Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

桃山時代

2020年11月01日 09時55分34秒 | 美術館・博物館etc.

★東京国立博物館
特別展『桃山~天下人の100年』 専用サイト ※11月29日(日)まで 事前予約制

チケット代が2,400円! しかも、今展覧会に限り、年間パスは使用できない~(←だったような気がする)
そして、事前予約制。

「高っ!」とぼやきつつ、2週間前に旅先の名古屋で予約した。(たしか、昭和美術館で)

事前予約だし、チケットは高いので、早々に行けないから
どのタイミングで行くかがポイントだった。

その中で選んだが前期にあたる第4期。

鑑賞したかったのは洛中洛外図屏風(上杉本)と檜図屏風。いずれも狩野永徳筆の国宝だ。

洛中洛外図屏風(上杉本)は以前に1回だけ見たことがあるんだけど、平安京創生館で写しを眺めたり、
永徳を主人公にした小説をこの春読んだこともあり、思い入れは深い。
細かいタッチと小さくても一人一人丁寧に描かれた人物たち、何よりも全体を通しての美しさがすばらしい。

檜図屏風はトーハク所蔵ながら鑑賞の機会に恵まれず、他館を含めた特別展でもいつもタイミングを逸していたので
とにかく一度、実物を鑑賞したかった。
永徳絶頂期の作品ということで、力強さに感動しつつ。テレビで鮮明な映像を目にした時の印象がつよすぎて。
逆に肉眼で見た時の方が迫力に欠けたというか。
鑑賞できて嬉しいんだけど、ちと複雑な心境。

檜図屏風を優先したために唐獅子図屏風の展示期間(後期)は逃したのだけど、これは仕方ない。
(唐獅子図屏風は皇室所蔵品の展覧会で一度見たことあるし)

唐獅子図屏風は見逃した分、長谷川等伯の松林図屏風を久しぶりに拝見できたのは嬉しかったし、
楓図壁貼付と並べて鑑賞できたのはよかった。

第4期を選んだために見逃したのはもう一つあって、織田信長像。
教科書に載っている代表的な信長像は愛知・長興寺のものが観たかったんだけどね、第5期以降だったから、見損ねた。
(たぶん、以前に見たことなかったと思う)
代わりに大徳寺所蔵の晩年の織田信長像を鑑賞。

豊臣秀吉像は逸翁美術館所蔵でこれは観たことある。
東照権現像(徳川家康)像は大徳川展以来かなぁ。

これはこれでヨカッタ。
お着物が地味な文様なのだけど、最近の研究成果で上から描き直したことが判明。(秀吉がそうさせたのではないかと)
分析の結果、下にあった文様は赤が使われた派手な色合い。
その赤を使った肖像画を再現したのが町田の泰巌美術館
夏に鑑賞したばかりだったので、“本歌”の肖像画を鑑賞できたのはよかった。

このほか、久保惣美術館所蔵の黄瀬戸立鼓花入「旅枕」も鑑賞できてよかった。
それから青磁花入「萬声」も。
いずれもちょうど1年前に松濤美術館で観たばかりだったのだけど、好きなものは何度も観たいから。

トーハク所蔵の茶釜や風炉。5点ほどだったけど、今までトーハクの風炉釜を複数点まとめて拝見する機会はなかったので、「おっ」と思った。

このほか、志野茶碗「卯の花」も拝見できたし、茶入の上杉瓢箪、唐物の薬師院茶入、北野茄子も拝見できちゃった。
九博の油滴天目と天目台。
最後には肩衝茶入「初花」まで登場したので、びっくりしたなぁ。
瓢花入「顔回」も。青磁花入「大内筒」。光悦の加賀井戸と村雲の競演。

屏風も阿国図屏風と岩佐又兵衛筆の豊国祭礼図屏風が鑑賞できたのもよかった。

トーハク所蔵の有楽井戸、明月椀、志野茶碗「橋姫」「振袖」とかトーハク所蔵で本館でたびたび拝見するけど、
「やっぱ、平成館で見るとすごいナ」と思ったり。

初めて鑑賞した中で「ほーっ」と感心したものも。
織田信長が祐筆「夕庵」に宛てた所蔵、桑実寺縁起絵巻、豊公吉野花見図屏風、関ケ原合戦図屏風。
後陽成天皇の宸翰消息。秀吉に宛てたものの、内容は朝鮮出兵を取りやめるよう諭したもの。(生々しい?、というか)

途中、桃山時代をどう設定したかの年表を見た。1533年くらいから1641年だったように思う。
織田信長が1534年生まれで、1641年は島原の乱の4年後。

なるほどね。戦国時代から江戸時代への激動の100年間。
鉄砲とキリスト教が伝来し、外国=明(中国)だった概念が一挙に広がった。

その顕著な影響が絵画と武具かなと。

室町末期の中国の風景を描いた屏風と江戸時代初期の同様のテーマを描いた屏風が並べて展示されていたのだけど、
確かに筆のタッチが中国っぽさから日本独自の表現に変わったような。

狩野永徳、長谷川等伯もすごかったけど、最後は二条城の狩野山楽筆の松鷹図襖絵がすごかったなぁ。
(個人的には狩野探幽を期待していたのだけど)

武具、というか甲冑鎧に関してはより顕著。
鎧甲冑と刀剣のみの部屋があって、そこを巡ると皮革と組み紐が中心のものが鉄胴中心のものへと変化しているのがわかる。
まぁ、刀剣と弓矢の武器なら皮革でも対応できるけど、鉄砲玉は防げないからね。

100年に起こった歴史的事象の数々はすごいっ!と改めて思った。

現代に置き換えると、例えば今100歳の人もすごい激動の時代を生きたよね。
関東大震災、大正モガ、太平洋戦争、戦後の復興、中止延期も含めたら3度の夏季五輪、阪神大震災に東日本大震災。
通信手段、交通手段。

と最後は100年という時間の長さにしみじみしてしまった。

展示物は以前に鑑賞したものがほとんどで、オールスターキャストの競演で頭がくらくらしてきたんだけど、
「あ、これも桃山時代。あれも桃山時代だったのかぁ」と、時代背景を考えつつモノを鑑賞すると、また違った世界も見えた。

頭がいっぱいというか、お腹いっぱいの展覧会。

後期はもうちょっといいかなぁ。(値段もお高いしね)

まぁ、2,400円もしたんだから、あれだけのラインナップも当然よね!とも思う。

事前予約制ということもあり、開館直後の時間帯を指定ということもあり。
押し合いへし合いで鑑賞することもなく、てか周囲の人を気にすることなく、ゆっくり鑑賞できたのもよかった。

新しい美術鑑賞スタイル、これがスタンダードになっていくのかなぁ。


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