蔵書目録

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「マクベス」 帝国劇場 (1913.9)

2011年10月04日 | 帝国劇場 総合、和、洋

 表紙には、「森鴎外博士訳 近代劇協会所演 沙翁作 悲劇 マクベス (五幕、十七場) 帝国劇場  大正二年九月二十六日より同三十日まで五日間 毎夕六時開演」などとある。22.7センチ、四つ折れ、八面〔裏面四面は、広告〕。
 
 近代劇協会第四回公演(九月廿六日より卅日迄毎夕六時開演) 
 沙翁悲劇 マクベス (五幕十七場)
      (此の演劇を坪内博士に献ず  舞台監督)

   役割 (登場順)

 第一の魔女           女優 若山椿
 第二の魔女              南部邦彦
 第三の魔女              石井林郎
 ダンカン王(スコツトランド王)    菅雪郎
 マルコム (ダンカン王の王子)  ● 金井謹之助
 ドナルベン(ダンカン王の王子)    長尾金太郎
 レノツクス(スコツランド貴人)    神林末三
 兵卒   (負傷したる)       近藤主彌
 担架兵卒               高橋巌
 担架兵卒               小幡平二郎
 ロス   (スコツランド貴人)  ● 戸田猿仁 
 マクベス (王軍の将官後に王)  ● 加藤精一
 バンコオ (王軍の将官)     ● 小野益太郎
 アンガス (スコツランド貴人)    岩崎鼎
 メンテイス(スコツトランド貴人)   石井林郎
 ケイステネス(スコツトランド貴人)  長尾金太郎
 マクベス夫人(後に妃)     女優 山川浦路子
 従者   (マクベス城の従者)    小島洋々
 フリアンス(バンコオの子)      香住春樹
 従者   (バンコオの従者)     上原修
 門番                 日疋重亮
 マクダツフ(スコツトランド貴人)   宇田省三
 一老翁                近藤主彌
 第一の刺客              菅雪人
 第二の刺客              日疋重亮
 第三の刺客              岩崎鼎
 ヘカテ             女優 松良静緒
 霊                  香住春樹
 霊               女優 香住浦子
 マクダツフ夫人         女優 衣川孔雀
 クダツフの伜             小野夏夫
 使者(マクダツフ家に来る)    ● 小野益太郎
 医師                 岸田辰彌
 妃付侍女            女優 杉山綾子
 シイトン(マクベスに随従する一士官) 南部邦彦
 老シワアド(イングランド軍の将官)  日疋重亮
 シワアドの伜             近藤主彌
 貴婦人                十数名
 貴公子                十数名
 兵卒                 数十名
 (帝国劇場歌劇部男女俳優数十名好意出演)
                (●印は旧文芸協会員)

      場 割
        管絃楽
 第一 場 荒野 (魔女の話)
 第二 場 フオレス附近の地(戦勝の報告)
 第三 場 荒地 (魔女の預言)
 第四 場 フオレス宮中の一間 (マクベスの謁見)
 第五 場 インソネス、マクベス城の一間 (弑逆の陰謀)
 第六 場 マクベス城の中庭 (ダンカン王弑逆
       (幕間二十分)
 第七 場 マクベス城外 (ロスと翁)
 第八 場 フオレス宮殿の一間 (刺客引見)
 第九 場 フオレス城門前 (バンコオ虐殺)
 第十 場 フオレス宮殿広間 (饗応)
       (幕間二十分)
 第十一場 魔女の洞窟 (幻影とマクベス王の苦悶)
 第十二場 フアイフ、マクダツフ城の一間 (マクダツフ妻子の虐殺)
 第十三場 イングランド王宮の前 (マクダツフの誠忠)
 第十四場 ダンシネエン城内の一間 (マクベス夫人の夢遊病)
       (幕間十分)
 第十五場 ダンシネエン城内の一間 (マクベス王の惑乱)
 第十六場 ダンシネエン附近の地 (マルコム、老シワアドの出陣)
 第十七場 ダンシネエン城内 (マクベス王の戦死)

      マクベス劇の梗概

   時代 十一世紀、場所 スコツトランドとイングランドの一部

  スコツトランドの勇将マクベスは、ノルエー軍を打ち破つて目出度凱旋する。劇はこゝから始まる。スコツトランド王ダンカンは、マクベスの戦功に酬ゆる為めに、彼をコオドル侯に任じた、然るに、マクベスは不思議な魔女の誘惑的予言に心を動かされて、スコツトランド王の王冠に望をかけたが、流石にそれには心を悩まさずには居られない。
  玆にマクベス夫人はマクベスが躊躇して居るのがもどかしくて堪らず、言葉を極めてダンカン王弑逆の暴挙を敢てなさしめる、で、マクベスは王位に即いたが、彼は弑逆の疑懼恐怖に苦悶し、忠良なる同僚バンコオを殺し、戦友マクダツフの妻子を殺して、僅かに不安の念を消さうと試みたが、彼の心は益々深い悩みの淵に沈むで行つた。
  魔女の洞窟を訪れて、来るべき我が身の運命を尋ねて見たが、そこでもマクベスは懊悩苦悶をますばかりであつた。そのうちにスコツトランドを逃れ走せにやつて来たマクダツフ、ロス等とイングランドの王宮の前で義軍を挙げる謀をめぐらした。
  マクベス夫人も流石に煩悶苦悩して遂に夢遊病にかゝつた。医者と侍女とが専心に介抱して居るけれど、何の効もなかつた。マルコムの軍は犇々 ひしひし と攻めよせて来る、夫人は病死した。マクベスは愈々戦場に立つた、而して勇猛に戦つたが遂にマクダツフの為めに討たれた、マルコムがスコツトランドの王冠を戴く事になつた。

 背景主任  北蓮造
 電気指揮  秀文逸
 幕内指揮  日疋重亮
 幕内指揮  加藤朝鳥

 管絃楽指揮 竹内平吉
 技芸師導  ヂー、ヴイー、ロシー
 舞台監督  上山草人

 協会顧問  医学博士 文学博士   森林太郎
 協会主宰  上山草人

 観劇料 特等 貮圓 壹等 壹圓五拾銭 貮等 壹圓 参等 七拾銭 四等 参拾銭

 などとある。

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