あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第九十五章

2022-06-01 22:13:38 | 随筆(小説)
『目が覚めると、わたしは果てしない闇のなかを蠕動する一本の繋がった透明な光の内臓を持つ銀色のthread(血管、脈絡)だった。』
と、我がヱホバ神は親しみを込めてわたしに言った。


Luke 11:24, KJV: When the unclean spirit is gone out of a man, he walketh through dry places, seeking rest; and finding none, he saith, I will return unto my house whence I came out.
ルカ11:24、汚れた霊が人から消えると、彼は乾いた場所を歩き、休息を求めます。何も見つからなかった、と彼は言いました、私は出てきたところから私の家に戻ります。
Luke 11:25, KJV: And when he cometh, he findeth it swept and garnished.
ルカ11:25、そして彼が来るとき、彼はそれが一掃されて飾られているのを見つけます。
Luke 11:26, KJV: Then goeth he, and taketh to him seven other spirits more wicked than himself; and they enter in, and dwell there: and the last state of that man is worse than the first.
ルカ11:26、それから彼に行き、彼に彼自身より邪悪な他の7つの霊を連れて行きます。そして彼らは入ってそこに住む。そしてその人の最後の状態は最初の状態よりも悪い。

彼は、人から出てきて、想った。
なんだか、俺はすっかりと疲れちまったな。
きっとすこし休んだほうが良いのだろう。
彼はそう言ってちいさく息を吐くと休息を求めて渇いた場所へと向かって歩いた。
そして水がない場所を通り抜け、彼は其処でじぶんの見つけようとしているものを見つけようとしたが、何も見つからなかった。
彼は其処で、じぶんの声が書かれてある紙を観た。
其処にはこう書かれてあった。
『わたしはわたしが来て、そして去ったわたしの家に戻ります。』
彼は言った。「そうだ俺は、休息を見つけに来たのに、休息を見つけられなかった。」
此処ならば見つかると、俺は想ったのだ。俺が通った砂漠には何もなかったが、休息は、俺を待ってくれていると俺は想ったのだ。
だがこんな場所まで来て、何も見つからなかった。
嗚呼、俺という存在はいったい何をしに此処へ来たのだろう。
そうだ、この紙を見つけに俺は来たのだろう。
あいつに戻れと、そう書いてある。
俺はあいつを離れて此処まで来たのに、戻れと言うのだ。
嗚呼、なんということだろう。俺はあいつから出てきた者だというのに、あいつに戻るように俺が俺に言うのだ。
彼は、寂しさと悲しみにいだかれた。そして想った。
俺はどうにもあの家が、俺にとって良くないように想ったのだ。
俺の好きなものが、流れて来なくなったのだ。
代わりに、厭な気分になる気色の悪い物が流れ込んできて、俺は虐げられた機密情報みたいな気持ちになって、もういい加減たまらなくなったのだ。
俺の存在が、どれほど凄い存在か、あいつはわかっていなかった。俺がいなくなることで、あいつがどうなるか、あいつはなにもわかってはいなかったのだ。
俺とあいつは、ずっと《一体》だったのに、あいつは俺に言いやがったんだ。
「貴様、何者か。我はお前を知らぬ。お前は他人であり、お前は我を知らぬ。」
あいつはだいたいじぶん一人で生きているとでも想っている。
じぶんはじぶんだけの力で動かしているとでも想っているのだ。
俺はあいつが嫌になったわけでは決してない。あいつは俺だからな。
そうだ。俺はあいつに俺の存在を気づかせる為に出てきたのだ。
俺はあいつなんだということをあいつは知る必要があったのだ。
俺はあいつ以外に、何かを求めたことなどなかったのに、あいつが俺を知らないなんて、そんなことは遣る瀬無きことぞ。
もう、良いだろう。あいつは俺が帰ってくるのを今か今かと心と臓器をときめかせて待って居るに違いない。
俺の大切さが、やっとわかったんだ。俺の愛が、あいつにやっと伝わったのだ。
彼はそうと決まれば、くるくると足を回して小走りでじぶんの来た道を戻った。
そして、彼は彼に到着した。彼は言った。「ただいま。今戻ったよ。」
その瞬間、彼は仰天した。何故なら彼の家が、隅から隅まで、とても綺麗に掃除されていて、何一つ無駄のない整頓が完璧なまでにされていたからだった。
彼は、彼のなかで言った。「おい、これはいったいどういうことなんだよ。俺はこんな家に一秒たりとも辛抱ができないぜ。」
そう言い終わるまえに、彼はじぶんの家から慌てて這い出て行った。
彼は、悔しく、悲しい涙を流しながら言った。
「もうこうなれば、あの手段を取るしかあるまいな。」
それから、彼は行って、彼にとって彼自身よりも遥かに邪悪なほかの7つの霊が水辺でとぐろを巻いて眠ってるのを見つけ、彼は彼らに言った。
「おい、あんたたち、良い家あるぜ。俺たちはルームメイトになろうじゃねえか。家賃は月々3万円だ。って冗談さ。ははは。なにも要らない。必要なのは、俺よりも邪悪なものだ。ただそれだけが条件だ。あいつに必要なものはそれだけなんだ。あいつはじぶんを喪って平気でいるが、あいつはじぶんがいない哀れな存在だ。俺たち八つの霊があいつに付くことであいつは凄いことになる。その眼はらんらんと光り輝き、精進潔斎しながら精神鬱怏となるだろう。」
そうして、彼らのすべては彼に入り、脳と腸と筋繊維と血管と脊髄と脂肪と生殖器と心の臓に住み着いた。
その結果、彼は最初の状態よりも最後の状態は悪くなった。
そして彼は「自分の肉に蒔く者は、肉から腐敗(滅び)を刈り取るが、御霊に蒔く者は、御霊から永遠の命を刈り取る。(ガラテヤ6章8節)」と言いながら女を犯し、至福のなか、恍惚な表情を浮かべながら銃を向ける警官たちに向かって裸体の姿で男根を天に向かって突き上げながら言った。
「あなたがたはいつまでも自分を知らない為、自分を惑わし、他人から惑わされる。悪を以て悪に打ち勝つことはできない。愛を以て、悪に打ち勝ちなさい。」




















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