先週の放送は柴田勝家とお市の方が「江」たち三姉妹と別れる落城シーンが山場でした。
★ 勝家・市の死
戦国物語では落城シーンがしばしば山場として描かれますが、人物の生死は史実としても、その死にいたる経緯やエピソードは基本的に創作と思ってよいでしょう。というのは、落城という事態の中で主人公の死に立ち会った人物が生き残って目撃談を証言できるという可能性がほとんどないからです。
先週の放送も勝家、市、三姉妹の会話は基本的に脚本家の創作といえます。ただし、基本的なストーリーは秀吉がお抱えの作家に事件の七ヵ月後に書かせた『柴田退治記』(柴田合戦記ともいう)に書かれています。落城の前日に勝家が家臣を集めて飲めや歌えの宴を催したことや勝家・市の辞世が書かれています。これを元に江戸時代の軍記物『太閤記』が話を膨らませ、吉川英治『新書太閤記』がそれを元に小説(現代の軍記物)にし、大河ドラマが全国に放送したことによって通説として世の中に浸透したものです。
それでは『柴田退治記』が書いた落城前日の宴や勝家・市の辞世が全く創作なのかというと逆にかなり信憑性があるように思えます。
それはなぜかというと、茶々・初・江の三姉妹は勝家・市の死の直前まで行動をともにしており、そしてその後、秀吉の下に身を預けられたからです。三姉妹だけでなく、そのお付の人達も秀吉の下に置かれたでしょうから、『柴田退治記』の作者である太村由己へ彼らの証言が伝わった可能性は極めて高いのです。それを太田由己がどのように脚色したかは別にして。
『柴田退治記』の記述をみると、宴の席には「後には上臈(じょうろう)・姫公(ひめぎみ)を始め、局々(つぼねつぼね)の女房達、老婆・尼公に至るまで」控えていたと書かれています。つまり三姉妹や付け人は宴の席に出席して目撃しているのです。
勝家と市の辞世は次のように書かれています。
さらぬだに打ぬる程も夏の夜の夢路をさそふ郭公(ほととぎす)かな 小谷御方
夏の夜の夢路はかなき跡の名を雲井にあげよ山郭公(やまほととぎす) 勝家
これもよくできすぎているように思えますが、三姉妹が両親の辞世としてしっかりと携えて城から落ち延びた可能性が高いように思います。皆様はどう思われますでしょうか。
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先週の放送も勝家、市、三姉妹の会話は基本的に脚本家の創作といえます。ただし、基本的なストーリーは秀吉がお抱えの作家に事件の七ヵ月後に書かせた『柴田退治記』(柴田合戦記ともいう)に書かれています。落城の前日に勝家が家臣を集めて飲めや歌えの宴を催したことや勝家・市の辞世が書かれています。これを元に江戸時代の軍記物『太閤記』が話を膨らませ、吉川英治『新書太閤記』がそれを元に小説(現代の軍記物)にし、大河ドラマが全国に放送したことによって通説として世の中に浸透したものです。
それでは『柴田退治記』が書いた落城前日の宴や勝家・市の辞世が全く創作なのかというと逆にかなり信憑性があるように思えます。
それはなぜかというと、茶々・初・江の三姉妹は勝家・市の死の直前まで行動をともにしており、そしてその後、秀吉の下に身を預けられたからです。三姉妹だけでなく、そのお付の人達も秀吉の下に置かれたでしょうから、『柴田退治記』の作者である太村由己へ彼らの証言が伝わった可能性は極めて高いのです。それを太田由己がどのように脚色したかは別にして。
『柴田退治記』の記述をみると、宴の席には「後には上臈(じょうろう)・姫公(ひめぎみ)を始め、局々(つぼねつぼね)の女房達、老婆・尼公に至るまで」控えていたと書かれています。つまり三姉妹や付け人は宴の席に出席して目撃しているのです。
勝家と市の辞世は次のように書かれています。
さらぬだに打ぬる程も夏の夜の夢路をさそふ郭公(ほととぎす)かな 小谷御方
夏の夜の夢路はかなき跡の名を雲井にあげよ山郭公(やまほととぎす) 勝家
これもよくできすぎているように思えますが、三姉妹が両親の辞世としてしっかりと携えて城から落ち延びた可能性が高いように思います。皆様はどう思われますでしょうか。
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