リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

労働力不足解消:外国人助っ人よりも、子育てしやすい社会が王道

2018-12-30 | 待機児童
外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入管法改正を自公政権が進めている。何もかも「検討中」の段階での拙速な進め方は衆院議長でさえ再質疑(過去ブログ)を求めたほどだったが、働き手の不足を解消するために外国人労働力に頼らざるを得ないという点では野党にも理解があるという。だが、労働力不足になった原因を放置したまま、単に外国人労働者を受け入れても、社会のひずみが増すばかりだ。働き手が足りないという問題のそもそもの原因を見据える王道の解決策を忘れてはならない。

働き手不足にはいろいろな側面がある。日本が豊かになって日本人がやりたがらない仕事に人が集まらない、ということであれば、待遇改善のために政策的にできることはないのか、検討する余地がある(もちろん、どの党が政権をもつとしても「ばらまき」にならないようチェックが必要だ)。

だが働き手不足の根本原因は少子高齢化だろう。フランスのように少子化を克服した国もあることは広く認識されていると思うのだが、日本ではこの対策がどうもとんちんかんだ。「待機児童」カテゴリーの記事一覧で何度も書いているが、待機児童が解消されるめども立たないまま、問題を悪化させるような幼保無償化に向けて突き進んでいる。子供をもつことにペナルティーを課すかのような今の保活の状況では、子供をもつ気にならない若い世代を責められない。
そしてそもそも、大企業優先の歴代自公政権のおかげで非正規雇用が拡大し、結婚し、子供をもとうという気になれないほど低収入の人が多い。「幼保無償化」はもちろんその対策という意味合いもあるのだろうが、低所得者にはすでに料金減免の制度があることを思うと、今さら「無償化」されても恩恵は限りなく小さい。
認可保育園の保育料の無償化にかかる4656億円のうち、年収約360以下などの低所得者の無償化に使われるのは8%であり、一方、年収約640万円超の世帯に50%が使われるという(朝日新聞2018-12-29)。宮腰光寛少子化対策担当相は「低所得者世帯にはこれまで無償化あるいは軽減措置を段階的に講じている。(高所得層に手厚い制度との)指摘はあたらない」と述べたというが、つまり低所得者への恩恵は「これまで」ある減免措置であり、自公政権が進めている幼保無償化による恩恵はないと認めたようなものではないか。

少子化対策は即効性のあるものではないから、対策をしたからといって外国人の受け入れが不要になるというものではない。だが、対策をしないことには保守勢力がいかに反対しようと、受け入れを拡大し続けなければならなくなることは目に見えている。(それすら、外国が豊かになったり、他国のほうが働き場として魅力的と思われたりすれば、来てもらえなくなる可能性もある。)私はうかつにも少子化対策担当相というポストがあることも知らなかったのだが、労働力不足解消の王道は少子化対策だと自覚して、まっとうな対策を地道に進めてほしい。

追記:朝日新聞2019-2-24でも、工場、スーパー、レストランなどで働き手が足りないだけでなく、警察や自衛隊にとっても採用対象の若者が減っており、市町村議会でも議員のなり手が足りないことを挙げ、問題の本質は「人手不足」ではなく「国民不足」だと指摘している。安倍首相は自衛隊の募集難を憲法改正にこじつけようとしているが、これは「少子高齢化」という難題を矮小化することにほかならない。

追記2:そしてそもそも、身の回りのあまりに過剰なサービスを見直せば労働力不足も少しはましになるかもしれない。「コンビニや外食チェーン店の24時間営業、きめ細かすぎる宅配サービスなど、消費者が便利さへの飽くなき欲求を少しでも抑制すれば、人手不足は和らぎ、労働環境も改善される」、と「(経済気象台)人口減少、それがなにか?」(朝日新聞2019-4-26)はいう。


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