無数に並ぶ本の中。
背表紙に書かれた≪「はじめまして」を3000回≫という題名に目が止まった。そして、手に取った。
喜多喜久氏の書き下ろし作品だった。あたかも、喜多氏の作品ことを知っているかのような書き方ですが、ごめんなさい。知りません(^_^;)
帯には、こう書かれていた。
出会った瞬間に、永遠の別れが決まっていたとしたら・・・。
"予知夢"で繋がった二人の、泣けるラブ・ミステリー!
「私と付き合わないと、ずばり、死んじゃう」彼女は、天使のような笑顔で言った。
高校二年の北原恭介は、友達の少ないリケイ男子。そんな恭介が、クラスの人気者・牧野佑那(ゆうな)から生まれて初めての「告白」をされた。
「昨日の夜、北原君に告白する夢を見たから」
「予知が外れると、不幸が襲い掛かるの」
冗談みたいなことを言って、ぐいぐい恭介の生活に入り込んでくる奔放な美少女牧野佑那。恭介の頑なな"リケイのメンタル"が次第に揺らぎ始め、ついに想いが"本当の恋"へと変わろうとしていた、そのとき・・・・・・。
恭介は、笑顔を絶やさなかった彼女が、「ある重大な秘密」をずっと抱えていたことを知る。
僕は、
イオンモール桂川の大垣書店の中の一角でこの本の「イントロダクション」を読んだ。
「くだん」という単語をご存じだろうか。漢字だと、「件」と書く。
国語辞典を見ると・・・
~省略~
言いたいのはそっちじゃない。
「くだん」という名の妖怪のことだ。
そいつは、人の顔と牛の体を持つ。人間の言葉を話し、生まれてから死ぬまでの数日の間に、戦争や洪水などの重大事に関する予言を残すという。それらの予言は見事にすべて的中するそうだ。
このイントロダクションを読んで≪妖怪≫あらわるだった(笑)
本のタイトルを見たときに思ったのが、≪博士の愛した数式≫を想像したんだけどな・・・。
牧野佑那は、予知という名のくだんの呪いに縛られながら生きていた。
運命を受け入れ、その呪いとうまく付き合いながら自分の生き方を貫いた。
予知によると北原恭介は死ぬ。
くだんの呪いの通り行動しなければ、自分が死ぬ。
読み進めていくにしたがって、何とも言えないスッキリしない状態が続いた。モヤモヤモヤモヤ。けれど、牧野佑那の本当の気持ちを知るとき、とても切なくて切なくて・・・(T_T)
リケイ男子の北原恭介。
彼も彼なりに人生を通して一途だったのかもしれません。
読了してしばらくは、
切ないです。