情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

波動関数と波束の収縮の誤解を正す

2019-05-25 11:00:21 | 情報と物質の科学哲学
波動には重ね合わせの原理が成り立つという特異な性質があります。
これを用いると電磁波の干渉や回折現象力学的に説明できる。

シュレーディンガー方程式の波動関数ψも波動方程式を満たします。
量子力学は、二重スリット実験における電子の干渉縞をこの原理で説明します。

しかし、電磁波における波動の重ね合わせと波動関数における重ね合わせは本質的に違います:

電磁波の場合には電場および磁場という実体(測定できる物理量)があるので、
波動の重ね合わせは力学的現象として(物理量の加減算)として理解できます。

一方、波動関数ψは複素数なのでこれに対応する実体はありません。
波動関数は、実在しないのです。

波動関数の重ね合わせは、単に複素ベクトルの加減算に過ぎないのです。
更に、波動関数ψには確率的性格もあります。

複素ベクトルの加減算を力学的なイメージを伴う波動の干渉として表現するのは誤解を招きます。

以上から分かるように量子力学における波動関数の重ね合わせや干渉は
(1)物質的現象を意味するものではなく
(2)量子現象に関する「情報の重ね合わせ」つまり計算規則として理解すべきものなのです。

しかも、物理学者は確率の干渉という数学的に意味不明な用語を平気で用いています。

波動関数と1対1に対応するような物質現象は何もないのです。
それにも関わらず、教科書や参考書などでは恰も波動関数が実在するような記述が蔓延しています。

以上の説明を模式図で示します。


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波束の収縮とシュレーディンガーの猫 ノイマンの罪

2019-05-25 09:04:02 | 情報と物質の科学哲学
粒子源から1個の電子を自由空間に送出します。
この電子の状態は、波動関数ψで表されます。

電子は送出時には局所空間にあるので、ψも局所的性質を持つ波束で表されます。
波束ψは、シュレーディンガー方程式に従い時間の経過と共に拡散します。

波動関数ψは、拡散した空間内のすべての点で値を持ちます。
電子が粒子的性質だけを持つ場合、この説明は成り立ちません。

電子が検出器板で検出される前のψは空間に拡散した波動関数で表されますが、
電子が検出された瞬間にψは局所的な波束で表さます。
コペンハーゲン学派は、これを「検出によって波動関数が瞬時に収縮する」
と解釈しました。
この状況は、波束の瞬時収縮波束の瞬時崩壊などと呼ばれます。

波束の瞬時の収縮は光速を越えるのでアインシュタインはこれを批判しました。
シュレーディンガーも測定した瞬間に波束が収縮するという考えに反論するため
有名なシュレーディンガーの猫というパラドックスを提起しました。

異常な能力をもつため”火星から来た悪魔”と揶揄されたノイマンは、
「量子現象の測定が観測者の脳の中で終了する」
としても理論的に矛盾しないと主張しました。

測定に意識の関与を持ち込んだのです(観測問題)。
この場合、
(1)脳で猫の生死を判定するのは観測者の意識による主観的判定であって
(2)測定器による客観的測定ではないことに注意すべきです。

客観主義を標榜している物理学者は、主観と関わる観測問題を未だに議論しています。
これも量子力学のミステリーの一つです。

”シュレーディンガーの猫”は、量子力学の不可解さを象徴する話題として一般受けするため、
今でも多くの本が出版され続けています。
無用な混乱を招き続けるシュレーディンガーの猫は、一日も早く永眠させるべきです。

なお、波束の瞬時収縮は非物質的現象であり、そのために多くの混乱を招いています。
詳細は、ブログ”コペンハーゲン解釈の欠陥”にあります。

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