■橋下氏の復権で安倍首相と連携も
府知事と市長の大阪ダブル選が大阪維新の会の公認候補の完勝に終わったことで、かねて永田町でささやかれてきたように、来年夏の参院選が衆参同日選となる可能性が一層高まったのではないか。
今回の勝利で大阪維新のカリスマ、橋下徹大阪市長は息を吹き返す。そうなると、憲法改正を最大の目標の一つとする安倍晋三首相にとって、これに協力的な橋下氏との連携強化は必然の流れだ。
橋下氏は今年5月、大阪都構想の是非を問う住民投票で敗れた際に、政治家引退を表明している。とはいえ、平成20年の大阪府知事選の直前まで「(出馬は)2万%あり得ない」と述べていたこともあり、永田町では誰も引退を信じていない。
「国政に来なよ」
現に6月に橋下氏らと会食した際、安倍首相はこう誘いかけもしたという。首相は、3年前の自民党総裁選で勝てた一因は当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった橋下氏とのパイプであり、「橋下カード」だったことを理解している。
そして橋下氏には、将来も首相の座には届かない参院選に出る気はないとされるが、衆院選ならば話は別だろう。
衆参同日選は、橋下氏にとってもチャンスである。
新たに立ち上げた国政政党「おおさか維新の会」が関西だけでなく、全国的な広がりと規模を持つためには自身が出るしかないという判断に傾くのではないか。
「できることがあれば何でもする。憲法改正、ぜひ安倍首相に実現してほしい」
「憲法改正は絶対に必要で、安倍首相にしかできない」
こう語ってきた橋下氏は、安倍首相には頼もしい相手だ。連立を組む公明党が、憲法改正にそれほど協力的でないだけに、橋下氏が国政の場に立てば、公明党の尻をたたく際の牽制(けんせい)役にもなる。
仮におおさか維新の会が相当数の議席を確保すれば、衆参両院の改憲勢力も議席を伸ばすことになる。
自民党の議席が食われる部分もあろうが、民主党など他の野党のダメージの方が大きいとみられる。
橋下氏の「復活」で、すでに民主党と維新の党などによる政界再編の機運は急速にしぼみつつある。
「菅義偉官房長官にとっては、大阪ダブル選は2勝でしょう。これで憲法改正はぐっと近くなる」
今回の大阪ダブル選の結果について、官邸関係者はこうあけすけに語った。もともと官邸サイドは、橋下氏と感情的に対立し、あろうことか共産党と異例の共闘をした自民党大阪府連を冷めた目で見ていた。
橋下氏の方も、選挙戦の街頭演説などで「安倍自民党」と「大阪自民党」を峻別(しゅんべつ)し、前者は評価してみせていた。
もちろん、衆参同日選が取り沙汰されている理由はそればかりではない。やはり大きいのは29年4月に消費税が10%へと再増税されることだ。
もし衆院解散が再増税の直前やその後となれば、重税感に圧迫された有権者の怒りは当然、与党に向かう。
生鮮食品など一部で軽減税率が適用されようと、そんなものは目くらましにもならない。
追い込まれ感が伴い、求心力を失う任期満了は選ばず、どうせいつかは衆院を解散するのなら、来年のうちにそのタイミングを探るのは当然のことである。
それならば、衆参同日選で国民に信を問うことが有力な選択肢であることは間違いない。政府が来年の通常国会召集を異例の早さの1月4日と決めたのも、同日選実施を考慮したからだとみられている。
来年のことを言うと鬼が笑うといわれるが、いずれにしても選挙報道で忙しい年となりそうだ。
以上、産経・論説委員兼政治部編集委員記事より
私は、憲法改正に賛成だが、橋下氏は、道州制を叫んでいる点が支持できないところである。道州制をやれば国力が落ち、外国から侵略されやすくなるからだ。
しかしながら、自分の意見を堂々と言いリーダーらしい人材も周りにはいません。大阪ダブル選挙に勝ったのも橋下氏の力である。リーダーとして立派であり、おそらく衆院選でのし上がってくるだろう。