正論ちゃう?正論webBlogトップページです。  嶌田法海華(Simada.Norika)

常識とは何?何気なく使う言葉の危うさ。噛みつき亀風味でもの申す。脱線ご容赦。あくまでもお馬鹿な私の私論です。最近ボケ気味

純愛 VOL39(完結 編Ver3-1)

2016年06月21日 17時51分38秒 | 交友録というか・・私が出会った人々

フリーランスの仕事というのは個人で全責任を負う代わりに仕事を頑張

れば対価は自分のものとなる。そこが会社員との大きな差であり、かつ

組織に属していれば、風邪で休みをとったとしても、代役がいるし、

会社の看板が大きければ大きいほど、その看板で仕事ができるのではないか

とも思う。ただ、今回のような時でも、仕事をキャンセルできないと

思っていた。かなり前からの依頼だったり代役ならば仕事は頼まないと

いわれたことがあったからだ。だから、痛み止めの筋肉注射をうって

もらって仕事に臨んだ事もあった。幸い専属契約をと言ってくれる

企業もあったし、収入の不安定な部分の心配はいらなくなった。

ただ、愛を教えてくれたそして将来を誓った大事な大事な美奈が

緊急入院をしても、予定は詰まっていて仕事に戻らなければならず

特変があれば連絡を取り合う事で、断腸の思いで仕事をした。

美奈子が入院してから翌々日に招待状の最終ゲラが届いた。結婚式の

前日に婚姻届けをだそうと話を決めていたが、この際だからと署名して

あったものをゲラと一緒に届けに行った。血色も予想よりも良かった。

ちなみに面会時間は過ぎていて、そーっと部屋に入った。美奈子は

起きていて何かを書いていた。

「こんばんわー、見て欲しいものがあってきました。」

「うわっびっくりマークが5個」

「じゃぁあと5個増えるかも・。・ちょっと目をつぶってくれないかなぁ」と言って

開けていいよーと言って婚姻届けの紙を広げて見せた。

「あーコンイン届だぁ~、美奈が書けばいいんだよね、うわぁ~

結婚の実感がわいてきた、嬉しいよーありがとう」

「それと、招待状のゲラもできているのでチェックしてみて・・体調が

良いときでいいけれど。でお加減はいかがですか?というよりも、なんで

一人で我慢していたの?体調がなんか良くなさそうとは気が付いていた

のだけれどさぁ。あっそれよりさぁ、ここにこの時間に来るのはなかなか

スリリングだった。あんまり大きな声でしゃべらないようにね」

「はぁーい。」「元気がよいのはわかったから・・この際手術にした方が

退院もはやくできるかも?どう?先生はなんていっていた・?」

「同じ事言われた。この際だから悪いものはオペしてとちゃいましょう」

「もう一人で我慢しなくていいんだから・・。まぁ浮気をしたときは

我慢して欲しいけど」

「こら・・。美奈子にぞっこんのくせに・・それにそんな暇ないでしょ。

そういえば・・寝てないんじゃないの、美奈は大丈夫だから無理しないで

・心配だもん」

「3日間寝ないで仕事したこともあるので心配しないでOK自分の体調が

良くすることを考えてくれよ。仕事で来れないときは来れないから・・。

その時はごめんだから・・。」

その翌々日 美奈子の父親から連絡が来た。手術をしないといけないといわれた。

しかしその手術をしても、根治は不可能だと覚悟してほしいと言われた事。

最低でも12時間のオペになる非常に厳しい状態であり、念のため

親族や友人等意識があるうちにお見舞いにとのことだった。

で手術日を教えてくれた。それと、私が美奈子に渡した婚姻届は預かったが

破談にしてくれと言われた。

「はぁ?何言っているんですか。申し訳ないですが僕は・・娘さんと結婚しますよ。」

父親が言う意味は分かりそうな気がするが、それはまるで死を前提にしている

ということではないのか?ならば意義もないはず。たんなる治験の為の

ようなオペなら・・・」(そんなオペをしないで欲しいと言いかけてやめた。)

