のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

ジュリアン

2006-10-25 | 仲間
「森のシーンの前だからいつも上から観ているんだ。いつも楽しませてもらっているよ。」
 そんなことを言われてからジュリアンの存在に気づいたのかもしれません。
「明日僕の友達出るのだけど出る日?」
 と訊いてくれたこともありました。
 そんなジュリアンの誕生日には
「今日はあなたのために踊るから。」
 と言うととっても喜んでくれたり。

 ミーティングでは正当な意見をまっすぐに言って、ショーを大事にしていて真剣で。芸術的で創造性が豊かでいつも何か創っている。正義感があって前向きで。そんな彼が見守ってくれていて声をかけてくれると、私は同じことをバカみたいにしているけど、それでも自分は自分でいいのだと安心させられました。

 あるとき、いつもは一人でクールダウンをしているトレーニングルームにジュリアンが訪れました。二人で円柱の発泡スチロールをゴロゴロさせながら寝転がりながら話をしました。そういえばそれまでゆっくりと話す機会はありませんでした。何気ない話の中にもその人の考えや感覚が出るものです。ショーが終わったあとの安堵感とあいまって心地よかったこと。

 見た目の雰囲気と私の中では合っていないのですが、サルサが得意です。何回かクラスをしてくれました。彼の説明は丁寧で、彼のリードはとても踊りやすくて楽しめました。休みの日にサルサのコンベンションが開かれるロサンジェルスまでわざわざ行って何時間も踊り続けたと言っていたこともありました。

 日本からの訪問客があったときクーンが開いてくれたパーティーでは、ゆっくりとゆったりと時間を共に過ごしてくれ、はじめから終わりまで彼女たちを温かく大切にもてなしてくれました。

 20歳からの顔は自分でつくるというけれど彼はどんどんかっこよくなっていきました。

「サインくれる?」
 とジュリアンの顔のページを開いたプログラムを差し出すと、空いてるスペースを使っていいか訊かれました。英語とフランス語で言葉を書いてくれて。私は用意していたカードを渡しました。 

 そう、このプログラムは別れるときに名前を書いてもらっているプログラムです。

 ジュリアンとも今日でお別れです。