不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il giorno della memoria

2013-08-06 23:50:00 | 日記・エッセイ・コラム
朝から引っ越し屋さんの搬出でばたばたと始まった8月6日。

これまで広島市長は
原爆による被害と
原子力発電所の事故による被害は
別物と考えていると思っていたけれど、
8月6日の平和宣言にあたり
どちらも等しく根絶するべきとはっきり言っていたのを知り
すっきりした気持ちになりました。
そして、それをイタリアのメディアが報道したことにも
救われる想いがしたのは事実。
Fuori dal Nucleare per sempre
安全性の確証できないものを
海外に売りつけようとする日本政府の在り方だけが
日本ではないことを世界に知ってもらうためにも
とても需要な発言だったのではないかなぁ。

そして、これは個人的に
待ちに待っていたイベントだったのだけれど。
8月6日の広島でのピースナイター・広島-阪神戦で
吉川晃司が始球式を務め
5回裏終了時にImagineを唄う。
始球式に向けて数ヶ月前から準備を始め
前日もブルペンで50球以上も投げ込んだという結果は
外角直球111キロ。
本当に何事も手抜きをしない男・吉川晃司。
私なんて、若かりし頃、
現役でソフトボールのピッチャーやっていた時でさえ、
そんなに投げ込みしたことないよ(爆)。

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YouTube: 吉川晃司始球式 201300806 広島×阪神


5回裏終了後のイマジン独唱は
てっきりカラオケ伴奏付きで
英語で唄うと思っていたら
なんとホッピー神山氏による
被爆ピアノの伴奏付きで
日本語歌詞での披露で
この辺りにも吉川さんの想いを感じたわけです。
英語で唄ってしまえば、
彼の想いをのせるために歌詞を変えることも難しいし
日本人の心に響き難い。
日本語歌詞はベースは忌野清志郎さんのものだと思うけれど、
一部吉川風味になっている。

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YouTube: 吉川晃司 イマジン独唱 平和記念日 ピースナイター2013 201300806 広島×阪神


天国はない ただ空があるだけ
国境もない ただ地球があるだけ
みんながそう思えば簡単なことさ

放射能いらない もう被爆もいらない
偉い人も貧しい人も
みんなが同じならば簡単なこと

夢かもしれない
でもその夢を見てるのは一人だけじゃない
世界中にいるのさ

そしてこの熱い男に影響されている私は
ぎりぎりまで目処が立たなかったけれど、
ナポリで行われた広島に想いを寄せる灯籠流しに参加するべく
夕刻レイラとともにナポリへ。
Corriere della Seraの紹介記事

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Piazza Vittoriaの海辺に小さく準備されたイベント会場で
ボランティアスタッフが熱心に説明しながら
灯籠作りを手伝ってました。
火をつけてくれるお兄ちゃんたちは
ナポリ東洋大学の学生で、
日本語で一生懸命話しかけてくれたし。

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「日本一心」と書いておきました。

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Castel dell'Ovoを背景に流れていく灯籠たち。

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日本人よりもイタリア人の参加が多くて、
私はそれがとてもありがたいなと思った。
イタリア語でメッセージを書いている人が多い中、
数人、私を見かけると、
日本語で書いてほしいと声をかけてくれる人もあり
そういう人たちは
「日本」「心」「平和」「世界平和」
という言葉を選んでたよ。
想いは一つだなぁって感じた瞬間。

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灯籠を流してお祈りをしたあと、
レイラとふらふら夜の散歩に。
海岸沿いは車両規制でテラス席が広がっていて
22時過ぎだというのに
みんな盛んにご飯を食べていた。

私はせっかくナポリに行ったのに、
あまりの暑さ(フィレンツェよりずっと蒸し暑かった)に
ピッツァを食べる気にもならず、
妥協してサラダを食べたり。

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ほとんど照明らしきものもない
プレビシート広場で
びくびくしながら散歩するレイラ。

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闇に浮かび上がるPalazzo Plebiscito。

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泊まったホテルは三ツ星。
でも充分な広さで快適に。
レイラは最近の旅行で慣れたのか、
真っ先に自分の寝床を確認する癖が。
で、ベッドの真ん中を陣取って偉そうにするわけだよね。

レイラと寄り添って、
世界の平和と、日本の行く先に想いを馳せながら
いつのまにか眠りについた。

8月6日、忘れずにいつまでも語り継いでいく日。


Zonkey Ippo

2013-07-25 19:56:23 | 日記・エッセイ・コラム
7月19日に
ロバとシマウマの間に産まれたZonkey Ippo君

誰でも自由に会いに行けるということを知ったので、
早速出かけることに。

Via del Barcoにある植物園Agliettiは
街路樹や個人宅の庭木の剪定をしたり
植物を育てたりする傍ら、
保護された動物たちの面倒も看ていて、
ここには、
そうして保護されたシマウマとロバもいて
その二匹の間に奇跡的に産まれたのが
ZonkeyのIppo君。

Cascineの森を抜けて1時間ちょっとで行けるところなので
レイラを連れて歩いていくことに。

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Piazzale del Re。
結果的には
ここから素直にVia del Cascineを通って
Via Baraccaに出るルートを選べば良かったのだけど、
もっと近道ルートがあると思ったので、更に先へ。

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この辺りまではレイラも元気いっぱい。
広い草原を独り占めして走り回って嬉しそう。

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この草原を抜けた先の
Viale del Pegasoから行けばすぐそこのはず。
しかし!!
なんと、目的地を目前にした
小さい橋のところで工事をしていて完全通行止め!!
人間はおろか、レイラさえも通り抜けできない。
仕方ないので、
20分前にいた地点まで引き返すことに。
気を取り直して、仕切り直し!!

