[東京 24日] - 日本の財政が危うくなるとすれば、日銀の緩和政策解除や2%物価目標達成を引き金に国債の大量売却が誘発されるときかもしれないと著名経済学者のヌリエル・ルービニ氏は指摘する。
一方で、当面の取り組みとしては企業の設備投資を促すビジネス環境づくり、中期の課題としては移民政策の見直しや女性の労働参加を後押しする諸政策、非正規・正規雇用の格差是正など主に労働分野での構造改革の重要性を説く。
同氏の見解は以下の通り。
<構造改革:TPPに期待、ビジネス環境の改善が先決>
アベノミクスは女性の労働参加を推進し、(日銀による量的質的金融緩和政策の後押しを受けて)企業収益を押し上げている。しかし、高齢化や年功序列型賃金、染みついたデフレマインドは、日本経済の潜在的な成長力が今後も停滞することを意味している。
アベノミクスの構造改革の側面が、そのような状況を改善する可能性はある。だが、長期的に持続可能な成長を妨げる制度的障害を取り除くことにこれまで失敗しており、改革の履行は中途半端だと言わざるを得ない。
改革の最前線でカタリスト(けん引役)となり得るのは、(まだ批准されていないが)環太平洋連携協定(TPP)かもしれない。TPPによって日本市場の開放が進み、一部の分野では生産性が向上し、主要な貿易相手国の市場に参入しやすくなる。TPPの発効は望ましいが、米国では2016年大統領選の争点なるリスクがある。
一方、労働力不足に対する中期的対処法として、日本は高い教育を受けた労働者を引きつけるため移民政策を見直し、女性の労働をさらに促進するようヘルスケアや保育園・幼稚園の供給を増強しなければならない。
そして、「終身雇用」で高賃金の正規社員と、不安定で低賃金な非正規社員の格差を縮小するための全面的な制度見直しが必要だ。
量的質的緩和はある程度、家計のインフレ期待を高めた。だが、物価目標2%を達成するには、家計の所得、ひいては消費を押し上げる改革が必要だ。まず初めに、投資、賃金、消費の好循環を生み出し、設備投資を促すより良いビジネス環境づくりから始めるのがいいのではなかろうか。
<財政再建:緩和解除・2%目標達成時に注意>
対国内総生産(GDP)比で見た日本の公的債務残高(2014年で240%)は、他のどの主要経済国のそれよりも大きい。その大部分は、資産バブルによって過熱した経済が崩れ、終わりなき低インフレに突入した1990年代に発行されたものだ。
このような莫大な債務が持続可能であるには、日本国債(JGB)の利回りが超低金利であり続ける必要がある(10年債で1%未満。それより短い償還期間の債券ではマイナス金利)。
金利が上昇する確率は当面低い。なぜなら日銀がJGB買い入れを継続し、一般家庭も外国資産よりJGBを選好し、金融機関も資産負債管理の規制によって安全かつ流動性のある長期資産をある程度保有することを求められているためだ(JGBは通常、好まれる資産だ)。
とはいえ、量的質的緩和がいずれ解除されたり、2%の物価目標が達成されることがあれば、国債の大量売却が引き起こされ、日本の財政が危うくなるかもしれない。
日本政府は経済状況に関係なく、17年には消費税率を(現在の8%から10%に)上げるとしている。
また、財務省は15年度の税収が上振れたこともあり、16年度は新規国債の発行を減額する方向にある。
これらは財政健全化につながる歓迎すべき措置だと言える。だが、参院選そして総選挙が近づいていることを考えれば、財政健全化のペースはゆっくりとしたものになるのだろう。
以上、ロイター記事より
こういう人間の言うことをやっていたら、日銀白川総裁時代に戻っていくと思われる。
この人の言う反対のことをやるべきであり、ケインズ理論に基づいた公共投資を長期に渡ってやることが内需を大きくして日本全体が好景気になり、民間企業の設備投資を促すことになる。
河川改修工事、耐震工事など長期計画を立てることが地方再生になると思います。
新自由主義の連中の言いなりだとデフレ脱却はできない。