その日の夜にいてもたってもいられずに、病院に行った。ただし、美奈子の

邪魔になるかもしれないので病室に入るかどうかを考えあぐねていた。

自分の不安を払しょくする為だとしたら・・私の行動はそのまま回れ右をして

帰るべきだ!とも考えた。ドアの横の壁にもたれかかって、考えていた。

「どうされましたか?」と点滴等を積んだカートを押した看護婦が

声をかけてきた。事情を話すと、部屋に看護師が入っていき、

「ご両親とお話しされているので短い時間なら、大丈夫ですよ」

と教えてくれた。平常心で!と何度も言い聞かせているうちに 

先にどちらかに会って話を聞いてからの方がよいと気づいた。

で、父親の携帯を鳴らしてみて今部屋の前にいることを伝えた。

「そうですかでは今行きます」と返事があり程なくして父親がでてきた

「ここではなんなので 1階のラウンジに行きましょう」

そこで 父親から説明を聞いた。「まず、この手術はいうなれば一か八か

であり、また様々な検査が終わったが、転移している箇所がある

。幸い現段階では意識もあるのが不思議だという

外科的にいえば、いずれ痛みや副作用がでるのは明白で、さらに

云えばリンパ種も、しかしたらそれが偶然痛み神経を

浸食しているかもしれないが、どのみち一気に状態が悪化すると予測できる

なので、治る望みは20%で、しかしまずは開腹して悪性の臓器をできる限り

取り除くつもりだが、開けてみてどれだけとれるかには疑義があるし、

もしかしたら術中に、心肺停止という事もあるそうだ」

もしオペが上手くいったとしても、「だから・・オペ中に・・苦しまない

ならば・・・」とつい考えてしまう。

「僕は 美奈子さんがどんな状態になっても、共に闘います。だから、

結婚がすべてではないかもしれないですが、彼女から受けた恩恵は計り

しれない。だから・・・私にとって彼女は天使なんです。」

「娘は、君と出会って本当に良かったと思う。だからといって命を含め

宣告されたからといっても君は納得しないと思ったし、娘もおなじだ

と思う、だだ互いに愛しあっているからこそ、闘病の姿をみせたくない

つまり 自分の現状を、相手が見てくれるとしても、それが負担になる事も

得てしてあるものだと私は思うのだが・・・そういえば美奈子から君に

渡してほしいという手紙を預かっていたのだが、病室に置いて来たままだ。

美奈子には君が最初に言っていた盲腸を放置したから手術になるかもしれない

とだけしか伝えていない。よろしく頼むよ」といわれて部屋に入った。

「嶌田君がみえたぞ、美奈子」「あれっどうしたの!?昨日も来たよね」

「そうだね、こういう時に点数を稼いでおかないと・と思ってきました」

「ねぇママ、パパ少しだけ二人になりたいの・・・あーそれと手紙

渡してくれたぁー」「まだだった。今渡すほうが良いのか、それとも」

[後ででもよいから、必ず渡してね」わかったという代わりに手を挙げて

でていった。

「手紙がいいの?かな?」「うん、大丈夫。それより 盲腸でこんなに沢山

検査するのかな・・・なんて。美奈子は健康優良児なので病院の事はさっぱり

わからないんだけど・・・というよりも・・・・」美奈子はベットから起き

あがりふちに腰かけて「嶌田さん、ありがとうございました。」といった。

その目は潤んでいた。「ねぇ ハグして・・・」

「うん・・・」

「もっと強く・・・。」「どうした?」いつもとは違う美奈の様子に

ただならぬものを感じた。「あの・・・ね・・美奈は手術の本当の

意味を美奈は知っているの・・・」

「手術の前は皆不安になるからね」

「そうじゃないの・・・本当は・・本当はね妊娠の検査にいった時に

まだ初期だからおろしなさいって言われた・・・理由は・・家族にって

いわれて」「うん」「母親と行ったら、紹介状を渡されて・・・

母に聞いても・・教えてくれなくて・・・隠す必要がある病気なんだと

