平和ボケ――ウクライナ戦争の教訓①:230210情報
ロシアによるウクライナ侵略から、もう一年も経とうとしています。
ロシア利権にあずかるものを除くとほとんどの日本人が、ウクライナの悲劇を目の当たりにして固唾を飲んで戦況を見守ってはいるのですが、どうも底辺には、所詮、遠い国の出来事で自分たちには直接火の粉が降りかからない「対岸の火事」程度の認識しかないようです。与えられた「平和」に甘んじて、自らの手で築いた「平和」ではないからかもしれません。
そこで、今日から三日間は、ウクライナ出身で、現在は日本で活躍している国際政治学者グレンコ・アンドリー氏の『ウクライナ人だから気づいた日本の危機』を通して、ウクライナの危機がどのようにして生まれたのかを学び、日本人の「祖国防衛」に対する精神面、思考面について問い直していきたいと思います。
-――こんな国があった。
・国民は平和ボケしている。
・「軍隊はなくてもいい」という論調が強い。
・近年、国益を明らかに損なった売国政権を経験している。
・外国に媚びた弱腰外交を行っている。
・愛国者は「ナショナリスト」「ファシスト」とレッテル貼りされている。
――まるで、日本の事を言っているようだが違う。ウクライナである。
■貴方が望んでいる日本の未来はこれなのか?
ウクライナは1991年にソ連から独立した際に多くの核兵器と巨大な軍隊を引き継いだが、維持費がかかるのと、隣国ロシアから警戒されるという理由で、すべての核兵器を放棄し、軍隊を大幅に削減し、大国の対立に巻き込まれないようNATO(北大西洋条約機構)の集団安全保障体制にも加わらなかった。
こんな政策は素晴らしいと考えている方を是非ウクライナの前線に連れて行きたい。戦火で燃え尽きた村の廃墟、ミサイルが落ちている中で学校の地下に隠れている子供、二十歳まで生きられなかった戦没者のお墓を見せて聞きたい。
貴方が望んでいる日本の未来はこれなのか? 戦争を言葉によって止められるものなら、その言葉を教えてくださいよ!
ウクライナのクリミア自治州と東部2州では、2014年2月からロシア系住民による反乱を契機に戦闘が広がった。ロシア軍が背後で糸を引いていたとされる。現在までにウクライナ軍16千名以上、ロシア系分離主義者・ロシア軍7千人以上の死傷者が出ている。
国連総会では、現状を「ロシアによる占領」と認めている。空想的平和主義がどんな悲劇をもたらすか、ウクライナは事実でこれを示している。
■ウクライナの「軍縮」の実態
ウクライナが1991年末にソ連から独立した時点で、ウクライナ軍は次のような編成であった。
兵士780万人/戦車6500両/戦闘車両7000両/大砲7200門/軍艦500隻/軍用機1100機、そして1500発以上の戦略核弾頭と176発の大陸間弾道ミサイルという、当時世界第三位の規模の核兵器も保有していた。
まず、核兵器を放棄するようアメリカとロシアの双方から「脅迫に限りなく近い非常に強い圧力」がかかった。ウクライナの指導者たちはこの要求をすべて呑み、「3年間ですべての核兵器を放棄する」という約束をした。
見返りは「米英露はウクライナの領土的統一と国境の不可侵を保障する」という覚書だけだった。
覚書は国際条約ではなく、それを守る法的義務はない。その結果がロシアのウクライナ侵略と、米英の口先だけのロシア非難だった。
せめて代償として経済支援か、最新の通常兵器提供かを求めるべきだったとしている。あるいは核放棄に長年をかけて交渉カードにしていれば、その間はロシアの侵攻を防げただろう。
多くの通常兵器は外国に売却されるか、国内で解体された。古い航空機などはアジアやアフリカの発展途上国に売れた。未完成の航空巡洋艦ヴァリャーグは中国が買った。中国は、軍事的使用はせず水上カジノにする、と約束をしたが、すぐに反故にして、中国最初の空母「遼寧」として完成させた。
(明日は『ロシアの情報戦で作られた平和ボケ』他)
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