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「葬式は、要らない」 その13 島田 裕巳

2017年08月02日 00時14分15秒 | 生活信条
 「葬式は、要らない」 その13 島田 裕巳(ひろみ)1953年生まれ 幻冬舎新書 2010年

 村社会の成立と祖先崇拝 その1 P-75

 今でも、日本社会の特徴を指摘する際に、「村社会」ということばが使われる。村社会とは、内部でかたまって、ときに排他的な傾向を示す閉鎖的で規模の小さな社会のことである。

 (中略)

 近世の村落共同体は、稲作を大幅に取り入れ、新田開発を推し進めることで生産力を上げ、それにともなって共同体の結束を強化した。稲作には労働や水利の管理などの面で共同での労働が不可欠で、村の人々は集団として結束力を強める必要に迫られた。

 それは信仰のあり方にも影響を与えた。近代社会に入るまでは「神仏習合」が基本で、仏教と神道とは、それぞれの村のなかで役割分担をしながら併存していた。仏教の方は、葬式仏教として村人の葬式や法事・供養を担当し、一方神道の方は、氏神祭祀を営んで村を統合する役割を果たした。そのため村には、菩提寺としての仏教寺院と、氏神としての神社とが併設される体制が築かれていく。