もうそろそろ
歩くのが嫌になってきているレイラをなだめすかして
なんとか到着。
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フリーエントランス。

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入り口には
Ippo君の誕生を知らせる記事が貼り出され
イタリアらしく、男の子の誕生を公示する
Fiocco Azzurro(青リボン)も。

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本来は植物園なのだということを感じさせる雰囲気。
この柵に沿って更に進むと。

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こんな方々がお出迎え。

担当のMassimoおじさんが案内してくれて、
ようやくIppo君のお家に到着。
しかし!!
くたびれ果ててお昼寝中!!
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今朝はなんとBBCの撮影があり、
Ippo君もあちこちで張り切ってポーズをとったり
撮影に応じていたので、すっかり疲れちゃったのだそうで。
くったり、ぐっすり。
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Zonkeyは世界でも珍しく
Ippo君は北京、ボストンに次いで3例目なんだそうで
そりゃぁ、天下のBBCも撮影にくるよね。
近場の欧州で産まれたんだもの。

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このやる気のなさそうな、そして控えめなおじさんが
Ippo君をこの世に迎える手助けをした方。
助産夫さん?!
案内のMassimoおじさんが
ずっとまくしたてて喋っている横にいて
一言も言葉を発しませんでした(笑)。

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夏休みということもあるし、
市内から簡単にアクセスできる小さい動物園ということで
子供たちもいっぱい来てました。

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これがIppo君のお父さんのシマウマMartin。
なぜかヤギと同じ柵の中にいて
ヤギじゃなくて
なぜロバの彼女を選んだのか聞いてみたい気分に。

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まぁ、ヤギさんたちは
シマウマ君のお相手するにはちょっと小柄か・・・。

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ここは保護された動物ばかりなんだけど、
なんとラクダもいる!!

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そうした保護活動についての説明や、
Ippo君の一日について話したり、
そして子供たちの素朴な疑問に答えたり
とてもサービス精神旺盛なMassimoおじさん。

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帰りがけにもう一回覗いてみたけど、
やっぱりお昼寝中。

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レイラは抱っこされたままだけど、
見学させてもらえて
Ippo君を見てはひゅんひゅん。
遊びたかったんだろうか。
いくら小さいとは言っても、
レイラの10倍くらいありそうだけど。

寝ているIppo君を見る限り
シマウマ模様のロバ。
Massimoおじさんによれば
北京のZonkeyはもっとロバっぽい色みたいで
Ippo君は足のシマシマがよく出ているんだって。

ちょっと遠回りしたけど、なかなか良い遠足でした!!
そして、帰宅したレイラは
Ippo君並にくったりぐっすり爆睡中(爆)。


Ultima Luna Piena

2013-07-22 23:22:00 | 日記・エッセイ・コラム
7月22日満月。
先月のスーパームーンにも勝るとも劣らずの美しい満月でした。
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我が家のベランダは南東向きで中庭に面していて
中庭の上の空間が広いのもあって、
家にいながらお月見ができるのです。
よってこれは自宅から撮った満月。

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中庭の向こうのお家から漏れる光と月。
なにもないけど、これが私の18年間の日常だった景色。

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センチメンタルになる必要も、
なるつもりもないけれど、
これが実はこのフィレンツェの家から見ることのできる最後の満月。

自然に涙が溢れてきたんだよね。



Angelus

2013-07-21 23:16:00 | 日記・エッセイ・コラム
土曜日、プローチダ島からの帰り道にちょっと考え、
日曜日、レイラの散歩の途中で思い立ち
ヴァチカンまで教皇のAngelusを拝聴しに出かけてみました。

前々教皇のGiovanni Paolo IIは
私が美術史の観点からキリスト教に興味をもち始めた頃には
既にパーキンソン病が進行して呂律が回らず、
当時の私のイタリア語力では
テレビでたまに流れてくるAngelusの説法も
すべてを理解することができませんでした。
前教皇のBenedetto XVIは
厳めしい顔つきがどうしても親近感が持てなかったのと
彼のドイツ語訛りのイタリア語が聞き難くて
申し訳ないけど、聞こうという気にもならなかったのです。

現教皇になってから
私の周囲ではとても庶民的な説法をすると
度々話題に上っていました。
だから一度は聞いてみたいなと思っていたのです。

列車はいつものように(?)30分遅れで到着し
サン・ピエトロ寺院にたどり着いたのは12時ちょっと前。
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Angelusは12時からの予定なので、
もう広場はごった返しているんじゃないかと思ったけれど、
一時期(就任直後)ほどの混雑ぶりは見られませんでした。
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難なく、広場の中央に進み、
オベリスクの近く、登場するであろう窓の正面辺りに陣取り。

