あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

忘れられない一枚

2015年05月14日 00時38分53秒 | 写真

 

写真を始めると、とりあえずなんでも撮りたくなる。

そのうち自分の方向性が見えてくるのだが・・・

私も風景を中心に撮影していたが、スポーツを撮ったことがなかった。

そのとき、地元会津の柳津町にジャパン・女子・プロレスがやってくることを知った。

スポーツを撮れるし、女子だし。

一粒で二度おいしい感じがしたのだ。

さっそっく会津坂下町のスポーツ店まで行ってチケットを買った。

リングサイドの一番良い席だったが、たいした金額ではなかった。

やはり女子は男子に比べると知名度的にも、いまひとつらしいことが金額からもわかる。

  

ジャパン・女子・プロレス(当時)という団体はキューティー鈴木というスター選手を

抱えていた団体で、当然撮影の際狙う第一候補だ。

プロレスというのは特別なイベントでもない限りは、同じ団体の中で戦う。

相撲で言うならば、同じ部屋の力士同士で試合をするわけだ。

同じ釜の飯を食べてるわけだから、試合以外では普通に会話するし、一緒に

食事したりもするわけだ。

ビートたけしのネタに、バーに行ったら馬場とブッチャーが一緒に酒飲んでた、

というのがあるが、彼らは恨みで試合をしているわけではなく、全日本プロレスが

高額のギャラでブッチャーを呼んで、スポーツ興業として試合をしているわけだある。

だから、試合が終わったら一緒に酒を飲んでいても不思議ではないわけだ。

  

しかし、いつも身内同士で試合をやっていると、なれ合いになってしまう。

「これ以上やると、ケガするかもな・・・」

とかね。

それに有名選手が多数いる団体ならいいけど、知らない選手と知らない選手が

試合をしても、見ている我々がいまいち気持ちが入らないんだよね。

  

そこで考え出されたのがヒーロー・ヒロインと悪役(ヒール)。

日本人は好きでしょ?

勧善懲悪の「この印籠が目にはいらぬか~」てな、やつ。

そうすれば、

「だれだかわかんないけど、正義の味方がんばれ」

って、なるもんね。

でもさあ、「悪役やりたい人、手を挙げて!」と言われて手を挙げる人、いる?

いないよね。

みんな、アントニオ猪木とかビューティー・ペアとかに憧れてプロレスの

世界に入ったんだからさ。

では、どうするのかといえば、ダンプ松本女氏によれば、入団の面接で容姿とか

判断されて、

「あなたはヒールやりなさい」

と、言われるのだそうだ。

そのとき、ほとんどの女の子は泣くそうだ。

そうだよね。

憧れてやっと入ったプロレスの世界なのに観客から、

「引っ込め!死ね!」

とか言われるんだもん。

でも、好きなプロレスを続けるために仕方なく引き受けるんだよ。

ダンプ松本女氏が電話で

「お母さんごめんね、悪役になっちゃった」

って泣いた話しをしたとき、こっちも涙がでたよ。

なんて酷なことするんだ、ってね。

  

柳津町で撮影したヒール側の選手。

顔には毒々しいペイントがしてあるが、目がとてもやさしい。

彼女が自ら好んで反則をしたり、罵声を浴びせたりするようにはとても思えない。

好きなプロレスを続けるために、泣く泣くイヤな仕事を引き受けて

いるのかと思うと、とても心が痛む。

  

おまけ

  

キューティー鈴木が500円でサインをして売ってました。

弱小団体にとっては貴重な収入源です。

私もミーハー気分でサインをしてもらいました。

その時握手してもらったのですが、普通の女の子の指でした。

歯は欠けてましたが・・・