赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

カマラ・ハリスの大失態

2024-11-14 00:00:00 | 政治見解
カマラ・ハリスの大失態




トランプ地滑り的大勝利(Landslide Victory)の背景には、10月16日に行われたFOXインタビューが、カマラ・ハリス副大統領の致命的な欠陥を暴いたからという話が広まっています。

彼女は,米民主党の不法移民対策についての質問に窮して答えられなかったからなのです。

この間のインタビューを観察していた国際政治の専門家が詳しく解説してくれました。(原文ママ)


「不法移民は何百万人いますかの問い」にカマラ・ハリスは答えず

カマラ・ハリスに司会者のブレット・ベアーが初めに聞いたのは「違法入国者をどんどん国内に入れていて、現在600万人いるという説もありますが何百万人いると思いますか?無制限に受け入れたのは間違いだったのではないでしょうか?」と質問しました。今年の夏から違法入国者に対する取り締まりをバイデン政権も多少は厳しくしたのです。このままだと、カマラ・ハリスが選挙に負けてしまい、バイデン自身も選挙に負けてしまうので、この問題を突っ込まれたくないというので厳しくしたら違法入国者が当然減りました。

しかし、減ったから良いではないかという問題ではなく、初めからトランプ政権のときのように違法入国者を捕まえたらメキシコに追い返せば良いのです。とりあえず、南の国境を越えて来た人はメキシコにお引き取りくださいと言えば良いでしょう。そういう政策を取らずにトランプ政権の時代の政策を転換・反古にしてしまったのは間違いだったのではないでしょうか。

最後に「今、何百万人くらいの移民がアメリカ国内に入っていると思いますか?」と聞いたら、ハリスは答えられませんでした。彼女は形式的に「その問題を質問してくださって、ありがとうございます」と言っています。「何百万人いるのですか?」と聞いたら「我々が政権に就いたときは、既に移民政策は完全に破綻していて、それを直そうとしました」と答えました。

それに対して司会者のベアーは「私が聞いているのは何人の移民が入ったという数字です。100万人ですか?300万人ですか?」と聞き返したのです。すると彼女が「そのポイントを今から話します。大前提として我々の移民制度が完全に破綻していました。だから、それを直す必要があったということです」と言いました。

また司会者が「しかし、あなたの政権の国土安全保障省の長官は85%も逮捕者が云々」と言っていたらカマラ・ハリスが口を挟んできて「いや、私に話をさせてください。そもそも、移民政策は・・・」と言ったときに、ベアーが「違法に入ってきたのは600万人くらいですか?」と被せてきたのです。そしたら彼女は「あなたの質問には必ず答えますから、私に全部言わせてください。今から私が答えます」と言ったら司会者が怒ってしまいました。

またベアーの方から「そうではなくて、民主党政権になってから、トランプ政権の国境政策を改めたことを振り返っておかしいと思いませんか?そのことを後悔していませんか?」と言うと、その話が他の方に行ってしまい、言葉と言葉が重なるという瞬間がありました。単なる両方の言い合いのようになっていて、要はハリスが質問に答えていないというのが続いていただけです。


不法移民の犯罪に対しては、「お気の毒とは思います」

それから違法入国を認めた人がアメリカ人をたくさん殺したり、罪を犯したりしています。その中で3人の若い女性の犠牲者の名前をベアーが挙げました。彼の方から「ジョセリン・ナンガレイ、レイチェル・モーリン、レイケン・ライリーという3人の若い女性は、あなたの政権が許可した移民政策によって違法に入ってきて、さらに国内で無罪放免となって入国を許された人によって性的な暴力を受けて殺されました」と言っています。その3人のうちのレイケン・ライリーのご家族が証言している映像が出ました。

彼女の母親が「バイデン・ハリス政権の間違った移民政策によって殺された自分の娘は犠牲者です」とはっきり言っているビデオがあるのです。その映像をFOXで流してベアーはカマラ・ハリスに対して「あなたは、この家族に謝罪する気はありませんか?」と聞きました。確かに質問の内容はきついですけど、実際にそういう犠牲者の家族がいらっしゃいます。そしたら彼女は「お気の毒とは思います」と言ったのですが、それ以上は言いませんでした。