だから先生の指示に従いましょうとだけ言われた・・・の・・そんなの

って、理由もわからないし、だから一人で大学病院にいって・・みた

家族はいないのでって言ったら・・・・やっぱり子供は諦めないと

いけない理由を聞かされたの・・。」

「辛かったね、つらい思いをさせてしまって、詫びても許されない

ことだけれど、ごめん、申し訳ない」美奈子の髪をなでながら謝った。

「それで、せっかく電話もらってもでることができなくて・・・ただ

嶌田さんと会っている時は、痛みもなかったの・・だから治そうと

でも、病気って意地悪だよね 治るものばかりじゃないから・・・」

「美奈・・・君は僕の天使だ、だから手術頑張ろうよ。君がいてくれ

れば僕にはそれだけでも充分だよ・・麻酔から覚めたときって

テレビでやっているのとおんなじなんだよ。そんなに心臓がどきどき

しているとナースが来るよ。判ったから、、大丈夫だから」

と背中をたたいて相対した。

「苦しかったね、つらかっただろうねもんじゃ焼きの店で具合が

悪くなった時に綱をつけて病院にいけば良かったのか?でも、それじゃぁ

かえって辛かったのか・・」

「だって約束したから・・お互いに隠し事はしないって」

「そうだね、伝えてくれて、ありがとう・・・ごめん、本当に俺が馬鹿すぎた・・・

ねえ 美奈、君は僕の大事な大事な奴だから体調が悪いのは、気が付いたんだけど

、結局何もしてあげられなかったでも 本当に勝手かもしれないけれど

、明日の後にはあさってがくる気持で負けないで、頼む、頑張ろう、頑張ってほしい。

愛しているなんて僕はなんてのんきな・・もし気が済むならどんな罪でも

罰でもうける・・。頼むから・・勝手なはなしだけど、オペにむけて

前を向いてくれ ください。そして二人で生きていこうよ。富士山に

富士山の前で誓ったじゃんかぁー 日本一なかのいい夫婦になるよって

俺は馬鹿だから辛いときはつらいと、痛いときは痛いといって・くれ。

我慢しないでいいんだってば・・自分で言っていてなんて身勝手な

いいぶんだろうと思う・・。でも、戦をするなら勝とうよ・・。俺に

気遣いしてくれていた お前の優しさを思うと・・・・」

泪が頬を伝っていくのが分かった。「ちょっとごめん、」涙を拭いて

「こんなに頑張ってきたんだから、神様がちゃんと見てくれるし、

僕も来るから、そしてオペが終わったら、また会おう。絶対に。

約束して欲しい、美奈、頼むから・・僕の命を削ってもあげたいよ。

不安も わかるつもりだ、あてにならないかもしれないけれど

どうか 僕のお嫁さんになって・・ください。別れに来たんじゃない」

美奈子は涙だらけで「・・ありが・・とう・・今日は・・会えないと

思ったから・・手紙書いたの・・」「それよりまず涙を拭こう

目つぶって、つぶらな瞳からたくさんの涙が・・はいどうぞ目を開けて」

「あっ!泣いたでしょー」「男は泣かないの。泣いたふりをしただけ、

いろいと、至らないことばかりでごめん。愛っていうのが、美奈と出会って

それで わかったと思ったのに俺は、何をしていたのか悔しいし申し訳ない

でもオペが無事に終わり・・外泊許可か退院できたら、また富士山のあの

場所に行こう・・というより一緒に連れていくから一緒に行こう。」

「俺は オペで何回か死にそこなったけれど、今は普通に生きているよ」

「・・うん・・。」

「普通の人が当たり前にできることができなかったから・・・」

「初めて愛するということを教えてくれたのは美奈じゃんかー。それに

お前の前にいるときだけ、素直になれる自分に気が付いた。だから、

あきらめないで ください 弱音はくと美奈は俺を怒ったじゃん。」

「じゃぁ今日は 褒めてあげよう。なんて茶化してごめんちゃい。美奈は

嬉しいです。また 泣きそうな・・・くらいだよぅ」

「じゃぁ泣いていいよ。気が済むまで胸で良ければ 泣け。僕も

小さな胸だけど・・・」(出会いの頃美奈子が私に言った言葉 筆者)

