教は總てイスラムである。と言ひ得られる。イスラムは人類の自然性質であるコーランも斯く説いてゐる。
 ムスルマンは口に依つても、又手に依つても他人を害せず、人にしてその口及び手に依りてムスルマンに害を加へざる者はムスルマンなり」と。



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