topics(676):中国の白紙革命 vs 独裁者
中国の「白紙革命」は三期目を迎えた習近平氏にとって、最も頭の痛い問題になったようです。習氏の面子が丸つぶれとなったこの問題、世界各国で報道されたために、弾圧と火消しに躍起となっているようですが、現在の状況について、専門家のお話が届きましたのでご紹介します。
■白紙革命はなぜ消えた?
「白紙革命」は日本のメディアも含めて、世界中の注目を集めていますが、中国の国内を見ると、あっという間にこのニュースが消えてしまったように見えます。
その理由は、①中国政府による警戒態勢、②ちょうどこのタイミングで江沢民が亡くなったことに加えて、③習近平が譲歩したということが大きい。
12月1日、習近平は欧州連合の議長との会談にて、ゼロコロナ政策を緩和することを示唆したのです。習近平が妥協するということは、これまでの10年で一度もなかったことです。
実際、深圳や北京などの主要都市では感染者を強制隔離から自宅療養に切り替えたり、電車に乗るときの陰性証明の提示を取りやめたりと、ゼロコロナ政策を弱める動きを見せています。これは、白紙革命によって、習近平が追い込まれて政策を取りやめたということでしょうか?
それは間違いです。
なぜなら、これは以前も紹介した習近平の「両手戦略」の一部だからです。
■習近平の3つの狙い
今回の白紙革命を受けて、習近平がこれからとる戦略は3つあります。
1つめは、ゼロコロナ緩和政策をとるということ。残りの2つが重要です。
2つめが、白紙革命の参加者をピンポイントで弾圧するということ。中国ではゼロコロナ政策のために、国民全員の位置情報をスマートフォンの健康アプリで掴むことができます。しかも、人の移動の際には健康状態を画面で表示させることを義務付けています。
白紙革命の参加者を監視カメラの顔認証で特定して、彼らのアプリの健康状態を「問題あり」としてしまえば、牢屋を使わない監獄を生み出すことができるのです。
3つめが、今回の白紙革命を外国勢力に責任転嫁してしまうということ。外国が白紙革命を扇動した結果、こんな状態になったんだという嘘をつくということです。つまり、ゼロコロナ政策を緩和する裏側で、習近平は白紙革命の参加者の弾圧や責任逃れを考えているのです。これが、習近平の両手戦略です。
■独裁者が抱えるジレンマ
これらの戦略には、それぞれジレンマがあります。
まず、ゼロコロナ政策を緩和することについては、これまでは散々コロナが怖いと言ってきたのに急に手のひらを返して規制を取りやめた結果、国民のパニックを引き起こす可能性があります。
次に、革命に参加した人々を弾圧すると、これまで愛国的な観点から習近平を支持していた若者の支持を失ってしまうことになります。それどころか、今や若者たちは自分たちを弾圧しようとしている警察の個人情報を特定して、インターネットで暴露したり、外国の人権団体に送るという抵抗を初めているのです。
最後に、今回の白紙革命を外国勢力のせいにしてしまうと、ただでさえ悪かった民主国家陣営のとの関係がさらに悪化します。元々白紙革命は中国の内部で始まったもので、それを支援している外国勢力はいなかったのに、それがきっかけで本当に外国勢力が白紙革命を応援するようになる可能性があるのです。
つまり、 「予言の自己実現」です。すでに、アメリカの議会を中心に中国の若者を支援しようと動きが出てきています。中国国内の経済がますます悪くなっている中、 今の習近平が切れるカードは少なくなっています。
前途多難の3期目が始まったのです。
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