私の作った寝具で
誰かを幸せにするお手伝いがしたい
『音色』
私の名前は小室 陽(ひなた)。
去年の11月におばあちゃんがいる
この町に引っ越してきた。
どんな町かって?
「ここは日本のアマルフィって
最近言われているらしいよ」
おばあちゃんが言っていた。
だけど、アマルなんとかって言う
町がどんな所か知らない。
もし、他人に聞かれたら
「ここは港が近くにあって、
猫がそこいらじゅうにいる町」
って答える。
おばあちゃんもずっと昔にこの町に
越してきたんだって。
もう死んじゃったけどこの町で
小学校の先生をしていた人と
おばあちゃん結婚してそれから
ここにずっと住んでるの。
私も4月になったらその小学校に
通う事になるはず
お父さんの仕事が終わらなければ。
だってお父さんの仕事、地質学だから。
お母さんも何をする仕事か良く分
からないらしいけど、いろんな場所
の土とか岩とかをほじっている
らしい。
何かを調べて、それが終わったら
また違う場所に行くんだって。
いつ終わるか解らないし次にどこの
場所に移動するかも解らない。
だから、お父さん以前は1人で
何ヶ月も出張していたんだって。
でも
「お父さんも陽の近くにいつも
いたいから」って今回から現場が
変るたび家族で引越しようって事に
なったの。
この町には小松石っていうここで
しか採れない石があって
お父さんそれを調べるためここに
来たの。
それがおばあちゃんの住んでいる
この町だったの。
私たち、おばあちゃんが貸している
アパートに住んでる。
お母さんが高校を卒業して町を出て
その後おじいちゃんが死んじゃって
おばあちゃん
「一人で住むには広すぎるから」
って、家の一部をアパートにしたん
だって。
でも、ここ数年は誰も住んでいな
かったみたい、だからラッキー
だってお父さんが言ってた。
「家賃がかからないから助かる」
って。
続く