標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

鳴き声は聞けども居場所が分からず、3日間も探し続けた子ネコの救出劇

2018-03-06 19:19:10 | 日記
今はもういないが、一昨日も登場した子ネコの話だ。双子の白ネコが来たのは、2011年11月にタロ(犬)がやってきた直後だった。まるで意図してタロの友達としてやってきたようだった。双子の白ネコは一見すると見分けがつかなかったが、一方は赤い瞳で他方はコバルトブルーだった。赤目の方はしばらくするといなくなったが、コバルトブルーの子ネコは半野良として住み着いた。ノンタンと名づけた。


ウッドデッキでチャッピー(10年ほど住み着いている半野良のネコ)と一緒に餌を食べるノンタン。


家の中にいるタロと遊びたいな。


タロと遊ぶノンタン。

ノンタンとチャッピーは半野良だったので、自由に外出していた。気が向くとベランダや陽だまりに寝転んでいるノンタンを見つけられた。

さて、このノンタンがある日、いなくなった。その晩、我が家の北にある林(といっても、サル、鹿、タヌキ、リスを見たことがあるので森といってよいが)の北東方向からミャーミャーとネコの鳴き声が闇の奥から聞こえてきた。私はベランダに出て、「ミャーミャー」や「ノンタン」と叫んだ。私の鳴きまねに応えていたが、近寄ってこない。何回か繰り返したが、状況に変化がなかった。あきらめて次の日の朝、探すことにした。

次の朝、林に入った。北の谷の方からミャーという昨日と同じ鳴き声が聞こえてきた。声の方向に近寄ると、次第に鳴き声のボリュームが大きくなった。これは近づいたなと思い、さらに進むと、やがて鳴き声が遠くなてきた。後ろから聞こえてくるようだ。戻り、西側の谷の方に行った。次第に鳴き声が大きくなってきたので、必死に傾斜を下った。しかし、谷に入ると声が小さくなる。今度は北の方向から聞こえてきた。「ミャー」と私が問うと、「ミャー」と応える。傾斜を登り北側に行ったところ、今度は南から聞こえてきた。右往左往を1日中繰り返していた。

私が動くとネコも動き回ってしまうのかと思い、しばらく立ちすくんで気配を伺った。しかし、寄ってこない。私が移動すると、ネコも移動するようだ。鳴き声が大きくなったり、小さくなったり、一向に見つけられなかった。2日目の日中の捜索はあきらめた。その夜、時々暗闇の中からミャーミャーと、鳴き声がとぎれとぎれに聞こえていた。やや元気がなくなってきたようだ。鳴く頻度も少なくなってきた。「明日はきっと探してあげるよ」と床の中で誓った。

3日目、鳴き声をめがけて林の中に入った。すると、今までより近くに聞こえた。無意識だったが、上を見上げた。すると、ノンタンが、高さが10m以上ある檜の中程だが、横に伸びた太い幹の上に留まり、「ミャー」と鳴いていた。私とノンタンの眼が合った。私はとっさに、動き出し、檜の木の周囲に枯れ葉・枝や近くにある常緑樹の葉を集めてクッションを作った。高枝切りバサミにアルミポールを繋ぎ、6m程の長さにした。その先でノンタンが止まっている枝の根本を叩いた。意図したとおり、ノンタンは枝の先まで走り、枝から落ちた。見事に葉っぱの上に落ち無事救出できた。ノンタンは落ちるや否や走り去ってどこかに消えてしまった。驚いたのだろうか。しばらくして、私が家に戻り片づけをしていたら、ミャーと何事もなかったように現れた。しかし、その声は枯れていた。

その後、ずっと嗄れ声のままであった。1年近く一緒に過ごせたが、ある日から帰ってこなくなった。コバルトブルーの目がきれいな雌ネコのノンタンであった。この救出劇は、未だに、私の記憶の中に鮮明に残っている。
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