そこで謝罪すると言ったら、今まで取っていた政策が間違っていたということになります。その他にもベアーが尋ねた複数の質問があるのですけど「あなたは2019年に入ってきた違法入国の移民に対しても、希望者がいれば政府がお金を払ってでも性転換手術をやらせるべきだと言っていますが、未だにその意見は変わりませんか?」と聞かれて、これもハリスは答えられませんでした。そういうときは「法律を守ります」と繰り返して言って、質問から逃げるような形になっていたのです。トランプ政権のときは、そのような手術はありませんでしたが、こういったご質問にハリスは逃げるだけでした。

その他の質問として「イランに対して経済制裁を強めるべきではないのですか?なぜならイランが経済制裁を名だたる政権が解いてしまったので、イランは石油でも天然ガスでも売ることができますから、それでお互い経済的に豊かになりました。そのお金を軍資金にしてハマス、ヒズボラ、フーシ派などに回したので、親イランのテロ組織が暴れ回っているのです。それがハマスによる去年の10月7日のイスラエルに対するテロ攻撃でした。そこで1500人くらい殺して、250人くらいの人質を取っていったという事件にもなっているのですから、イランに対する経済制裁を強めるべきだと思いませんか?」と聞いたのです。

トランプ時代は強めていたのですが、ハリスは「そういう仮定の質問に答えることができないです。そういった事実が全て明らかになったわけではないので、それに対してはお答えできません」という回答だったのです。


バイデンの認知症疑惑をトランプにすり替える

質問の5番目で「バイデンの認知症彼の知的能力が衰えていることについては、いつ頃から気がつきましたか?」と聞いたら、ハリスは「バイデン大統領はちゃんとしています。ずっと、いろいろな会議にも出ていました。バイデンの知的能力は全く減退しておりません」と答えたのです。完全に答えが違っていて、バイデンの認知症問題を言ったときに「それよりも問題なのはトランプです。トランプは危ないです。アメリカ人のみんながトランプのことを信用していません」と言っていました。

トランプを主語にして否定する方に話を持っていくという、お粗末な感じだったのです。私が見ていて感じたのは、なぜ彼女がFOXに出たのかということがあります。しかもブレット・ベアーは、反トランプでもありますが、きつい質問をガンガンする人で有名です。そのような人の番組に出れば「ライオンの首の中に頭を突っ込むようなものだ」という表現がありますけど、そのような感じでしょう。

それにカマラ・ハリスは当意即妙の答えができない方なのですから、相当準備していたとしても非常に厳しいです。その話の出方によっては、話のごまかし方もいろいろあります。大統領と副大統領とは言っても、私の考え方はバイデン大統領と違うという言い方もできるでしょう。違法移民の質問に対しても「私は何百万人の移民が入ったか知りませんが、我々としては国境を安全にするためにも云々」と言って言葉を継いで答えることもできるわけですが、そのごまかし方も知らないという印象を受けました。

こういう危険な番組にハリスが出た理由は、おそらく支持率が低迷・停滞・下落しているからでしょう。彼女が大統領候補になったときはリベラルマスコミが応援団となって団結して盛り上げたので、支持率も上がったように見えました。それでも実際の支持率は高くなかったと思いますが、高い支持率が下がってきたと言うより、低いままだったのではないでしょうか。しかし、表向きに見たら高い支持率が下がってきたので、危険を感じて肩入れをしないといけないと思って、10月上旬のCBSの『60 Minuets』と10月16日のFOXのインタビューに出演したのだと思います。

その結果としては、大惨敗・大災害・大敗北という表現が使われていましたが、全くその通りだったのです。特に貫禄がないとか大統領候補ではないという感じで思わせたのは、司会者と言い合いになってしまったところだと思います。ハリスが質問に対して直接答えないので、司会者が怒り出してきて「それはどうなのですか?」という押し問答がCBSの『60 Minuets』の方でもありました。その番組の冒頭でも「移民政策は失敗したのではないでしょうか」と言われています。

その体験もあるのに今回も司会者と言い合いになってしまいました。そして彼女は「必ず答えます。私に終わりまで話をさせてください。終わりまで話させてください」と言いながら最終的には質問に答えないのです。

FOXの司会者のベアーも「マダム・ヴァイス・プレジデント(副大統領閣下)」と丁寧に呼びかけながら、厳しい剛速球クラスの質問を抑えることはできませんでした。この番組を見た人たちは「これで大統領候補なのか?」と頭を掻いてしまうような結果になってしまったということです。彼女が感情的になってイライラした状況が見えてしまったというのも、インタビューとしては非常にまずかったと思います。それが“Disaster(大災害)”に終わったFOXの26分ということでした。



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