「バカばかばかぁ~泣けばいいのか笑えばいいのかわかんないじゃない」

「ね、落ち着いたら ベッドにちゃんと寝ないと点滴が落ちないんだよ。

と入院のエキスパートが申しておる」

「エキスパート?って」

「あの俺は手術の数の3倍は入院しているのよ。だから、いろいろと

知っている事がある。まぁそれだけだけど、点滴は心臓よりしに

ないと落ちない、で落ちないと血が逆流してくるということ」

「そうなんだぁ~。ともかく、ネバーギブアップでパパやママや

嶌田さんを悲しませないように、頑張るよっ」

「そう考えてくれると僕も本当にありがたいと・・さすが美奈子。」

 その間は時間にすれば20分程度だったのか?両親が再び戻ってきた。

その会話を聞いていたのか あるいは空気を察したのか・・・

「美奈子 話してしまったのか」美奈子はうなずいた。

「そうか、心の底から愛しているんだね 嶌田君を・・父さんが彼を

信頼して信用する理由がわかっただろう・・たまには父さんも

全うな事をいうものだろう」「そうだね、でも最初に声かけたのは

美奈だもん。そうだよねー嶌田さん」「はぃ仰る通りです。お父様

お母様、・・。それはそうと肝心な話の方は?」「それがねぇ

外科の中でも知らない人はいない先生が執刀してくれることになった

んです。嶌田さんもご存じの先生です。お母様とお話しをしていて

また、美奈子からも障がいをもって生まれたと、お母上の心中を

察しました、ただそのドクターがいたから、今の嶌田さんがある。」

「ということは、鬼平先生ですか」「嶌田さんは

いわば世界で初症例だそうですね,整形外科から新たに形成外科を

作った先生ですが、嶌田さんは記憶にないと思いまが0歳2歳に」

「ママそんな言い方 嶌田さんやお母様に失礼じゃないの!取り消して

謝るべきでしょ」「いや別にいいんだ美奈」「そうでした美奈子の言う通り

つい・・・ごめんなさい。お詫びいたします」

「鬼平先生が執刀してくれると言ったんですか。」「ええ、拝み倒して

みたけれど 最初は断られました。でも粘って交渉したのですが、やはり

駄目でただ嶌田さんの名前を出したら、彼が結婚する相手ならば」と

OKをいただきました。こちらの先生方はメインの執刀とはいえ、鬼平

先生の執刀を見ることができると ご理解くださりました。

ですので日程は多少変わりますが、万全の体制で手術を受けることが

できます。本当にありがたいことです。

「良かったですね、それで手術はいつになりましたか?」3日後です

それと先生の都合上異例の夜21時頃からということになりそうです

なにか殺伐としていた雰囲気が 少しだけ和んだような気がした。

「ねぇ~患者は私なのに・・・」と美奈子。

「あーごめん、僕が障がいをもって生まれたときには日本には整形外科

しかなかった。整形外科医は疾病部分がなおれば 後の見た目とかを

気にしないかったんです。で、僕の母の窮状を見かねて、傷口が判らない

きれいな縫合方法を僕を実験台にして立証して、やがて形成外科という

のができたんだけど、いうなれば僕が作ったようなもの」

「そうなんだ、この部分に障があると聞いたけど道理でわからない

訳があるんだね」

「その先生は 整形外科のスペシャリストでありかつ新たな術式を確立

したので 有名なんだよ」

「なるほろ。そんで?」「その先生は殆ど執刀しないか、しまくるかの

どちらかで・・・コネクションがないと門前払いといっても先生にたどり

つくまえにだけれど。その先生が 美奈お前の手術をアドバイザーして

くれるということでーす。」

「だから、手術の跡もたぶん半年~1年で消えるよ。それかよく見ないと

判らないぐらいになると思う。近くで見るのは・・・えーと限られますが」

「あー嶌田さん壊れたみたい」

言葉とは裏腹に 人の苦しみを感じる ことはできたが 行動できなかった

自分、そして饒舌になっている自分に大きな違和感を感じた。

せめてできることをと考えたとき鬼平先生のことを思い出し影武者と

して、そして初症例がゆえに加齢でどうなるのか?は私しかいないので

そこは医師として知りたいことはわかっていたので、交渉は成立して

いた。それで 私が受けるであろう罪や罰を免れようというわけではない

しかし ゴッドハンドといわれている外科医(しかも世界的な)故に

神の手を借りないてはないということだ。

ーなんでいってくれなかったんだよぅ・・あまりの鈍感な自分が

みじめで悲しいく 自分で自分をぶん殴ることができたらそうしたい

でも、ともかく手術については、最大の配慮をしたつもりだから

頑張ってくれと・・・。

初めて愛したのだから・・・美奈子を

僕は人を 愛してはいけない人間なのだろうか?とも思った

こんなに大事なことを、なんでどうして相談してくれなかったのだろう

何でもかんでも楽しい事ばかりではないのに、それに子供が産めないとしても

それは致し方がないことだし、子供が産めないからという以外にも

あえて子供を作らない人だってたくさんいるのに・・。

私は 美奈子が 傍にいてくれるなら、それでけでも充分だと思っていた。

なんでひとりで解決しようとしたんだよぅ・・そんなに頼りがいがないのか

俺は・・・。と考えると心が痛んだ。何でも隠し事をしないと誓ったじゃないか

ただ、幾度となく美奈子に体調が悪くない?と聞いていたが、なんとなく

はぐらかしてきて・・・それは、健康だったから勘違いしていたのか?

あるいは 私は時折仕事が忙しくてと話したことがあったので、心配を

かけさせたくないと思っていたのか・・。?

病室で美奈子が こらえていたに違いない事を初めて吐露してくれたとき

これから二人で生きていこうと約束したのに・・なんで肝心なことを我慢して

我慢して治るものとそうでないものがあるのに、美奈子の方が世間にくわしいのに

なんで どうして、が堂々巡りを繰り返していた。

悪魔と取引ができるのなら、私の命なんていらないからそれで 彼女を救って

ほしい あまりのことに私はうちひがれていた。

 

 

 

 

     

 

 

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
返事が遅くてすいません (嶌田です)
2016-02-26 15:13:54
えーと、コメントありがとうございました
もうすでに完結編が書き終わりました。
本当は 書きたいことがあるのですが
美奈子がいなくなって、もう20数年たちます。私がだらしがないのは、読んでいただけたらわかったと思います。
身も心も、変わってあげたかったです。
という意味では懺悔かもしれませんが
運命の皮肉さがひたすら辛かったです
返信する
愛していんですね (星のしずく)
2016-02-14 18:53:01
初めまして
少し読みました。
38の前が見つからないのですが
いろいろな事を考えさせられました
私はバツイチですが
美奈子さんがどうなるのかが
気になりますが。

返信する

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