①米国下院議長選挙混乱の背景:230113情報
米議会下院議長が15回目の投票でやっと決まりました。日本のメディアは総じて、トランプ前大統領が嫌いなため、共和党内のトランプ派の行動を冷ややかに、かつ、中国の立場で米議会の混乱ぶりを楽しんでいるかのような報道に撤していますが、これはどうもアメリカで起きている本質を見逃しているようです。
実際、今回の議長選で、なぜ急遽妥協が成立したかについて、殆ど解説がありません。唯一、共同通信のみが「マッカーシー氏は強硬派の要望に沿い、議長解任動議の提出に必要な議員数を1人に引き下げることで合意。議事運営委員会に割り振る強硬派の議席も拡大した」という記事を出しましたが、これだけでは意味がわかりません。これにはものすごく大きな意味があるようです。
幸い、当ブログには、議会が大混乱に陥っている時点から、国際政治学者の正確な分析を入手しておりましたので、事態の進展を注意深く見守ることができておりましたし、共同通信の記事の意味もよくわかりました。
そこで、今回は、その情報の一部を読者にお伝えしたいと思います。
なお、この分析は、下院議長決着前の段階であることをご承知おきください。
まずは、BBC報道から。
――アメリカ連邦議会下院(定数435)の議長選は7日未明(日本時間同日午後)、異例の15回目の投票でついに多数党・共和党のケヴィン・マカーシー議員(カリフォルニア州選出)が必要な過半数票を得て、議長に選ばれ、就任した。深夜の14回目の投票でまた結論が出ず休会しそうになったが、休会を急きょ中止して再び投票に臨むという波乱を経ての当選となった。
国際政治学者の解説
下院議長選挙の混乱が草の根保守には良い理由
アメリカ下院における議長選挙の混乱についてお話しします。
日本のメディア、そしてアメリカのメインストリームメディアもですが、「共和党が分裂している。せっかく下院で多数を取ったのにアメリカをリードする力がなく無責任だ」と、ひたすら言うような論評が大部分です。
確かに表面的にはそう言えるかもしれませんが、ずばり言ってこの混乱はアメリカのためには大変良いことなのです。
トランプの運動であるMake America Great Again(MAGA運動)、この運動をやっている草の根のアメリカ人達の意見を聞くと、今回の混乱というのは大変素晴らしく、もう少し長引かした方が良いのではないかという言い方をしています。
これはどういうことかと言うと、今までは選ばれた下院議員が、共和党のエスタブリッシュメント・旧体制派であるボスたちの言うことを聞いて、そのまま彼らが推している候補を下院議長にしてきました。
これは民主党でも同じです。
ところが今回、そのボス支配が崩れているということです。この共和党のエスタブリッシュメントというのは、民主党のエスタブリッシュメントと裏で繋がっていて、表向きは対立しているようでも、実は全く対立していないのです。
そして、根がグローバリスト、多国籍企業、無国籍企業の超大企業のお金持ちに奉仕するような人達。別の言い方をすると、アメリカファーストじゃない人達が、共和党のエスタブリッシュメント、支配層であり、そして民主党の支配層なのです。
ところが今、その人たちの思い通りに動いていないということなのです。
最近「Uniparty」という言葉を時々聞きます。「Uniparty」とは「単一政党」という意味ですが、民主党、共和党と言っても根は一つじゃないか。上層部は一緒じゃないか。ただエスタブリッシュメントの右手と左手を使い分けているようなものだ。ということで「Uniparty」と言われているのです。
その「Uniparty」のエスタブリッシュメント、特に共和党側のエスタブリッシュメントの思い通りに物事が全く動いていません。
要するに、トランプ派・アメリカファーストの人達、MAGA運動の人達が抗議をして、ケビン・マッカーシーが素直に下院議長になれないということです。
【続く】
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