Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

秋から冬の茶釜

2019年10月28日 10時57分58秒 | 美術館・博物館etc.

★大西清右衛門美術館 サイト
 秋季企画展『露冴ゆるころ~秋から冬の釜と茶道具~』 ※12月15日(日)まで

もう12年間、毎回の展覧会で足を運ぶ中で事前に展覧会のチラシをGetすることが出来なかったのは初めて。
おまけに、京都へ来て先に別の美術館に寄ったのだけど、こちらの展覧会のポスターすら拝めなかった。
だから、「ここ開館しているのだろうか?」と不安になった。サイトでは確かに展覧会を開催中と掲載されているのだけど。

今回は紙媒体の広報活動はしなかったとのこと。
展示リストは受付時にリクエストしてもらった。(コレが「ない」と言われたら、お手上げ。館内「撮影禁止」だし~)

茶道具も一緒に展示されているけど、ここのメインはあくまで茶釜。

まず、手前の独立ケースは当代(16代)が2010年以降に製作した市女笠釜。
(受注製作して納めたものを施主さんから展覧会のために借り受けた?)

名前の通り、羽根が上部についている上品な市女笠を連想させる。
この釜が出来上がるまでのエピソードが長文で紹介されていて、それもよかった。
続いた作方も日々、葛藤と迷いの中から道を模索し、たゆみない努力をしている。
施主を理解し、施主の人生を思い、任されながらも施主にふさわしい茶釜を作り、納める。
そんな、すばらしい共同作業が伝わってきた。

そして、後ろにはずらっと歴史のある茶釜が13個。

辻与次郎作の繰口釜(天正時代)
古天明の鉄風炉(室町時代) むっちゃ大きい。風炉の環付は尼面。
辻与次郎作の霰覆垂釜(慶長時代) 霰が大きい。肩がきっちり張った釜。そんなに古く見えない。
七代大西浄玄作の鉄鬼面風炉に名越浄味作の蟹目釜。いずれも享保時代。風炉の口造?に一文字の透かしがあるのがオシャレ。
西村九兵衛作の蒲団釜(寛文時代) ほんと、ふっくらしたクッションのような横に安定感あり。
芦屋の浜松地紋真形釜(室町時代) 直径が50センチくらいある巨大な釜。お寺さんで使ったのかなぁ。
同じく芦屋の縦筋釜(室町時代) 口廻りが大きくて、名の通り縦に瓜のように筋があってデザインが凝った形。
しかも、きんまの箱に入って保管されていたとのこと。
六代大西浄元作の鶴首釜(享保時代) 鶴首といいながら首が短い。小ぶりで釣り釜でも使用可。
てか、鐵の月鎖がついていたのがいい。(金森徳元作)
芦屋の擂座真形釜(室町時代) 腰が低い位置に羽根あり、上部は肩はって、でも丸みのあるカーブのある肩で安定感ある炉釜。

西村道仁作の甑口撫肩釜(安土桃山時代)
二代大西浄清作の菊ノ釜。←大好きな浄清釜の中でも、本当に秋、しかも炉開きの頃に使いたい炉釜。
浄久(たしか、浄清の弟)作の秋草地紋 繰口平釜。肩のあたりにラーメンの器についているような模様が並んでいたっけ?
浄清の車軸平釜(寛文時代)

奥の独立ケースは室町時代以前の鐵釜。かなり古そうで圧倒された。

7階の茶室には炉に据えられた段ノ釜(天明釜)。その名の通り、肩に階段ぽい段が入っている。

あえて、茶道具の感想は省きマス。

市女笠釜もすばらしかったし、もう何度も訪れているのに、初めて拝見する茶釜があった。
なんというか、今までとは違った切り口で茶釜が展示されているような気がして、
そういう感想を帰りに受付の方にもらしたら、確かに今まで展示してこなかった茶釜も今回並んでいるとのことだった。

次回はチラシとポスターが復活してほしいな。(ここのはとってもカッコイイから)

★大西清右衛門美術館バックナンバーリスト
 2019年3月 大賀によせて -豊寿とよほぎの釜と茶道具-』
 2018年10月 『大西家歴代』
 2018年5月 『春の野にあふ 釜と茶道具』
 2017年9月 『燈火に親しむ茶の湯釜』
 2017年4月 『幕末明治の茶の湯釜』
 2016年11月 『釜から見た侘び
 2016年6月 『釜のかたち PART 2』 
 2015年10月 『釜のかたち Part1』
 2015年3月 『茶の湯釜の文様』
 2014年9月 『十代浄雪と奥平了保』
 2014年5月 『千家伝来の茶の湯釜』
 2014年2月 『新春の寿ぎ -福をよぶ吉祥の茶道具-』
 2013年10月 開館十五周年記念『初代浄林・二代浄清』
 2013年3月 『大西家の近代-浄長・浄中・浄心-』
 2012年11月 『京釜の粋-三条釜座、釜師の技と名品-』
 2012年5月 『茶の湯釜歳時記』
 2012年2月 『釜師 大西家歴代』
 2011年10月 『釜をとりまく茶道具』
 2011年5月 『吉祥の釜』
 2010年9月 『茶の湯釜にみる朽ちの美』
 2010年5月 『風炉を楽しむ』 
 2009年11月 『千家十職 大西清右衛門家の釜と金工-茶の湯工芸の伝統と創造-』(表千家北山会館)と『寺院ゆかりの茶の湯釜』
 2009年5月 『開館十周年記念 釜師 大西清右衛門の目 それぞれの所蔵品から』
 2008年10月 『開館十周年記念 釜師 大西家歴代展』
 2008年3月 『風雅-茶のなかにみる意匠』
 2007年11月 『茶人と釜』

 2014年10月 『大西清右衛門襲名20周年』
 2014年1月 『釜師 大西清右衛門の世界』 (美術館「えき」KYOTO)
 2008年11月 『千家十職 釜師 十六代 大西清右衛門展-襲名十五周年を記念して-』(日本橋三越本店)


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