どうもね、東日本大震災を題材にしている映画というのは、冷静に観れない部分がある。特にこの映画は、直球で震災を描いているから。
直接、自身や津波が描かれているわけではないけれど、阿部寛演じる刑事が、妻と子供を探し廻るシーンとか、もう、たまんないよ。
冒頭から心乱されてしまった。
私は岩手県でも、内陸の人間だから、沿岸部の方たちが被った被害と苦労の甚大さは、実感としてはわからないところがある。
ただ、震災から2か月後に私は被災地に入ったので、あの惨状を目にはしている。車が通る道路だけは綺麗に片付けられていたけれど、その道路の周りは、瓦礫や破損した車が累々と横たわっている情景。
上から押しつぶされたかのようにペシャンコになった車。僅かな高低差が明暗を分けた家々。
でも、そんな状況のなかでも
人々は暮らしてる。
言葉になんかできない衝撃と、そんな場所でも生きようとする人々。
忘れられません。
震災によって大切なものを失った者たちが寄り添い、慎ましく暮らしていく中に訪れる、更なる不幸。そこから生じる悲しみ、怒り、そして
復讐。
悲しくて辛くて、でも最後の着地点は
優しさと、慈しみ。
そんな映画です。
出演者の皆さん素晴らしかった。中でも凄いと思ったのは
清原果耶。
この方の演技を観るだけでも、価値あり。