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帯とけの枕草子(拾遺四)文字にかきてあるやうあらめど
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、この時代の人々と全く異なる言語感覚で読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子(拾遺四)文字にかきてあるやうあらめど心えぬ物、
文の清げな姿
文字(漢字)に書いてその通りでしょうけれど納得できないもの、炒塩(いためしを)。袙(あこめ・内着)。帷(かたびら・単の衣服)。屐子(けいし・高げた)。泔(ゆする・米のとぎ汁)。桶(をけ)、舟(ふね)。
原文
もじにかきてあるやうあらめど心えぬ物、いためしを。あこめ。かたびら。けいし。ゆする。おけ。ふね。
心におかしきところ
文字に書いてそのとおりでしょうけれど、得心できないもの、傷めしお、吾こめ片平ら、軽子、白汁、お毛、夫根。
言の戯れと言の心
「心えぬ…納得できない…得心できない…満足できない」「いため…炒め…傷め…負傷…折れゆき」「しを…塩…士を…おとこ」「あ…吾…わたし」「め…女…おんな」「かたびら…帷…片平ら…不満足な平の」「平…山ば無し」「けいし…屐子…軽士…軽子…軽いおとこ」「ゆする…泔…白汁…おとこ白つゆ」「おけ…桶…置け…露などおりよ…贈り置け」「け…毛」「ふね…舟…夫根…おとこ」。
「枕草子」は、女たちが「をかし」と笑えれば、それでよい。
清少納言は、うたて(普通ではない)だけである、えん(艶)になってしまった人は、あのように、あだなるさま(一時的で気まぐれな有様)になるのでしょう。その行き着く果て、いかでかは良く侍らん(どうして良いでありましょうか)などと、紫式部がその日記に指摘した通りの文芸である。
「枕草子」は、紫式部の批判が納得できる読み方をしましょう。「清げな姿」だけを見ていては、紫式部の批判がよくわからないはず、つぎは、紫式部日記の文を曲解することになる。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。