「妻の終活」を読了しました。
著者は「若旦那のひざまくら」と同じ坂井希久子さんです。
定年退職後に同じ職場嘱託で5年勤め、更に系列の工場に勤務中の主人公。
作業着に着替えるから私服で良いのに、
未だスーツで出勤しているのは、妻に対する見栄?
男尊女卑の父親が及ぼした影響で、
主人公も妻に口答えを許さない。
近所の噂話もさせないから、
当然夫婦間の会話は無くなっている。
娘の反抗期も「お前の育て方が悪い!」となる。
(フム、どこぞの夫婦みたい)
妻は何も言わないで主婦に徹して、
夫には逆らわず、家事、育児、近所の付き合いをこなす。
完璧な専業主婦の妻が難しい癌に冒され余命一年の宣告を受ける。
仕事以外の生活全般が何もできなかった主人公の、
気持ちの変化が物語の軸になる。
何もかも妻任せで責任逃れの父親に
何も期待していないと冷めた目を向ける次女。
母親に似て世話好きだからこそ父親に反発する長女。
葬儀の後の長女とのやり取りで泣き崩れる父親を
ただ立ち尽くして見ている長女の心持ち。
亡くして、無くして、
初めて本当に大切な事に気付くのよね。
妻が選択した樹木葬はオカンも同じ理由で考えていた。
今は違うけどね。