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この窓が開いて準備が始められただけで、
広場の群衆がどよめき、
どれだけ期待されているのかを垣間みることができました。
教皇が登場するまでも
広場のあちこちで、
呼びかけやかけ声が上がって盛り上がってました。

そして、いよいよFrancesco I 登場。
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いつものように(噂に聞いていたとおり)
Buon giornoから始まり、
わかりやすく聞きやすいイタリア語でお説法が始まります。
たった15分足らずの時間ですが、
広場は言葉にできないような幸せな空気に包まれ
誰もがその言葉に聴き入っている感じが伝わってきました。
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その日のお話は、ベタニアのマリアとマルタの話から
キリスト教徒としての在り方を説くものでした。

キリスト教徒ではない私の心にも
じんと染みるお話で
教皇ご本人の人柄の良さも
そのわかりやすさも
「すべての人に伝えよう」
という想いからくるものなんだと感じました。
伝えようという心の大切さを改めて教えられた気がします。

そしてその日の説法からは
思いと行動は常に共にあるべしという基本に
改めて気づかされました。
肝に銘じて、また日々精進せねばと思ったのです。

広場を見渡して、
垂れ幕にコメントしたり、
そして最後はいつものように
Buona domenica e Buon pranzoで締めくくり。
その言葉に広場が一段と盛り上がり、歓声が沸きました。
この教皇が愛されていることを感じる日曜日でした。

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Missione

2013-07-17 23:55:00 | 日記・エッセイ・コラム
Palazzo Coppiniで開催した上映会。

一つ目は講演者である秋田女史(プロフィール)が
東日本大震災の時に被災地で行ったボランティア活動から
その後の、日本各地の女性経営者を巻き込んでの
被災地での雇用促進への挑戦までを
時系列に追って紹介してもらう「震災」ドキュメンタリー。

まず、久々に見た津波の映像に心が押しつぶされそうになり、
なにがあっても忘れてはいけない現実が
そこにまだあることを思い知らされました。

彼女の経験を通して語られる出来事は
一つ一つが具体的で、
遠隔で支援しかできなかった自分の知り得ない壮絶な光景を
今この時期に初めて知らされるような感覚でした。
ずっと知らずにいるよりは、
今でも知ることができて良かったと思えることばかり。

後半、被災地での雇用の可能性を模索して
自分でも雇用を生み出すアイディアを実現させた秋田女史は
それに飽き足らず日本中の女性経営者に声をかけ、
新しいアイディアを引き出させて
被災地の復興に向けて
被災地で立ち上がりつつある地元企業との
コラボレーションを実現していきます。
このなかでバングラデシュのノーベル平和受賞者
ムハマド・ユヌス氏との繋がりも紹介され、
ソーシャル・ビジネスの在り方を
わかりやすく説明してもらいました。
利潤ばかり追い続けることに疑問を感じて
仕事を辞めた自分には
まさに目からウロコの、ありがたいお話ばかり。
私には今までにないアイディアを生み出すという
素質は備わっていないので
各地の女性経営者の柔軟なものの考え方も
非常に刺激的でした。
紹介されていたビジネスモデルの中に
とてもユニークなものがありました。
被災地まで赴くことができない人のために
身代わりのぬいぐるみが旅をして想い出を紡ぐという
ウナギトラベル」。
なんか、いいよね。

二つ目は科学者らしくない科学者の村上名誉教授の
遺伝子が目覚める、
ということをテーマにしたドキュメンタリー。

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YouTube: 映画「SWITCH」予告編


遺伝子の仕組みから始まり、
我々人類の(おそらく全生命の)無限なる可能性と
自己実現のためのお話。
村上名誉教授は偉大な科学者でありながら
ともすればオカルト的な扱いをされがちな
スピリチュアルな世界や、祈りについても
まじめに考証し、
科学的に検証し解明しようとしているユニークな人物。
大半が眠ったままの、
我々の遺伝子の一部を目覚めさせることにより
何かが変わる瞬間がある。
誰もが計り知れないパワーを秘めていて
そのパワーを解放するために
ポジティブな遺伝子をオンにするだけでよいという話。
これも自分の人生について
やりがいについて色んなことを考えて生きている人には
おそらくびりびりと電流が走るほど
共感できるものだと思います。

2本のドキュメンタリーを通して
今の自分が、もちうる最大の力でできること、
つまり「自分の使命」についてじっくり考えるべしという
メッセージを受け取りました。
人生はきっとずっと自分探しの長い旅であるけれど、
身体は地球上の、宇宙の様々な分子で形成された借り物、
自分を自分らしく在らせている魂の
喜ぶ生き方をしなくてはいけないって。


色んなことに気づかせてもらえた4時間でした。
これを受けて、2日目のドリームマップセミナーへ。
なんだかとても楽しくなってきました。

忙しい時間を割いて、参加してくださった皆さん、
ありがとうございます。
貴重な時間と機会を与えてくれた秋田さんにも感謝!!