「輪廻転生」について その3
●「人間界と天上界」の真実
*人間界の真実
人間が現に住んでいるこの世界を、楽しく美しい世界とみなして
いたとすれば、当然、この世界を嫌う理由は何もない、それどこ
ろか一日も長く生きていたいと願うし、死後も再び人間界に生ま
れたいと願うはずです。
輪廻する事を嫌悪しなくなる。それでは何時まで経っても輪廻の
輪を断ち切る事は出来ない、ついには、解脱の境地に到達する
事は不可能となってしまう。
人間が何故、この世を美しく楽しい世界と感じるのだろうか、
それは異性としての男と女が存在するからだと言われている。
人間界を真実の眼で眺める事によって、何とかしてこの世界から
離れたいと言う気持を起させる必要がある。(解脱するために)
その為に説かれた三つの教えがある。
*第一の教え:この人間界は不浄であって、決して清浄な世界で
はない。
*第二の教え:この人間界には決して楽しみ等は何ひとつ
として存在なく、四苦八苦のように多くの苦しみ
が充満している。
*第三の教え:この人間界は全てに於いて「無常」であって、存在
する、あらゆる現象も絶対に永遠ではなく、一時的
なものにしか過ぎないと言う事なのです。
*不浄な存在としての人間「往生要集」より
「外には端厳の相を施すと雖も、内には唯諸の不浄を裏むこと
、猶し画ける瓶に糞穢を盛るが如し」
訳:外面はどんなに美しい姿をしていたとしても、内部には山ほ
ど汚い物を包み込んでいて、丁度美しい色付けをした瓶の中に
糞尿を一杯詰め込んだようなものが人間である。と書かれている。
*諸行無常の世界
この世のあらゆる存在と現象とは、例外なく無常なのである。
〈生まれた者は何時か必ず死んでゆく、創られた物もやがては消滅
していかなければならない〉と言う事が事実とすれば、たとえ一時的
な錯覚によって、人生を美しく楽しいものと感じたとしても、やがては
それらと別れなければならない。
「一切の諸の世間にて、生けるものは皆死に帰す。寿命無量なり
と雖も、必ず終尽すること有り。夫れ盛んなるものは必ず衰うこ
と有り。合い会う者は別離有り。壮年は久しく停まらず。盛色も病に
侵される。命は死のために呑まれ、法として常なる者有ること無し」
訳:この世のあらゆる生きものは、全て死んでゆくのである。どんな
に寿命が長いとしても、必ず寿命が尽きる時が来る。栄えている者
もいつかは必ず没落し、会った者とも必ず別れる日がやって来る。
若い時代は何時までも続くわけではなく、健康も病気に依って損な
われてしまうものである。生命は死によって失われ、この世の存在
で永遠なるものは何ひとつとしてないのである。
*仏教の説く天上界。「正法念処経」より
「天上より退かんと欲する時、心に大苦悩を生ず。地獄の衆の苦悩
も十六の一にも及ばず」
訳:天の世界を離れようとする時には、心に大きな苦しみが生まれ
地獄のあらゆる苦しみでさえ、それに比べると十六分の一にもなら
ない。
天上界といえども決して楽なところではないようです。
現世の自分は死後どの世界に行くのか、それはこれからの「業」次第
でしょう。
人間要は、「法(教え)を守って正しく生きなさい」と教えているわけです。