リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

文科省による講演内容「問い合わせ」は行政による教育介入か過剰な忖度か

2018-03-21 | 政治
名古屋市立中学校で元官僚の前川氏が講演した内容について,文科省が前川氏の前歴に触れたうえで2度にわたり30項目もの質問を送り付け,録音データの提出まで求めたことが行政による教育への介入ではないかと批判を浴びている(朝日新聞社説2018-3-17).
「問い合わせ」は自民党の赤池議員,池田議員からの照会がきっかけとなっていたのに,問題発覚当初,両名とも沈黙しており,文科省も照会を隠して主体的な行動だとしていた点も怪しい.
文科省の執拗な「問い合わせ」がやりすぎであるのは明らかだ.「政府に都合の悪い人を呼べばお上から何をされるかわからない」として教育現場が萎縮してしまう.

だが報道(朝日新聞2018-3-21など)をざっと見る限り,政治介入と断定するには経緯がはっきりしない.
まず名古屋市が地元である池田氏が講演について知り,自民党文部科学部会長の赤池氏に連絡した.それを受けて赤池氏は天下り問題で懲戒処分相当となっていた前川氏が公立学校で授業する点に問題がないか,確認するために,文科省に問い合わせたという.赤池氏は文科省へのこの照会が文科省への圧力になるなら,国会議員の仕事はできなくなると述べているが,これは正しいと思う.問い合わせの表現ぶりによっては圧力になることもありうるが,文科省に対する冷静な「問い合わせ」であったのなら,単に「法令上問題ありません」とか「一度問題を起こしたら再起できなくなるなんてありえない」などと回答すればそれですんでいたはずだ.それがなぜ教育委員会に対するあのような執拗な「問い合わせ」メールを発することになってしまったのか.
文科省は事前に質問文を池田氏に見せ,その意見を容れて質問条項を加えたという経緯(同1面)も考慮すると,やはり文科省への単なる制度上の「問い合わせ」ではなく,池田氏から,現場に対してアクションを起こせという指示ないしは忖度を強いるはたらきかけがあったと思わざるを得ない.今日の報道ではまだこのあたりがはっきりしない.今後の解明が待たれる.

追記:池田佳隆議員は「信念に従って問い合わせした」と認めたそうだ(朝日新聞2018-3-23).「信念に従って」というのは,純粋な事実関係の「問い合わせ」ではなく,やはり介入の意図があったということだろう.へたに偽装せずに認めたのは潔いが,これはいよいよ問題だ.

追記2:結局,この調査について担当局長が文科相から注意された.文科省は名古屋市教委にそのことを伝えるメールを送った.「調査は法令に基づき行った」とする態度は崩さず,謝罪の言葉もないものの,「教育現場へのより一層丁寧な対応に努める」と述べており,釈明で幕引きを図っているようだ(朝日新聞2018-4-3).
また,厚生労働省の東京労働局長が記者会見でマスコミに対して「是正勧告してあげてもいいんだけど」など脅しとも思える発言をしたことに関し,局長の処分を検討することになった(朝日新聞2018-4-3夕刊).
世論が敏感に反応すれば,一応まだ自浄作用ははたらいているようだ.


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