岡山県備前市でとんでもないことが起こっている。
「世帯全員のマイナンバーカード取得を条件に子どもの学校給食費や保育料を無償化する」という方針を市が打ち出したからだ。
新聞報道によると、市はこれまでに少子化対策として保育園やこども園の保育料を無償化してきて、昨年度は市立小中学校の給食費も無償化したという。
ところが、本年度は先に述べたように世帯全員のマイナンバーカードの取得を前提に無償化をするという言わば、マイナンバーカードを盾に取った政策を公然と打ち出してきたのだ。
逆に言うなら、無償化を人質にしたマイナンバーカード取得を迫るという異常な動きとも言えるのではないだろうか。
当然、これには、「任意であるカード取得を強制しかねない」として多くの市民が反発したという。
実に当たり前なことである。
一気に全国民に対してマイナンバーカードを取得させようとしたものの、容易に進まない現状を何とか突破しようと国は躍起になっているが、こうした地方自治体による取り組みは国を忖度したものかもしれない。
それにしても、ここまで露骨にマイナンバーカード取得を迫るとは、個人の自由権を縛るものとして厳しく糾弾したいものだ。
一方、国のやり方も次第に強硬になりつつあるのも見ておく必要がある。
当初の総務省の読みとしては、2022年中に全国民にマイナンバーカードを保持させるねらいだった。
そのために、「2021年9月末迄にカード取得申請すればマイナポイント20,000円を付与する」という餌を撒いた。
ところが、ほとんどの国民がそっぽを向いていたので、申請期限を2022年12月迄と大幅に延長した。
これでかなりの人々が申請したが、未だ60%程度にとどまっていたため2023年2月末迄の再延長をした。
この辺りから今まであまり関心のなかった人々が飛びつくようになった。
物価高なのに賃金が上がらず、生活苦に陥る人々が激増するプロセスに符合するような形で、締め切り期限の2月後半には20,000円を求めて殺到する事態が発生した。
次にやって来たのはカード取得をした後に行うポイント使用の申し込みだ。
これが5月迄延ばされたが、容易に進まないのを見越した総務省は9月迄の再延長を図ったのである。
馬の前ににニンジンをぶら下げるやり方で、実に姑息な発想としか言えない。
今回、備前市では市民の反発を受けて、とりあえずこの異常な条件を撤回したが、それまでは無償で行っていたものを有償に戻してリセットした上で、マイナンバーカード取得と交換条件で無償化しようとしたもので、これもまた姑息なやり方である。
私たちは、こんな自治体や政府のやり方を許せるだろうか…。
いや、信用できるだろうか…?
信用できない政府や自治体に、私たちの大切な個人情報を預けることなんてできるわけがない!
断固反対である。
-S.S-