帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子(拾遺九)汗衫は

2012-02-17 00:05:06 | 古典

  



                      帯とけの枕草子(拾遺九)
汗衫



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、この時代の人々と全く異なる言語感で読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



  清少納言枕草子(拾遺九)かざみは


 文の清げな姿

 汗衫(下着)は、春はつつじ(表は白、裏は濃い紅色)、桜(表は白、裏紫色)。夏は青朽葉色、朽葉色。


 原文

 かざみは、春は、つつじ、さくら。夏は、あをくちば、くちば。


 心におかしきところ

 彼さ身は、張るは少しづつ、咲くら。暑い時は、吾お朽ち端、(飽き待たず)朽ち端。


 言の戯れと言の心

 「かざみ…汗衫…下着…彼さ身…おとこ」「か…彼…あの」「さ…それ…あれ」「春…張る…緊張する…膨張する」「つつじ…躑躅…色目の名…つつしる…少しづつ食らう…少しづつものいう…途切れとぎれにうたう」「さくら…桜…色目の名…おとこ花…咲くら…お花さく状態」「ら…状態を表す」「あをくちば…青朽葉…色目の名…青いまま朽ちるは…吾お朽ち端」「は…葉…端…身の端…おとこ」。


 
 枕草子はおとなの女の読物。女たちが「をかし」と読めるもの。それ以上の文芸ではない。まして、それ以下の味気ない文ではない。


 
伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
 原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。