Akatsuki庵

日々と向き合って

根津美術館『燕子花図屏風の茶会』

2022年04月24日 07時12分45秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『燕子花図屏風の茶会』 根津美術館 ※5月15日(日) まで 日時指定予約

10カ月ぶりの根津美術館。
事前予約に加え、しっかり値上げされちゃった1,500円の入館料を受けている自分がちと悔しい。

でも、今回は昔の茶会再現がテーマなので興味があった。
光琳の燕子花図屏風が公開する時期の訪問も久しぶり(=8年ぶり)だし~。

根津嘉一郎(=根津青山、コレクションの礎を築いたお方)が昭和12年(1937年)5月に催した茶会を
その会記に基づき再現したラインナップ。

待合席の掛物は石州の書状。(内容はもちろん茶の湯に関すること)
絵高麗写の汲出茶碗に是真作の漆盆。

本席は三十六歌仙の藤原兼輔像。佐竹本ではないけど、鎌倉時代の作。
阿蘭陀絵花の四方向付は大ぶり。ここに盛られた料理も解説にあった。
素材は忘れちゃったけど、胡麻和え?だったような。

正法寺椀は佐野長寛作、薄いブルーの呉須青絵赤壁図鉢。
金襴手酒次は形が面白い。とくに口のところがプックリしているところ。
(客の一人、松永 安左エ門がそう感想を述べてたそうな)

炭手前の道具は燕子花の絵が施された螺鈿香合に野雁羽箒、雲華灰器。
雲華灰器は社中稽古でも使っているので親しみを持った。底が一部変色していて「使ったぞ~」感。

中立の「銅鑼」。大きい!
その奥に茶会の道具組が書かれたパネルがあった。

茶釜が「浄久」。あれ? お釜あったっけ?と思わず今まで鑑賞していた展示ケースを振り向く。
ない。あっれ~?と、パネルを見返すとところどころ赤い字が。
赤字の道具が今回展示されている、というわけ。

なーんだ。全部出ているわけじゃないのねぇ。
(もっとも、それはよくある話。出さないというより、既にコレクションを離れたということなのだろう)

濃茶席の花入は遠州作の一重切竹花入、銘「藤浪」。
茶入も膳所耳付茶入、銘「大江」(←遠州指導の窯)
鼠志野茶碗「山の端」、茶杓は石州作、銘「時鳥」。南蛮〆切建水。

遠州と石州は師弟関係だったっけ? まぁ、待合で本席の取り合わせをにおわしているところがニクイ。

以上、本席は根津邸内の茶室・斑鳩庵で。
薄茶席は広間にて。
床は室町時代の山水図。長方形の貫禄ある砂張釣舟花入。
団扇蒔絵笈棚に銹絵茄子文水指。雨漏茶碗「蓑虫」に祥瑞水玉文茶碗、青磁三閑人蓋置。

そして、さらに大書院に移動。ここはお気楽な朝酌席(せんしゃくせき)で酒宴が開かれた。
そして、ここに国宝の光琳作「燕子花図屏風」など名屏風がどーんっ!と飾られていたらしい。

最後はサービス精神たっぷり?の番茶席。(小書院)
瓜虫図、青磁象嵌花文香炉、銘「老女」に業平蒔絵硯箱(←燕子花図屏風と掛けてる)。
筋透兜まで。なぜか裂手鑑も。

要するに国宝「燕子花図屏風」を燕子花が咲き誇る中で、あふれんばかりのホスピタリティでおもてなしした茶事!
というわけ。

何日かに渡って、親しい人々を招いたそうで、かなり好評だったようで。
茶会記が印刷されてたもんね。雑誌にも紹介されたようで、客側の茶会記にも記載。そしてそれも印刷物に。

参考出品として4点展示。
会記「斑鳩庵初風炉茶事」
「茶道月報」昭和12年7月号(個人蔵)
「茶道三年」(松永 安左エ門著、飯泉甚兵衛発行、昭和13年)
「即翁遺墨茶会日記」「茶会日記」(畠山一清著、荏原製作所発行。昭和47年)

この茶会のプリント、ほしかった~。
(鉛筆を忘れたし、パネル展示とか暗くてとても筆記できん)

根津美術館で実際に催された茶会記を再現する展示はリニューアルオープン(2009年)以来じゃないかなぁ。
かつての藤田美術館、畠山記念館で茶会記再現の展示はよくやっていたけど、それらと共通する雰囲気だった。

茶道を学ぶ身としては、実際にイメージしやすいし、美術品というより茶道具としてぐっと身近に感じる。
頭に入りやすし、見たものも記憶に残りやすくなる。

コロナ禍でまだ茶会や茶事に参加したいとは思わないけれど、近代茶人が楽しんだ茶会(茶事)を回顧するのは楽しいなぁと思った。

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