「大人のための文章教室」 その3 清水 義範 講談社現代新書 2004年
「実体験にもとづいて書く」 P-179
さてそこで、あなたが随筆を書いてみる時の、コツと注意点を見ていこう。
私は既に、随筆の結局の目的は、自分の自慢をすることだと分析してしまったのだが、さて今から書こうという時には、とりあえずそのことは忘れていよう。その意図が見え見えでは、好意的に読んでもらえないからである。
いかにも知識誇りという感じの文章、あからさまに自画自賛の文章というのは、とりあえずやめておくように注意しよう。著名な大先生の文章ならそれもやむを得ないだろうが、私やあなたのような、どこの馬の骨かよくわからん、という者は偉そうにしないほうが読んで気持ちのいい随筆になるのだ。人にものを教えることを職業にしている人(大学教授とか学校の先生とか)は、特にこのことを強く意識しましょう。
そして次のコツは、自分の体験にもとづいて書け、ということである。私は先日こんな体験をして、そこからこんなことを考えた、という構造にしろ、ということだ。
そうではなく、このところ私はある問題についてしきりに考えていて、ようやく結論が見えてきた、という構造はやめたほうがよい。そういう随筆は読もうとした時、入り口でつっかえるのである。非常に読み進みにくいものになってしまう。
「実体験にもとづいて書く」 P-179
さてそこで、あなたが随筆を書いてみる時の、コツと注意点を見ていこう。
私は既に、随筆の結局の目的は、自分の自慢をすることだと分析してしまったのだが、さて今から書こうという時には、とりあえずそのことは忘れていよう。その意図が見え見えでは、好意的に読んでもらえないからである。
いかにも知識誇りという感じの文章、あからさまに自画自賛の文章というのは、とりあえずやめておくように注意しよう。著名な大先生の文章ならそれもやむを得ないだろうが、私やあなたのような、どこの馬の骨かよくわからん、という者は偉そうにしないほうが読んで気持ちのいい随筆になるのだ。人にものを教えることを職業にしている人(大学教授とか学校の先生とか)は、特にこのことを強く意識しましょう。
そして次のコツは、自分の体験にもとづいて書け、ということである。私は先日こんな体験をして、そこからこんなことを考えた、という構造にしろ、ということだ。
そうではなく、このところ私はある問題についてしきりに考えていて、ようやく結論が見えてきた、という構造はやめたほうがよい。そういう随筆は読もうとした時、入り口でつっかえるのである。非常に読み進みにくいものになってしまう。