いろいろな事を始めたので おんぼろスタジオにくる人は増えてきた。
ひとつ問題をあげれば お客様と話す時間が少なくなるという事。
あとは、恵まれていて撮影が混雑する日には 来店を避けてくれたり、フィルムだけ
置いて帰るという人達、まぁそういう人は常連さんなのですが。
証明写真も やはりわざわざ人が途切れそうな夕方に来てくれたりもした。
なにせ狭いスタジオ故に、おめでたい儀式の写真がありそうなときは、避けて
くれていたのです(或いは他に行ったかもしれませんが)
昔は美容室で着付けをして写真を撮りに来るというのがスタイルでしたが
色々なところからタイアップの話が来たけれど、前にも書いたように
時間の予約は不可能で来た順にというスタイルが一番効率が良いので
そういう申し出、つまり紹介するから待ち時間を少なくして欲しいというのは
できない相談なので皆断った。作家の令嬢といえども、有名人の子供といえども
例外ではなかったのです。まぁこちらの都合で決めたルールゆえに申し訳ない
とは思いました。ただ、その裏返しとして「待ってても良かった」と喜んで
もらえるように撮影はしっかりとしました。
撮影をするという事は、それに満足して貰うことが絶対的な条件だと思って
いましたので。それはおんぼろスタジオだけではなくて、すべての撮影で
ひそかに培ってきたもろもろの撮影法を常に全力でだすという事になります。
あまりにも考えすぎて スランプになることもありましたが、当然聞く人は
いない訳でこういう時は ライティングを全部ばらして何度も組みなおして
みたりしていたけれど、だからそのスランプの時の撮影が大失敗という事も
ない。とりあえずは 基本のライティングはありましたので、それで乗り
きれば良いだけで 自分がさらなる技法にこだわっていただけですので。