青木繁「海の幸」記念館
青木繁が油絵「海の幸」を描いたのは、小谷(こたに)家であった。
小谷家が青木繁に油絵を描くからといってよくもまぁ、場所を貸してくれたものだと思う。
小谷家に現在ある「海の幸」の絵は複製がある。
本物の常設展示は石橋美術館であるという。
小谷家には、青木繁にまつわる資料がたくさんある。
小谷家の「婿」さんが一生懸命に私たちに青木繁のエピソードを教えてくれる。
27名で記念館に押しかけたから、小さな小谷住宅は一辺に案内できない。
私たち27名の半数を小谷住宅で説明し、後の半数を外のモニュメントの説明にあててもらった。
青木繁の油絵「海の幸」は漁師が魚を吊しているところを、実際に見て描いたものではなかった。
もちろんゆかりの浜辺がある。
当時この辺の漁民はサメ漁をしていた。
青木繁は小谷家の畳の部屋の中で、図譜を参考にあの力強い油絵を描いたのだった。
「海の幸」に出てくる漁師がサメを吊した絵は圧巻だ。
その当時の漁村のサメ漁の一端を知ることができた。
地理的に見ると、白浜は勝浦や銚子に近く、これらの漁港には太刀打ちできるほどの漁港の規模ではなかった。
サメ漁で、だんだん遠くに出て行かざるを得なくなった。
漁師たちは無理をした。
サメ漁は衰退していった。
大島の方まで漁に出ていったという。
小谷博物館には青木繁とその妻の福田たねの写真が置いてある。
それだけではなく、その息子である福田蘭童(映画「笛吹き童子」の作曲者)とその孫のクレージーキャッツの石橋エータローの写真が飾ってあった。
おもしろい「海の幸」記念館だと思った。
(つづく)
ーY.Kー