今日の林先生の今でしょ講座というテレビ番組で、いつもの葉加瀬太郎氏が
音楽のこぼれ話をしていた。
これくらいの話しなら私は驚かないのだが、ゲストコメンテーターの
劇団ひとり氏がカノンを弾きたくてピアノを習っている、という話しをしていた。
そうか、君もすきなのかカノンを。
私も大好きなのですよ。
カノンは正式にはカノンとジークという曲のカノン部分です。
作曲者はヨハン・パッフェルベル。
誰よそれ?って感じだが、バッハと同年代に活躍した作曲家です。
まぁ、ベートーベンより50年くらい前の人です。
それでもわからないだろうなぁ・・・
でもパッフェルベルの名前は知らなくともカノンという曲は超有名で、
色んなアレンジをされたり、映画に使われたりしています。
で、なんで好きなのか。
もちろん、美しく素晴らしい曲であるからなのであるが、
私はバイオリニスト(笑)であるので、演奏者からの視点で見てみます。
第一にかなり演奏の難易度が低いこと。
この曲のバイオリンの最高音はDであるので、習い始めてサードポジションが
とれるようになったらそれなりに演奏できるようになります。
低音部は通奏低音といって、早い話がどんな楽器でもいいわけです。
通常はチェンバロやビオラ、チェロなどで演奏されますが、
分散和音とリズムだけです。
調が二長調であること。
弦楽器はフラット系の調よりシャープ系の調の方が押さえやすいし、
音がきれいに遠くまで響きます。
曲が比較的ゆっくりであること。
やっぱりなんだかんだ言って、速い曲は難しいです。
モーツアルトのような爽やかな曲をすました顔で演奏していますが、
心の中は鬼のような顔で演奏しています。
各パートにおいしい部分が割り当てられていること。
バイオリンは第一と第二に分かれますが、演奏する部分が違うだけで、
もちろん同じ楽器です。
第一バイオリンは主に中音部から高音部、第二バイオリンは中音部から低音部を
担当します。
普通、曲というのは一番の聞かせどころは高音になる傾向があります。
ですから同じバイオリンなのに、おいしい所は第一バイオリンにもっていかれます。
演奏技術の差がはっきりしている場合はしかたない、とあきらめます。
どうしても高音部の方が演奏難易度が高いからです。
でも、同じスキルの場合は、「なんで俺が第二バイオリンなんだよ」って
なるわけですよ。
でもこの曲は輪唱になっているので、第三バイオリンまで同じフレーズが
まわってくるのです。
これは、おいしい。
これまでのことは忘れてもらってけっこうです。
私が好きな最大の理由。
それは、演奏してて、気持ちがいいこと。
この時代、曲に不協和音を入れるなどという考えはなかったので、
すべての音が他のパートときれいにハーモニーしていて、だんだん速く、
だんだん強く、だんだん音程があがっていくこと・・・
ドーパミン出まくり、薬物中毒のような陶酔感ですよね。
この曲は聞くものではなく演奏するものですな。
では、聞いていただきましょう、っていう訳にはいかないんだな。
色々、問題がありまして。
興味があったら、各自聴いてみてください。