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「大放言」 その15 百田尚樹

2017年08月12日 00時01分53秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その15 百田尚樹  新潮新書 2015年

 自分は誤解されているというバカ その2 P-30

 他人の目は正しい

「他人は自分を正しく見ていない」という認識こそ、人が犯す最も大きな過ちの一つである。実は、他人くらい自分を正しく見ている者はいない。

 もちろん人間だから誤解や勘違い、好き嫌いによる思い込みというものはある。しかし仮に周囲の人間10人の意見を総合して、その大半の意見が一致すれば、その人物評はまずその人の等身大をあらわしていると見て間違いない。

 もしあなたがある未知の人物を知りたいと思ったら、その周囲の人たちにその人物評を聞いて回ればいい。出てきた感想を総合すれば、まずその人物像は狂いがないだろう。

 10人中8人に「仕事ができない奴」と思われている人間はまず仕事ができないから、彼に重要な仕事は任せてはいけない。10人中8人に「口が軽い奴」と思われている人G年には、大事な秘密を漏らしてはいけないし、10人中に8人に「女たらし」と思われている男は、恋人にしない方が身のためだ。

 ただし周囲の人と言っても、あまり近い人は駄目だ。人物評価はその人に近ければ近いほどズレが大きくなるという法則を持つ。だから親友とか親、兄弟というのは、あてにならない。「うちの子に限って」と言う親バカの例を思い出すまでもないだろう。一番当てにならないのはアツアツの恋人だ。彼に夢中になっている彼女の目の狂いようは、しばしば本人以上だ。