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帯とけの枕草子(拾遺十)織物は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、この時代の人々と全く異なる言語感で読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子(拾遺十)をりものは
文の清げな姿
織物は、紫。白い。紅梅も良いけれど、見飽きすることこの上なし。
原文
をり物は、むらさき、しろき。こうばいもよけれど、みざめこよなし。
心におかしきところ
折り逝ったものは、斑咲き、白々しい。好配(見目の好いつれあい)もよいけれど、見て興の覚めることこの上なし。
言の戯れと言の心
「をりもの…織物…折り物…逝くもの…おとこ」「むらさき…紫…斑咲き」「しろい…白い…色の果て…白々しい」「こうばい…紅梅…染め色の名…紅配…綺麗なつれあい…好配…好きつれあい」「ばい…梅…男木…はい…配…配偶者」「みざめ…見ていて興がさめる…見慣れて情熱が冷める」「見…目で見ること…覯…まぐあい」「こよなし…甚だしさこの上もない」。
おとなの女たちのための、絹織物の選び方。男の品定め方、簾越しに見える顔だけで選ぶな、彼お見て選べ。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。