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常識とは何?何気なく使う言葉の危うさ。噛みつき亀風味でもの申す。脱線ご容赦。あくまでもお馬鹿な私の私論です。最近ボケ気味

#05  ミスティック    

2016年12月15日 08時59分12秒 | NEW  実験的小説セッション 

なんで事務所の直通電話番号を知っているのか?私は3年前とは違い プロとして本名をやめているし、出版関係やクライアントにしか知らせていない番号なのだ。
どういうことかといえば、撮影依頼等公にしている事務所の電話はは別の番号がある。しかし今回の電話は、いうなればプライベート的な直通電話なのである。
この方式を知ったのはたまたま知り合いが直木賞を受賞したあとに、その名前で検索すると、単に留守電になるだけの番号を作り ファンなどが かけてくる面倒な電話はそこにかかるようにしてある。
しかし出版社などからの依頼は、関係者しか知らない直通番号があり それを真似しただけだ。 だから、作家のファン達は当然ながらこの直通番号を知らないので、 見知らぬ電話に悩まされないで済んでいると言っていた。
私は、HP上の連絡先も同じように留守番電話にかかるようにしていたので、逆に言えば謎の女がかけてきた番号で私が知らないというケースは皆無に等しいのだ。直通 番号もそうだし 名前も全く聞き覚えがない。
撮影に絡んだ人ならば レンタルスタジオアシスタントでも名前は憶えている。
この今にも泣きだしそうな空がなんとなく重苦しく不愉快に思えた。
連日の過密スケジュールの管理はアシスタントか秘書のような事を兼務してもらっている女性に任せてある。
考えれば考えるほど謎が深まる。3年前の栄光とはおさらばして
フリーとして再デビューを果たしてからは、偶然の産物ではない 自分の確信をもった撮影をしてきた。 それは孤独な作業だが、群れを嫌い、組織を嫌い 自分のスキルアップだけに 血の望むような努力をしてきた3年は無駄ではなかった。一部の関係者以外は3年前の 私と今の私が同一人物だとは知らないのである。
写真の特集を専門誌が組んでくれた時も、面白半分で自分の顔をさらけ出さない、つまりXとしている。
本でもなんでも必ず著者の写真が入るのだが、そうすると以前の私と気が付かれてしまう。 作品と作者これだけで良いと、そこは譲らないところだし、 巷では 華々しいデビューをしたのに殆ど作品が続かない事から 、単なる偶然とか、天狗になって干されたとか さらには死亡説までがネットに出ていた位だ。そうそう、それでいいんだと 思っていた。
偶然より必然、確信をもって写す写真そんな写真家になりたかった
それにしても、なんで見ず知らずの女に会わなければならないのか?まさか、枕営業?のつもりか? と思った時に そうだアシスタント君に代わりに行ってもらおう と思い立った。
次の日も撮影がある。というか毎日撮影だらけの生活である
しかし 電話の相手は、今日がOFFだと見透かしたようなものの言い方、考えれば今は新進気鋭の写真家として名前は知れ渡っているが、仕事以外で私の顔を知る人はいないはずなのに・・・。
ーやーめた。アホくさ。 そう決めたら、鬱陶しさが吹き飛んだ。
そしてアシスタントに、代わりに話を聞いてみるように と連絡した。久しぶりの休息だし久しく帰っていない自宅でゆっくりと過ごそうと、きびすを返して、ランボルギーニウラカンへのりこんだ。図太いエギゾーストが響き渡る。
車をだした時に ベスパに乗った男がこちらを注視しているようだった。邪魔臭いので思いっきりクラクションを鳴らして、 追い越した。この丸いサングラスの男ノーヘルじゃん。 信号で止まるとちょうど斜め前に再びべスパが来た。相変わらず邪魔な奴だなと思い信号が変わると車道の真ん中を走り、2ストロークの独特の白い煙が・・・をまき散らしていて車内にも独特な臭いが立ち込めた。アクセルを思いっきり踏んで車線をはみ出して一気に抜き去った。
私の実家は関連企業を含めると50社を束ねる裕福な家庭なのだ。
だから、後継ぎとして将来は約束されていた。鎌倉にある家の敷地は ゴルフコースでいえば18ホールが雄に作れるほど広く敷地からは富士山が良く見えた。ボンボンと言われるのが嫌だったが、跡は弟に継いでもらう事にした。いうなればレールに乗った人生は御免だという反発心から密かに写真を写していた訳だ。さらになぜ写真なのかといえば、時々ドラマのロケ地に使わせてほしいという依頼があって、ロケの撮影をまじかで見ていて、あ!これがいいなと思っていたからなのだ。
いよいよ高速に入る手前の信号で、またベスパの男とあった。
まるで私がどこに行くのかを知っているかのように・

       続き#06は同じgooブログの青空のCafétime

        aozora さんに  ⇓⇓

12月16日   #06      公開



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