背表紙は、「日本口語文法教本」である。内表紙には、「日本口語文法教本 東亜高等予備学校」とあり、奥付には、「昭和五年三月一日印刷 昭和五年三月五日発行 非売品」などとある。精装本、22.3センチ、教授の進度に関して3頁、目次6頁、本文185頁。
教授の進度に関して
本書は、約六七十時間の教程として、口語文法全体の要領を授ける様に編纂したけれども、なほ十分には教えきれない場合があるかと思ふので、次のごとき省約の姿を立てヽゐるのである。
〔以下省略〕
本文は、次の構成である。
第一編 総説 (1-14頁)
第二編 品詞詳説(15-163頁)
第三篇 文章詳説(164-185頁)
第一編には、「口語体の文にも、文語体の文にも一定の法則がある。これを文法といふ。本書は口語文法の法則を講明するのである。」などとある。
なお、所蔵本のもう一冊には、学習者〔浙江省の留学生で、東中野在住〕の書き込みが多くあり、また次のような時間割と思われるものが書かれていた。
(一) 文法 伊藤〔伊藤眞琴〕 会話 鈴木〔鈴木正藏〕 読一 小谷野〔小谷野義方〕 日 山根〔山根藤七〕
(二) 日 山根 読二 魚返〔魚返善雄〕 読一 小谷野 書取 伊藤
(三) 日 山根 読二 魚返 読一 小谷野 文法 伊藤
(四) 会話 鈴木 作文 伊藤 読二 魚返 文法 伊藤
(五) 文法 伊藤 日 山根 読二 魚返 会話
(六) 日 会話 読一 文法