赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

会計検査院の権限強化を コラム(282)

2018-10-27 19:18:59 | 政治見解




コラム(282):会計検査院の権限強化を


毎年11月、国の予算が適切に使われているかどうかの結果が会計検査院によって報告されます。


会計検査院の任務

会計検査院は、国の収支決算、政府関係機関、独立行政法人、国の補助金、財政援助を受けている団体などの会計検査を行う機関です。一般会計の約100兆円と、特別会計の約200兆円、合計300兆円規模の予算の執行状況をチェックします。

しかし、特別会計は各省庁で決定し、金のやり取りが複雑に絡み合っているため、特殊法人から民間に流れるお金は検査が困難となります。

平成28年度決算検査報告では、税金が決められた予算や法律に従っていない不当事項が333件、約137億円。不正使用の修正や不正防止対策を求めたものが合計423件、約874億円あったと報告されています。


会計検査院の検査は10%以下


この報告は氷山の一角で会計検査院の指摘は、全体の無駄遣いのわずか10%に満たないのが現状です。

会計検査院の検査は、対象省庁や団体から提出された書類をチェックする書面検査と、税金を使っての工事や物品の購入の現場に出向く実地検査があります。

実地検査の実地率は、本省・本庁・本社などでは44%程度で2年に1回、その他は5年に1回程度で十分な検査とは言えません。検査対象は一部の部署に限られているため実態を掴むことは極めて困難と言わざるを得ません。


会計検査院の限界

会計検査院は憲法90条の規定で「内閣に対し独立の地位を有する」としてその改廃についても憲法改正を要する重要な機関と位置づけられていますが、実際の人事権は内閣が握っているため、真に独立しているわけではありません。

また、実際には検査対象の省庁が了解しない限りその内容を報告書に載せないという不文律が存在するため、報告書に載らない無駄遣いや不正が多数存在します。さらに会計検査院の職員が検査の対象の団体(独立行政法人や特殊法人など)への天下りも散見されるため、会計検査院が必ずしも100%公正公平な立場とは言えません。

急がれる会計検査院の強化


会計検査院が本来の使命に立ち返り、行政の無駄遣いを厳しくチェックしてもらいたいとの願いは国民の偽らざる気持ちです。

会計検査院には以下のような改革が求められます。

○会計検査院が「内閣に対し独立の地位を有する」と明記される憲法の規定を遵守すること。
○会計検査院の人事権を政府から独立させること。
○職員の職業倫理観の向上。
○検査の過程で障害となっている法令の改正。

裁判所と同じく独立した監査機関としての権限を付与し、人事は内閣によって左右されないことが重要です。政府から独立していない限り、行政へのチェックは無理です。

また、関係機関への天下りなどは決してあってはなりません。職員は税金による国家運営を監査する立場であることの強い自覚が大切です。

さらに、実地検査の際、法の抜け穴や本来の制度の趣旨から外れた予算が使われているケースは、法令が陳腐化しているからです。会計検査院はこの問題を含めて報告し、各省庁に対して法令改正の勧告を行う権限を付与することが必要です。

これらの実施により、行政の無駄づかいは半減するのではないでしょうか。


政府は莫大な行政の無駄遣い防止に本気で取り組むべきです。その姿勢がない限り消費税増税が国民に受け入れられることはありません



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