情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

情報駆動型制御とディジタル制御の違い

2019-05-01 15:29:19 | 情報と物質の科学哲学

ディジタル制御は、物理量を直接利用するアナログ制御と対になった概念です。
ディジタル制御は、物理量をディジタル変換(A/D変換)したものをマイコンに入力し、
計算結果をアナログ変換(D/A変換)して元の物理量に戻して制御に利用します。

物理量を利用する制御という点ではディジタル制御もアナログ制御と同じです。
物理量を利用する制御を物質駆動型制御と名付けます。

一方、情報駆動型制御において本質的な役割を果たすのは物理量ではなく情報です。
制御の目的に応じてその情報を加工します。
最終的には何らかの物理量に変換して制御に利用します。

これらの点がディジタル制御と本質的に違います。
両者を混同している場合が多々あるので注意が必要です。

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情報駆動型制御とマイコン

2019-05-01 10:57:32 | 情報と物質の科学哲学

情報を利用する制御を情報駆動型制御と名付けます。
情報駆動型制御システムの長所は、計算や学習など知的機能を組み込めることです。
もう一つの長所は、使用条件に対する柔軟性です。
プログラムの変更で対処できるからです。

(1)温度をデジタル温度計で測定して数値化し
(2)その数値を利用して加熱回路スイッチの開閉を制御する
自動温度調節装置(マイコン式)について考えます。
エアコンにはこのような装置が組み込まれています。

この装置は、温度を数値情報に変換して利用する情報駆動型制御システムです。
(1)一定時間ごとの温度の測定値(情報)と設定温度値とを比較し
(2)測定値が設定値を超えたとマイコンが判定したとき加熱回路のスイッチを切ります。

このときの判定という概念は、物理則と無関係です。
スイッチ開閉の判定は、物理的決定論によるものではないからです。
温度情報を利用して加熱スイッチの開閉を主体的に選択します。

サーモスタット式とマイコン式の違いは、設定温度を変更する場合です。
(1)前者の場合にはバイメタル自体を取り替える必要がありますが
(2)後者の場合には設定温度の数値を変更するだけで済みます。

情報駆動型制御システムに関する現象は、物理則のみでは理解できません。
非物質的概念である測定値情報を利用しているからです。

物理学でも情報という用語は頻繁に使われますが便宜的です。
物理学に登場する情報概念は情報理論のものか熱統計力学の
エントロピーという情報に関係する概念です。
このエントロピーは、物理的次元をもつ物理量です。

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情報化の本質-物理量の抽象化(透明化)

2019-05-01 09:29:23 | 情報と物質の科学哲学

外部から入力された物理量は、測定器によって測定値情報に変換されます。
物質的実在である物理量が抽象的な情報に変換/写像されるのです。
このような変換を抽象化と名付けます。
この事実こそが情報化の本質です。
情報化という用語があるのに抽象化という用語を敢て使うのは、
情報化によって物理量の次元が失われることを強調したいからです。

測定器から出力されるのは情報表現物質であって、情報そのものではありません。
測定値情報は、この情報表現物質に担われて出力されるのです。

測定器には多種多様な物理量を抽象化する機能があります。
抽象化によるメリット:
(1)計算や学習などを実行できる
  測定対象に関する数学的世界の構築が実現できる
(2)異なる次元の物理量を関連付けることが可能になる
  毒々しい色で、かつ、異臭を放つ生物は危険という判断ができる
(3)異なる次元の物理量の大きさの比較が可能になる(物理的には不可能)
  手に持った湯呑みがかなり熱いと手放す→湯呑みの重さと温度という異質の物理量を感覚によって比較する

抽象化によるデメリットは、入力物理量の次元が失われることです。
そのため、環境との接点、あるいは、整合性も失われます。
このデメリットは、環境の中で行動するロボットにとって障害となります。

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