やはり仕事の関係で、深夜にしか会うことができなかったが、美奈子も
パスするという事も少なくなった。ただ、会いに行くまでの時間とかを
考えると、たまたま買っておいたマンションに美奈子を住ませた方が
良いと思った。私が母と暮らしている家は別にあるし、マンションで
美奈子と共に過ごすはずの家だからだ。それを提案したところ
「もう少し待ってて」と意外な返事が帰ってきた。
今まで聞いた事のない返事に戸惑った。これまで全て美奈は明るい
前向きなスタンスだったので「うん、じゃぁ美奈にあわせるけれど。
なにか問題があるん?」と聞いてみた。
「独身最後の生活をエンジョイしたいだけなの~」
なんだか、それじゃぁ美奈らしくないなと云おうと思ったが、やめておいた。
「今日は久々に富士山に行きたいなー、どう間に合うかなぁ」というので、
「かっ飛ばして行くのでなんとかなるけど」200キロ位でかっとんだ
「ちみと初めて・・」「はい、貴重な思い出になるのに、僕のせいで
それが煙草の思い出という 場所ね」
「そうそうわかっていればよろしい。」などとどうでも良い会話をしながら
富士の見える場所についた。車を止めて外に。
「そういば あの時の朝日に富士山綺麗だったなぁ~」
「こらっ、」
「えっ何でこらなの」
「大事な場面でよそ見していたのか~~今度から美奈、目開けていようっと」
「そういう事ではないし、あえて言えば職業病のようなものです。太陽に朝日が
当たり始めると山頂部の露出とそこまでシャドウが再現できるかっていう」
「まぁいいや。。ねぇなんでここに来たいといったのかわかるよね」
「なんとなくわかりますが・・・初めての・・のやり直しとか?」
「ぶー、ま、それもあるけれど。富士山て日本一の山でしょ。だから
ここで二人で富士山に日本一仲がよい家庭を築きますってお願いしよう」
「いつ噴火するのか・・がとても微妙ですが・・・」
「こら、まじめに言っているのよ」
「いや、なんだか神妙に云うので・・。らしくないなぁ~なんて、
或いは変な宗教に入ったのかと・・・」いつものバカップルの会話。
「じゃぁみーからどうぞ 」
「では、僕は美奈子さんを永遠に愛し日本一の妻として幸せにすることを
誓います。それと噴火しないことを祈ります」
「美奈子も誓います。ん!?噴火がどうのこうのって言っていなかった?」
「ん?ちょっさー空を見てごらん」
「みたけど、なんで空みるの・・」
「だから 空耳ってこと」
なんどもでてくるお決まりのお姫様抱っこをして、すっかり慣れたくちびる
を・・・合わせて・・・。帰路についた。なんだか体重が随分
軽くなったような気がした。それと、途中からおとなしいなぁと思ったら
美奈子は寝ていた。いままではなかった事だったが、まぁ疲れているのだ
ろうと思っていた。寝顔を見ることは案外少なかったので、ちらっと、
見ていた。
「姫 着きましたよ・・。寝顔が可愛いなぁ・・と思ったけど」
「あっごめんね 寝てたんだ・・・ごめんちゃぃ」
「眠れる森の美女・・ミーの場合は 適用外だな」
「なんてこと言うのよ。っていうか、ごめんね、美奈と会うときは
そのままお仕事なのに・・反省・・してます」
「そんなの気にしないでいいから、お前は美女というより小悪魔的な
魅力があるなぁ~と寝顔を見て思った・・あーよだれのあとが」
「えーうそー」それで目が覚めたみたいだった。
「ええ 嘘です。目覚ましの代わりに・・・。その焦り方は・・酔っぱらって
経験したことがあるんじゃな・・・ぃよ・・やめとこっと」
「そんなこと うら若き乙女にいうかー」
「言うんじゃないんですかぁ」
「もう、じゃぁ えーと、美奈はお酒を飲むといけないという決まりがあるん」
「あるんじゃないんですかぁ なんてね。ちょっと優作ちゃんの探偵物語の
真似してみたので・・。ともかく 体大事にしてね。」
「はぁい、じゃぁ飲むの慎むから たばこやめてね 」
「ほら飲んでるのばれたし」
「深く不覚を・・・今日は美奈の負けでいいもん」
こういうバカップルなのでした
20年前・・私も今のあなたと同じ世代ですので今の若い子と違ってキスもオープンにできなかったですよね。ところで、通し番号があるのに幾つも記事がないものがありますよ
それが気になりましたので、コメしました。あなたと美奈子さんは本当に相性が良くて。一番最後の美奈子さんからの手紙を読んだら、ちょっとうるうるってなりました。本当にあなたの事を思いやっているのが わかります。
ぜひ 39話が読めると良いですね。
バカップルで良いじゃないですか?
それに、プーターローと折に触れてあなたは書いているけれど美奈子さんはそれは望んでいないのに。ちゃんとお手紙を残しているじゃないですか。私も美奈子さんのようになりたいと思いました。あなたへの思いやり、20代の半ばの方でしたよね、本当に驚く程できた方だと
思います。
表情、そして病室で全てを告白してくれた時の温もり、本当は当時の治療では治らない病でしたが、生きる事に執着してくれればと思いましたが、あの手紙と共に提出しなかった婚姻届が帰ってきました。