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カネと文学

2013年07月09日 | others
作家文学者はいつから職業として成立したのか。
つまり小説家の原稿用紙1枚いくら?というハナシです。
基本的には新聞雑誌掲載の原稿料が収入ですが、
それだけでは食ってはいけないので、
作品を書籍にして販売してその印税が入ってなんとか暮らしていける。
明治時代は作家だけでは生活できない(ほど原稿料が安かった)ので作家は副業をしていた。
作家活動の方が副業だったのかも。

昭和初期の円本バブルで原稿料とともに発行部数の等比級的増大による印税の高騰で
作家が成り金となる時期もあったがすぐにバブル崩壊してもとの窮乏生活に。
その繰り返しで現代に至るわけみたいですが、
ほとんど「純ブンガク」の人たちのことばかりで、
昭和初期のパートには江戸川乱歩のエの字もない。

横溝正史「探偵小説昔話」には、陰獣を書いた当時の乱歩の原稿料が4円で、
陰獣を新青年に書かせるために正史が8円にしたという話が載ってます(探偵小説昔話212ページ)。
4円という金額は、純ブンガクの人と比べても高い方だったようです。
やっぱり乱歩は別格だったんですね。
(カネと文学180ページ-講談社の例で、一流大家で4円ならいい方(中略)
相当に名を売っている人でも1円50銭か2円)。

あとは戦前の出版バブル時に、過労で急逝した牧逸馬の名前が出ているくらい。
純ブンガク以外は今回の検証の対象ではないんですね。(カネと文学184ページ)

乱歩「幻影城」や正史「探偵小説五十年」を読んでいるクチには、
昭和16年以降は探偵小説は諜報ものや捕物帳以外は書けなくなったというのが常識でしたが、
純ブンガクの人たちは19年ごろまでは売れる人であればけっこうな数が出版されていたようす。
国策に合えば紙も都合がついたみたいで、
そのあたりも商売っ気マンタンですよ(いいことですが)
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