ぼくに切断され、ぼくの皮を、脱いで、羽化した上半身だけのアワノメイガ、エホバ。
彼はまさに、上半身だけで、死へと羽ばたいた。
ぼくは、永遠に羽化しない死んだ下半身の蛹。
乾涸びて、言うんだ。
この空砲によって、きみを射殺しよう。
きみを射抜いて、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
そしてそのすべての穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴のなかの穴にも、たくさんの穴を開けよう。
その穴の数は、ぼくたちがいままで、殺してきた生命の数。
ぼくに向かって、彼らは言う。
生きたかった。
生きたかった。
生きたかった。
きみの外で。
彼女は、愛する母親(覆面の男)に、寝るまえにいつも、自作のおはなしを聴かせてあげている。
男は知っている。
自分の顔が、ないことを。
でも穴があることを知っている。
その穴に、彼女は自分の一部を挿れることが好きだ。
そして別の穴へ突き抜け、穴を通して、彼女の穴に戻り、彼女は彼女を確かめている。
男は知っている。
自分が仕事に行っている間に、彼女は別の、恋する男を想って、Self Pleasureをしている。
深夜のGasstationの売店のRestroomで、彼と、SEXしている。
誘うのはいつも、彼女からで、男はいつも、控え目だ。
罪悪感を、二人は感じている。
男は言う。
「こんなことが、きみのママにバレたら、きっと、もう会えないよ。」
彼女は背中に差していたSilencerを取り出して言う。
「これで君の顔面に穴を3つ開けてやろうか?」
男は悲しい顔をして、溜息を吐いて俯向く。
彼女は男の頬を優しく擦り、言う。
「American jokeだよ。馬鹿なアメリカ人が言いそうな言葉だろう?ぼくのママがいつも言っていることを真似しただけさ。」
「きみのママって、そんな人なの?」
「正しくは、ママじゃないよ。」
「ほわい?Really?Why?それじゃ、だれなのさ。」
「正しくは、ぼくの息子だ。」
「……。なんだって?!それじゃきみ、自分の息子と、してるのか!」
「娘がママとしてたらOKで、母親が息子としてたらNOなの?」
「…ぇ?ほ、ほんとに、してるの…?馬鹿なAmericanの僕のJokeだったのに!」
「ぼくはママともしてるし、息子ともしてる。だって彼は、ぼくにとってママであり、一人息子なんだ。」
「Oh My God!!!!!」
「嗚呼、もう面倒臭いナ。やっぱりこれできみの顔に三つ穴を開けてぼくは帰るよ。」
「Jesus!!!!!Cryshit!!!!!」
「これできみと彼は、同じになる。」
「貫通してないだろう?」
「貫通してるよ。」
「可笑しいじゃないか。目と口なのに、貫通してたら。」
「ぼくはママを可笑しいなんて想ったことはないし、それに、見た目は貫通してないよ。隠してるんだ。」
「でも本当は貫通しているんだろう?」
「そうだよ。きみのなかにある無数の穴のようにね。」
「僕の、何処に無数の貫通している穴があるの?」
「知らないのか?骨髄に決まっているだろう。」
「骨髄?KO・TSU・ZU・I?Bone Marrow?」
「Yes。きみの骨髄のなかには、無数の貫通している穴があることを知らないのか?」
「僕はあまり、医学的なことに詳しくないから…。」
「きみの骨髄のなかには、きみがいままで殺してきたすべての生命の顔が、つまりその穴が、無数に開いているんだ。」
「What did you just say?」
「だから、きみが食べるために間接的にも殺してきたすべての生命の顔が、つまりその穴が、きみの骨髄のなかに確かに、存在しているんだ。」
「Seriously? 」
「これを観給え。」
そう言って彼女は、背中から一枚の写真を取り出し、彼に見せる。
これが、きみとぼくと、すべての存在の骨髄のなかにある、穴(生命の顔)だ。
この悲しみが、ぼくらのなかで永遠に、悲しみつづけるんだ。