本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

大河ドラマ「江」の歴史捜査27続き:細川ガラシャの入信

2011年07月23日 | 大河ドラマ「江」の歴史捜査
 先週の大河ドラマ「江」では細川ガラシャが夫・羽柴秀勝の死で落ち込んでいる江を慰めに来る話がでてきました。そのようなことが本当にあったのかどうかはわかりませんが、ガラシャが語った話は史実としてあり得ない話でした。
 ガラシャは光秀謀反の後、夫・細川忠興によって丹後味土野に幽閉されたときに、落胆の余りに自害しようとしたがキリスト教に入信していたため自害を思いとどまったと語っていました。しかし、ガラシャがキリスト教に入信したのは幽閉を解かれた後、人質として大坂に住むようになってからなのです。
 ガラシャのキリスト教入信の経緯はイエズス会宣教師フロイスの書いた『日本史』に詳しく書かれています。
 それによると大坂屋敷にいたガラシャはキリスト教の説教を聞きたいと思い、夫が九州島津攻めに出陣した留守に密に大坂にあったイエズス会の教会へ出かけました。そこで説教を聞き、修道士にいろいろ質問をして入信を決意しています。フロイスは次のように書いており、ガラシャが実に聡明な人物であったことがわかります。
 「彼女は多くの質問を修道士に持ち出し、さらに霊魂の不滅性、その他の問題について禅宗の幾多の権威をふりかざして反論を試みたが、修道士は彼女の頭脳の敏活さに驚いて、後ほど、自分は過去十八年の間、あらゆる宗派についてこれほど明晰かつ果敢な判断ができる日本の女性と話したことはなかった、と漏らしたくらいであった」

 このイメージに「江」でガラシャを演じているミムラさんは「ぴったり!」と思うのですがいかがでしょうか?
 私は拙著『本能寺の変 四二七年目の真実』が大河ドラマ化されたら、ガラシャ役は是非とも黒木メイサさんにお願いしたい、メイサさんしかいない、と思っていましたが、ミムラさんにも心が動いてしまいました。この身の程知らずの贅沢な悩みにいつまでも浸っていたい気がします。
 ★ 細川ガラシャ役は黒木メイサさん
 ★ 信長の小姓彌介役はダンテ・カーヴァーさん
 ★ 明智光秀役は中井貴一さん
 ★ 織田信長役は阿部寛さん

 さて、光秀謀反にはイエズス会の力が働いていた、それはキリシタンだった娘・ガラシャの影響で光秀も実はキリシタンだったからだ、という説を唱える人がいます。ところが、フロイスの記述でわかるとおりガラシャがキリシタンになったのは光秀の死後です。したがって、この説の前提条件は成立しません。歴史捜査を行うためには史実の正確な把握が不可欠です。

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1 コメント

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本買いました! (近江商人門坂子孫)
2011-07-25 20:39:55
こちらで文章を読むのも楽しみですが、本を購入したら、もっと分かると思い今日届きました。

ミムラさんピッタリだと、僕も思います!
僕だったら、大河ドラマ役者さんは、
織田信長が、国盗り物語の足利義昭の人(お名前分かりません!すみません!)
明智光秀は、近藤正臣さんかな?
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