「目の見えない人は世界をどう見ているのか」 その3 伊藤 亜紗 光文社新書 2015年
まえがき (その3)
世界とのかかわりの中で体はどのように働いているのか。本書は、広い意味での身体論を構想しています。ただし、これはあまり前例のない身体論かもしれません。一般に身体論では健常者の標準的な体を使います。ところが本書では、「見えない」という特殊な体について考えようとしているわけですから。
しかし、見えない体にフォーカスするからといって、必ずしもそこから得られるものが限定的だというわけではありません。障害者とは、健常者が使っているものを使わず、健常者が使っていないものを使っている人です。障害者の体を知ることで、これまでの身体論よりもむしろ広い、体の潜在的な可能性までとらえることができるのではないかと考えています。
したがって、本書はいわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようというものです。
とはいえ、障害というフェイズを無視するわけではありません。助けるのではなく違いを面白がることから、障害に対して新しい社会的価値を生み出すことを目指しています。
まえがき (その3)
世界とのかかわりの中で体はどのように働いているのか。本書は、広い意味での身体論を構想しています。ただし、これはあまり前例のない身体論かもしれません。一般に身体論では健常者の標準的な体を使います。ところが本書では、「見えない」という特殊な体について考えようとしているわけですから。
しかし、見えない体にフォーカスするからといって、必ずしもそこから得られるものが限定的だというわけではありません。障害者とは、健常者が使っているものを使わず、健常者が使っていないものを使っている人です。障害者の体を知ることで、これまでの身体論よりもむしろ広い、体の潜在的な可能性までとらえることができるのではないかと考えています。
したがって、本書はいわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようというものです。
とはいえ、障害というフェイズを無視するわけではありません。助けるのではなく違いを面白がることから、障害に対して新しい社会的価値を生み出すことを目指しています。